サミット閉幕:新興国参加会合が定着、存在意義問われるG8

主要国首脳会議(ラクイラ・サミ ット)が10日、閉幕した。3日間の日程のうちG8のみの会合は初日 だけで終了。中国やインドなど新興国が加わる拡大会合もすっかり定 着しており、ラクイラでは気候変動や市場の関心が高い準備通貨のあ り方をめぐる議論で新興国の動向が注目された。来年はカナダ・ムス コカでサミットが開かれるが、G8という枠組みの存在意義は今後と も問われ続けることになりそうだ。

「より多くの国々と問題を対処しなければならないからこそG8 の有用性は一層、増している。G8が中核となって国際協調をさらに 進めていくのが現実的な方法だ」-。麻生太郎首相は10日午後(日本 時間同日夜)、サミット終了を受けた内外記者会見で、G8が結束し て引き続き国際社会で指導力を発揮していくべきだとの考えを強調し た。

こうした麻生首相の思いとは裏腹に、気候変動問題では、先進国 が昨年の洞爺湖サミットから掲げる「2050年までに世界の温室効果ガ ス排出量を半減」するとの長期目標で新興国と合意できず、結論はま たも先送りになった。

国際的な準備通貨のあり方をめぐって中国など新興国の動向が大 きく注目されたことは、今回のサミットの特徴だった。9日のG8と 中国など新興5カ国(G5)、エジプトとの拡大会合で、新興国の一 つが通貨制度改革の必要性に言及。日本外務省幹部の説明では9日の 会合で他国は特に反応しなかったと説明した。

これに対し、ドイツのメルケル首相は10日の会見で、「G8の会 合では準備通貨について継続的な話し合いが持たれた」と発言。「わ れわれが合意したのは、為替を、互いをけん制する道具にしないとい うことだ」とコメントするなど中国の動向をけん制してみせた。

みずほ証券の飯塚尚己シニアエコノミストは、「これからは中国 を中心とする新興国がグローバルな景気回復を主導する。G8サミッ トは存在意義がどんどん薄らぎ、G20の枠組みがグローバルな政策調 整の場として大きな役割を果たしていく転換点に来ている」と指摘す る。

一方、三菱総合研究所の水田愼一シニア政策アナリストは、「相 対的にG8だけで物事が解決できなくなっているのは事実だ」としな がらも、「解決策を出すブレーン的な存在が国際社会には必要。問題 を特定して解決策を提案する枠組みとしてG8は引き続き重要だ」と 主張する。経済危機や温暖化問題の議論の土俵作りでG8は今後も役 割を果たし得るとの意見だ。

領土問題で肩透かし、「解散宣言」なし-麻生首相

今回が初参加だった麻生太郎首相はサミット前日の7日未明にイ タリア入り。ベルルスコーニ首相との会談などをこなし、9日午前に はロシアのメドベージェフ大統領との二国間会談を行ったが、北方領 土問題で日本側が期待していたロシア側からの新たな提案はなく、肩 透かしをくらった。

外務省の発表によると、他のG8諸国首脳と麻生首相との二 国間会談は、8日に米国のオバマ大統領と約25分間、9日にカナダの ハーパー首相と約15分間。いずれも各国首脳との夕食会前後の慌しい 時間帯で、英独仏の首脳とは会談自体がセットされなかった。

麻生首相は11日中に帰国する予定だが、翌12日は政局の焦点と なっている東京都議会議員選挙の投開票日。結果次第では、自民党内 にくすぶる「麻生降ろし」の動きがさらに活発化する可能性がある。

ラクイラの会見で首相は、都議選について「あくまでも地方の選 挙。国政に直接関連するものではない」と政権運営への直接的な影響 を否定。衆議院の解散時期については「判断の時期が近づいてきてい ることは事実だ。いろいろな諸条件を十分に勘案して近々判断させて いただきたい」と述べるにとどめ、日本のメディアがその可能性を指 摘していた都議選前の「解散宣言」には踏み切らずじまいだった。

--取材協力Brian Parkin、森茂生 Editor:Hitoshi Sugimoto, Takeshi Awaji、Akiko Nishimae

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