7月10日の海外金融・株式・為替市場

○米国株:米株式相場は下落。S&P500種株価指数は週間ベースで 4週連続の下げとなった。午前に発表された7月のロイター・ミシガ ン大学消費者マインド指数が予想を下回ったことから、景気回復はま だ遠いとの懸念が広がった。

米商業金融のCITグループが急落。新たに起債する社債に対し、 米連邦預金保険公社(FDIC)が保証を付与しないとの観測から売 りがかさんだ。石油のシェブロンが下げ、ダウ工業株30種平均を押 し下げた。この日のニューヨークの原油先物は下落、週間ベースでは 1月以来最大の大幅安となった。シェブロンはドルの下落が利益を損 ねたと述べた。

一方、テクノロジー株は上昇。アナリストがヤフーやMEMCエ レクトロニック・マテリアルズの株式投資判断を引き上げたのがきっ かけだった。

センチネル・インベストメンツのクリスチャン・スウェイツ最高 経営責任者(CEO)兼社長は「景気は一向に回復していないことが 明らかになりつつある。現在の相場は企業決算の内容に照らし合わせ ると依然としてやや割高な水準にある」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比0.4%安の879.13。週間では

1.9%下落した。ダウ工業株30種平均は36.65ドル(0.5%)下落の

8146.52ドルで終了した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰 落比率は3対4。

S&P500種は6月12日以降、7.1%以上の値下がり。3月以降 にみられた40%もの値上がりは、景気回復見通しを上回るペースだっ たとの見方が広がっている。過去1年間のS&P500種構成企業の株 価収益率(PER)は約14倍。12年ぶり安値を記録した今年3月9 日は同10倍だった。

リセッションの長期化

米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授(経済学)と米エ ール大学のエコノミスト、ロバート・シラー教授はリセッション(景 気後退)が長期化する可能性を指摘した。

シラー教授はオバマ米政権の7870億ドルに上る景気対策の実施 ペースが遅いとして、新たな景気刺激策が必要だと訴えた。一方のル ービニ教授は、債務返済に企業が苦戦していると述べ、リセッション がさらに半年続くとの見通しを示した。

ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均によると、S& P500種採用企業の第2四半期決算は35%減益、第3四半期が21%減 益となっている。今年第1四半期は33%の減益だった。

シェブロン安い

シェブロンは2.7%安。同社は4月と5月の原油および天然ガス の海外収益がドル相場の下落で1日当たり700万ドル近く減少したと 発表。為替相場の変動による影響は2008年4-6月(第2四半期) の2倍以上となった。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日 比0.52ドル(0.86%)安の1バレル=59.89ドルで終了した。長期化 するリセッションがエネルギー消費を抑えるとの懸念で下げた。週間 ベースでは10%安。

CITグループは18%安。FDICはCITの信用悪化を理由に、 同社の社債発行の保証を渋っている。FDICの事情に詳しい複数の 関係者が明らかにした。

テクノロジー株高い

S&P500種のテクノロジー株価指数は0.4%高。産業別10指数 のなかで上昇率が最大だった。

シリコンウエハー・メーカーのMEMCエレクトロニック・マテ リアルズは3%上昇。シティグループはMEMCのコスト削減の効果 が表れ始めてきたとして、同社の株式投資判断を「ホールド」から 「買い」に引き上げた。

検索エンジンのヤフーは2.6%高。トーマス・ワイゼル・パート ナーズのアナリスト、クリスタ・クオーレス氏は、ヤフーの株式投資 判断を「アンダーウエート」から「マーケットウエート」に引き上げ た。

○米国債:米国債相場は続伸。過去1カ月の世界的な株安とリセッシ ョン(景気後退)が長期化するとの観測を背景に国債の相対的な安全 性を見直す買いが入った。週間ベースで5週連続高と、今年最長とな った。

7月の米消費者信頼感は3月以来の低水準に落ち込んだ。米株式 相場は下落、S&P500種株価指数は4週連続安で取引を終えた。

ジェフリーズ・グループの主任テクニカルストラテジスト、ジョ ン・スピネロ氏(ニューヨーク在勤)は「芽吹き説は早計だった」と 指摘。「間もなく回復すると示す根拠は一切存在しない」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時41分現在、10年債利回りは前日比11ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.30%。週間ベースでは20bp 下げた。10年債(表面利率3.125%、2019年5月償還)価格は 30/32上昇の 98 19/32。

ブルームバーグが金融機関を対象に実施した調査によると、10 年債利回りは年末までに3.55%となる見通し。7月1日時点の予想 では3.72%を見込んでいた。

4回の入札

S&P500種株価指数はこの日0.4%値下がりし、週間ベースの 下落幅は1.9%となった。

7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は

64.6と、前月の70.8から低下した。ブルームバーグ・ニュースがま とめたエコノミスト予想中央値の70.0も下回った。01年末から07年 末まで続いた景気拡大時の同指数平均は89.2だった。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、 ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク在勤)は「経済指標は引き続き、 芽吹きがわれわれに喜びを与えるまでには長い道のりがありことを示 している」と指摘する。

米財務省は今週、4回の利付国債入札を実施。入札規模は総額 730億ドルだった。10年債は8日、その日実施された190億ドル規 模の入札で応札倍率が過去最大となったことを受け3月以来の大幅高 となった。景気回復が予想よりも遅れるとの見方から安全資産として の国債に資金が集まった。

米国債への需要は高まっており、特に海外の中央銀行など間接入 札が増えている。10年債の落札全体に占める間接入札の割合は

43.9%と、6月の入札時の34.2%を上回った。3年債では54%と、 6月時点の43.8%から増加。前日実施された30年債入札では間接入 札の落札割合が50.2%と、06年2月以来の高水準だった。

経済成長

グッゲンハイム・キャピタル・マーケッツの米国金利トレーディ ング責任者、トーマス・ディガロマ氏は「景気が活力の兆しを見せな いなか、安全投資先とされる国債への需要は高い」と語る。

米財務省は27日に20年物インフレ連動債の入札を追加発行(リ オープン)形式で実施する。入札の2週間休止は5月以来となる。

ブルームバーグ・ニュースが2-8日に実施したエコノミスト調 査によると、米実質国内総生産(GDP)は7-12月に平均1.5%成 長すると予想されている。先月の調査では1.2%を見込んでいた。失 業率は来年初めには10%を超え、年間ベースでは平均9.8%となる見 通し。

○NY外為:ニューヨーク外国為替市場では円とドルが対ユーロで上 昇。円は週間ベースで5月以来の大幅高となった。米消費者マインド 指数が予想以上に低下し、円とドルに資金を逃避させる動きが進んだ。

スイス・フランは対ドルで下落。スイス国立銀行(SNB、中央 銀行)のロート総裁の発言が影響した。同総裁はスイス・フラン高を 阻止するのに必要であれば、外貨買いの介入を続けると語った。ロシ ア・ルーブルはドルに対し2月以来の大幅安。ロシア中銀が利下げを 実施したことに加え、原油相場が1バレル=60ドルを割り込んだこ とが売りを誘った。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニア 為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は「全般的な流れ は引き続き円とドルの上昇だ。それはリスク回避の高まりを反映して いる。景気回復の芽生え論は早計だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時12分現在、円は対ユーロで1.2%高 の1ユーロ=128円81銭(前日は同130円36銭)。ドルは対ユ ーロで0.5%上昇し、1ユーロ=1.3948ドル(同1.4020ドル)。 円は対ドルで0.7%高の1ドル=92円32銭(同92円99銭)。一 時は91円79銭と、2月以来の円高・ドル安水準を付ける場面もあ った。

円は今週、対ユーロで4.1%上昇。5月15日に終わった週以来 の大幅高となった。リセッション(景気後退)が早期に終わるとの期 待が後退したことが背景にある。対ドルでは3.8%高と、週間では 昨年10月24日以降で最大の上げ。一方、ドルは対ユーロで0.4% 上昇した。

バークレイズ・キャピタルは対円でのドル相場の1カ月予想を 98円から96円に引き下げた。最近の相場動向が理由。

ルーブル、フラン

ルーブルは対ドルで一時3.2%安。ほぼ5カ月ぶりの大幅な下 落となり、新興市場通貨で最大の下げ。ロシア中銀が政策金利を 11%に引き下げたことが売りを誘った。同国最大の輸出品である原 油が今週、10%超下げたことも売り材料。

スイス・フランは対ドルで0.7%安、対ユーロでも最大0.3% 下落した。ロート総裁は10日付のドイツ紙ハンデルスブラットとの インタビューで、フラン売り介入について「われわれは自らの政策を 断固として貫く」と言明した。

米経済指標

7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は

64.6と、前月の70.8から低下した。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト予想中央値は70.0だった。これを材料に円 とドルは対ユーロで上昇した。

5月の貿易収支統計によると、財とサービスを合わせた貿易収支 (国際収支ベース、季節調整済み)は260億ドルの赤字。赤字幅は 前月比9.8%縮小し、1999年11月以来の最小。前月は288億ド ルの赤字だった。

ゴールドマン予想

ゴールドマン・サックス・グループのアナリスト、セモス・フィ オタキス氏は10日付の顧客向けリポートで「米貿易赤字の縮小で、 当社の長期的なドル下落見通しが弱まっている」と指摘した。

ゴールドマンは今週、今後3カ月のドルの対主要通貨見通しを下 方修正した。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な金融 緩和策が終わりに向かっているとの見方から今後1年の予想は引き上 げた。ゴールドマンの対ユーロのドル予想は3カ月先が1.45ドル、 1年先が1.35ドル。

○英国債:英国債相場は上昇。2年債は週間ベースでも上昇した。安全 性を求めた買いが入った。

この日は10年債も上昇。イングランド銀行(英中銀)が7月末 で国債購入を休止、資産購入計画の効果を見極めると述べたことが買い を誘った。イングランド銀は来週、45億ドルの英国債を購入する予定。

バークレイズ・キャピタル(ロンドン)の英国債営業責任者、ア ダム・マコーマック氏は「ある程度リスク回避の動きもあるが、供給が 比較的薄くなりつつある。規模は小さいが買い戻しが続いている」と述 べた。

2年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)下げ1.10%となった。週間ベースでは13bp低下した。同 国債(表面利率4.25%、2011年3月償還)価格は0.13ポイント上 げ105.18。10年債利回りは前日比5bp下げて3.73%。

○欧州債:欧州債市場ではドイツ10年債相場が上昇。株式相場の下落 を背景に安全投資としての国債需要が高まった。週間ベースでは5週連 続高となった。

独10年債利回りは5月以来の低水準となった。この日発表された 6月のドイツの卸売物価指数(WPI)は8カ月連続で低下した。ダ ウ・ユーロ50種株価指数はこの日1.4%安、週間ベースでは4%下げ た。景気回復が長引くとの懸念から売りがかさんだ。

WestLBの債券ストラテジスト、ジョン・デービーズ氏(ロ ンドン在勤)はリポートで、「ドイツ国債の取引は引き続きリスク意 識に左右されている」と指摘した。

ロンドン時間午後4時46分現在、10年債利回りは前日比5ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)下げ3.25%と、5月7日以来の 低水準となった。前週末比では9bpの低下。同国債(表面利率3.5%、 2019年7月償還)価格は前日比0.40ポイント上げ102.07。2年債 利

回りは4bp低下し1.19%。前週末3日は1.24%だった。

ドイツ連邦統計局が10日発表した6月の卸売物価指数は、前年同 月比で8.9%低下した。前月比では0.9%の上昇。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007 参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: ニューヨーク 西前 明子 Akiko Nishimae +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net

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