5月の機械受注は過去最低、予想に反し3カ月連続で減少

国内民間設備投資の先行指標である 船舶・電力を除く民需(コア機械受注)の受注額は、5月に予想に反 して前月比で3カ月連続して減少し、過去最低となった。輸出や生産 は持ち直しているものの、設備過剰感や収益悪化を背景に企業による 設備投資の抑制姿勢は根強い。

内閣府が8日発表した5月の機械受注統計によると、コア機械受 注(季節調整値)は前月比3.0%減の6682億円となった。同受注額は 比較可能な1987年4月以降では最低。前年同月比は38.3%減。製造 業は前月比5.4%増、非製造業は同6.9%減だった。

内閣府はコア機械受注の基調判断について「減少のテンポが緩や かになってきている」との前月の判断を維持した。杉原茂景気統計部 長は記者説明で、製造業の受注は「足元下げ止まりの感じがある」と 指摘。一方、非製造業については「足元弱含んでいる」と述べ、景気 後退の影響が「ラグを持って効いてきている」との認識を示した。

ブルームバーグ・ニュースの事前調査では、5月のコア機械受注 の予測中央値は前月比2.0%増。予想範囲は5.0%減から6.0%増とな っていた。

機械受注は各企業が設備用機械をメーカーに発注する段階で集計 するため、実際の設備投資に半年程度先行するとされる。日本銀行の 企業短期経済観測調査(短観、6月調査)では、2009年度の大企業・ 全産業の設備投資計画は前年度比9.4%減と、6月調査としては1983 年以来最大の減少となった。生産・営業用設備判断DI(全規模 全産 業)はプラス21と前回調査比2ポイント上昇、過剰感が強まっている。

景気回復期待を冷やす結果

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表後、「製造業 循環を反映する鉱工業生産指数は4-6月にはV字で増加しているが、 機械受注の動きは生産指数の動きとは対照的」と指摘。その上で、「非 製造業を含めた国内の設備投資削減で、景気回復ペースが非常に緩や かにとどまるリスクを想起させ、景気回復期待を冷やす結果だ」との 見方を示した。

日本経済は輸出と生産に持ち直しの動きが見られ、政府の経済対 策に盛り込まれたエコカー減税や家電製品のエコポイント制度導入の 効果もあり、個人消費にも下げ止まりの兆しが出ている。ただ、こう した明るい動きが設備投資や雇用に波及するまで時間がかかる上、企 業収益低迷の長期化は一段の設備や雇用の調整につながる恐れがある。

非製造業の回復見られず

BNPパリバ証券の加藤あずさエコノミストは非製造業について 「昨秋以降の製造業の深刻な不振が、企業の支出抑制や雇用環境の悪 化を通じて内需型産業に波及しつつあり、非製造業では機械受注の回 復は全く見られない」と指摘。ただ、5月の減少は、運輸業が前月比 マイナス49.7%と激減したことが主因で、1-3月期に鉄道車両の受 注が急増した要因がはく落した影響が大きいと分析する。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前11時5 分現在、1ドル=94円58銭。発表直前は同94円61銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前日比175円87 銭安の9471円92銭と続落。債券相場は堅調で、東京先物市場の中心 限月9月物は同28銭高の138円75銭。

今年1-3月期のコア機械受注は前期比9.9%減と、過去最大と なった昨年10-12月期の同15.1%減から減少幅が縮小。内閣府が3 月末に調査・集計したコア機械受注の4-6月期の見通しは前期比

5.0%の減少となっている。

見通しも下振れか

内閣府の杉原部長は4-6月期の見通しを達成するためには、6 月が前月比9.5%の増加が必要になり、6月が前月比横ばいの場合は、 4-6月期は前期比7.9%減になるとの試算を示した。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは 「4-6月期は見通しを下回る可能性が大きい」とした上で、「設備投 資は景気の遅行指数であるため当面は厳しい状況が続きそうだ」との 見方を示した。また、5月まで3カ月連続での前月比減少を踏まえ、 「7-9月期、10-12月期と前期比減少基調になりそうで、まだ反転 のシグナルは出ていない現状だ」と指摘した。

5月の機械受注を業種別にみると、一般機械、石油・石炭製品、 自動車による受注がプラスに寄与した一方、電気機械、鉄鋼、その他 製造(新聞・出版、食品、ゴム・皮革など)などがマイナス要因とな った。非製造業では、運輸、その他非製造業(卸・小売、不動産、情 報サービスなど)、金融・保険が減少要因なった一方、電力、通信、建 設がプラスに寄与した。

To contact the reporter on this story: Jason Clenfield in Tokyo at jclenfield@bloomberg.net; 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.net 東京 David Tweed dtweed@bloomberg.net

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