米国債のサマーラリー、今年は再現ならずか-大量発行で

6兆4500億ドル(約620兆円)規 模の米国債市場で、これまで最善の投資策とされてきたことが、もは や確実でないかもしれない。

6-9月の10年物米国債利回りは過去20年のうち15年で平均35 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下している。米政府が 国債入札の多くを終え、投資家は米国債投資で受け取った金利を再投 資してきたことがある。利回りが低下しなかったのは直近では2005年 で、34bp上昇した。この年には米連邦準備制度理事会(FRB)が 利上げを実施している。

ガイトナー米財務長官が過去最大の財政赤字に対応するため国債 発行を加速するなかで、投資家が「サマーラリー(夏の上昇相場)」の 再来を予測しても、期待外れとなる可能性がある。プライマリーディ ーラー(政府証券公認ディーラー)のバークレイズによると、1-6 月(上期)に米国債は9630億ドルが起債されたが、年内にはさらに1 兆1000億ドル相当が発行される公算がある。7-12月(下期)の発行 額は2008年全体を上回るもようだ。

ドイツ銀行のプライベートバンク部門の債券トレーディング責任 者で、1978年から米国債市場にかかわっているゲーリー・ポーラック 氏はサマーラリーについて「私はかつて信奉者だった」とした上で、「発 行が必要な米国債の規模はゲームの流れを変える。財務省のニーズを 受けて、通常はこうした季節要因が作用するが、もはや当てはまらな い」と指摘した。

厄介な問題

サマーラリーが到来しないことは、今年に入って過去最悪のリタ ーンに見舞われてきた投資家にとっては特に問題となるだろう。メリ ルリンチの米国債マスター指数によると、米国債のリターンは1-6 月にマイナス4.46%に落ち込んだ。昨年は、世界経済が戦後最悪のリ セッション(景気後退)に陥るなかで、同指数は14%上昇していた。

利回りが年内、同じ水準を維持するとしても、年間ベースでのリ ターンはメリルが指数算出を開始した1978年以来で3回目のマイナス になると見込まれる。マイナスを記録した94年と99年はいずれもF RBが利上げを実施したことが要因だった。

BGキャンター・マーケット・データによると、指標となる10年 物米国債利回りは先週、4bp低下して3.50%だった。

利回りは昨年12月18日に過去最低の2.04%を付けたが、6月11 日には4%と、今年の最高水準を付けた。ブルームバーグ・ニュース がエコノミスト65人を対象に実施した最新調査によると、9月末は現 時点とほぼ変わらずの3.48%となり、年末には3.63%に上昇する見通 しだ。

一方、モルガン・スタンレーの米金利ストラテジー責任者、ジェ ームズ・キャロン氏(ニューヨーク在勤)は、通常夏に米国債相場が 力強い上昇を遂げる典型的な要因は、供給減少ではなく、毎年8月に 受け取る米国債金利の再投資など資金フローだと指摘。資金フローが 途絶えるのでなければ、「このパターンが持続しないと見なす理由はな い」とみている。

4回の入札

米政府は来週、定期的な10年債発行を開始した76年以降で初め て4回の入札を実施する。6日は10年物インフレ連動国債(TIPS) 80億ドルを入札するほか、7日に350億ドルの3年債、8日に10年債 190億ドル、9日に30年債110億ドルの入札が予定されている。

パイオニア・インベストメンツのバイスプレジデント、リチャー ド・シュランガー氏は「供給や財政赤字、FRBの動向を考えると、 今年は事情が若干違うだろう」と語る。これまでは自身の取引で季節 要因を考慮していたが、今年はそうしないと説明した。

シュランガー氏は「FRBの米国債購入計画が終わりつつあるこ とで、多くの資産運用担当者は購入を見送る可能性がある」とし、「バ イアスは依然として、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化 と長期債の利回り上昇だ」との見方を示した。

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