不安尽きない米企業、予防的起債を活発化-マイクロソフトは最悪想定

「サバイバル・スキルズ(生き残る ための技術)」と題した会合が、米国の超優良企業の財務担当者らを集 めて5月の最終週にフィラデルフィアのパークハイアット・ホテルで 開催された。

コルゲート・パルモリブやIBMなど数十社の幹部らが議論した のは、米連邦準備制度理事会(FRB)による事実上のゼロ金利政策 で借り入れコストが低下した好機を活用して事業を拡大させる方法で はなく、別のプランだった。

2007年から08年にかけてのサブプライム(信用力の低い個人向 け)住宅ローン問題の広がりと昨年9月のリーマン・ブラザーズ・ホ ールディングスの経営破たんによる信用市場の急激な干上がりを受け、 企業の関心は手元資金の蓄積と、投資適格級債券の発行を通じた債務 償還期間の延長に集中している。今年1-6月(上期)の投資適格級 債の発行は過去最高の3010億ドル(約29兆円)に達した。

米企業の財務担当者が加盟する協会の会長で食料品小売りのセー フウェイの財務担当者のブラッド・フォックス氏は、これらの事件は 「誰にとっても記憶に新しいものだ」と述べ、会合では「昨年10- 12月(第4四半期)の余波に関する討議に多くの時間をかけた」こと を明らかにした。

金融機関以外の企業で上期に起債したのはソフトウエア最大手マ イクロソフトや高脂血症治療薬「リピトール」を製造するファイザー など少なくとも262社に上った。ブルームバーグ・データによると、 これは昨年の205社を上回るとともに、少なくとも2001年以降で最 多。米経済が1930年代以来最も深刻なリセッション(景気後退)か ら脱却できないでいるにもかかわらず、社債発行は増加している。

予防的借り入れ

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス傘下のム ーディーズ・キャピタル・マーケッツ・グループのチーフエコノミス ト、ジョン・ロンスキ氏は「予防的な借り入れが依然として行われて いる」と述べ、「資本市場へのアクセスについては未解決の問題が多い」 と指摘した。

マイクソフトは3月末時点で現金と短期証券などを合計253億 ドル保有していたにもかかわらず、5月11日に同社初の起債(37億 5000万ドル)を実施した。同社財務担当者のジョージ・ジン氏は「必 要のないときに発行しておく方が常にベターだ」と述べ、「当社は長期 的に資本構造を発展させており、起債はその理にかなった動きの一部 だ」と説明した。

財務担当者らの不安が根強い一方で、リセッションの最悪期が過 ぎた可能性を示す兆候から社債の需要に拍車が掛かっている。メリル リンチの指数によると、米国の投資適格級社債の今年上期のリターン はプラス9.2%と、米国債のリターンを13.7ポイント上回るととも に、S&P500種株価指数のリターンも超えた。米投資適格級社債の リターンが米国債と株式の両方を上回るのは02年以来で、昨年はマ イナス6.82%だった。

債券ファンド最大手、パシフィック・インベストメント・マネジ メント(PIMCO)の社債担当グローバル責任者のマーク・キーセ ル氏は「社債保有で株式のようなリターンを得ることが可能だ」と語 った。

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