米銀CIT債の価格急落-トレーダーが破たん可能性見込む

米債券市場で米銀CITグループ の債券価格は、まるで同社が破たんするかのように急落している。同グ ループは100年の歴史を持ち95万社に融資する金融機関。

公的資金注入を受けるため、銀行持ち株会社に業態転換した昨年 12月以降、CITは投資適格級格付けを3つとも失った。

米連邦預金保険公社(FDIC)の暫定流動性保証プログラム(T LGP)を通じた政府保証付きの起債がCITに認められないのではな いかとの懸念から、CIT債の利回りはデフォルト(債務不履行)寸前 と格付けされている証券と同水準になっている。CITは、来年までに 償還期限を迎える100億ドル(約9330億円)の債務の借り換えに向け TLGPを通じた起債を検討している。

CIT債を含む400億ドル相当の資産運用に携わるソーンバー グ・インベストメント・マネジメントのマネジングディレクター、ジェ ーソン・ブレイディ氏はCITについて、低コストで資金調達できなけ れば「生き残れないだろう」と予想。「TLGPの活用が非常に遅れて いるという事実は悪い兆候だ」と説明した。

資産額約760億ドルのCITが破たんした場合、米S&L(貯 蓄・貸付組合)最大手ワシントン・ミューチュアルが昨年9月に当局に 接収されて以来の大型銀行破たんとなる。

ジェフリー・ピーク最高経営責任者(CEO)率いるCITは、T LGP申請をめぐり当局と引き続き交渉していると表明。政府は深刻な 信用危機のさなか、米複合大手ゼネラル・エレクトリックや米自動車・ 住宅金融会社GMACなどにFDIC保証債発行を認めてきたが、CI Tはこの1年余り社債市場を利用できていない。

サブプライムローンと学生ローン

1908年にコマーシャル・クレジット・アンド・インベストメント として創設されたCITは、サブプライムローン(信用力の低い個人 向け住宅融資)と学生ローンに進出した後、過去8四半期で計30億ド ル余りの赤字を計上した。

CIT債を含む980億ドル相当の債券運用に携わる米ルーミス・ セイレスの投資マネジャー、マシュー・イーガン氏は、政府がCIT を米経済にとって極めて重要だと見なさず、TLGPの利用を認めな い場合、CITは身売り先を探さざるを得なくなるかもしれないと指 摘。CITについて「政府は恐らく、つぶせないほどの規模とは考え ないだろう」とした上で、「CITは、破たんした場合に政府が救済 に走る部類の企業ではないと思う」と語った。

米財務省がCITに対し、政府を引き受け先とする優先株とワラ ント(株式取得権)発行と引き換えに23億3000万ドルの資金注入を 行った後も、FDICは債務保証を通じたCITの支援に同意してい ない。

FDICの広報担当デービッド・バー氏は、CITの申請に関す るコメントを控えた。財務省のジェニー・エンゲブレトセン報道官に 取材を試みたが、回答はなかった。

フィッチの格下げ

CITの広報担当、カート・リッター氏は、CITの「TLGP への参加申請は未決定事項であり、われわれは引き続き、規制当局者 と活発な交渉を続けている」と述べた。

格付け会社フィッチ・レーティングスのアナリスト、ビンセン ト・アースコット氏は、CITは21億ドルの信用枠が期限を迎える来 年4月まで、恐らく債務を履行できる見込みだと指摘した。

フィッチは4月にCIT債をジャンク(投資不適格)級に引き下 げた後、6月1日に「BB」へ下げ、今月8日にはさらに「B+」に 引き下げた。米格付け会社ムーディーズ・サービスは4月24日に格付 けを「Baa2」から「Ba2」へと3段階下げた。同業の米スタン ダード・アンド・プアーズ(S&P)はCIT債の格付けを6月12日 に3段階下げ「BB-」とした。

CITは2009年1-3月(第1四半期)終了時に資産757億ドル、 預金30億ドルを含め負債682億ドルと報告した。

株価下落

メリルリンチのデータによれば、CIT債の価格は6月に9.5%下 落と、50の主要高利回り債発行体のなかで3番目に悪かった。ジャン ク債相場は6月に平均3.2%上昇し、年初来では過去最大の30%上昇 となっている。

CITの株価は年初来で61%安と、ラッセル1000金融サービス 指数を51ポイント下回っている。時価総額は7億ドルを下回った。

米金融取引業規制機構(FINRA)の債券価格報告サービス、 トレースによると、CIT債(発行額7億5000万ドル、表面利率

5.6%、2011年償還)の価格は8日、3セント下落し71セントとなっ た。メリルリンチによると、利回りは27.1%と、格付け「CCC」以 下の証券の平均を上回っている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE