円強含み、世界景気の先行き不透明感でリスク回避に圧力-G8警戒

東京外国為替市場では円が強含み に推移した。世界的な景気の低迷が意識されやすく、リスク回避に伴 う円買いに圧力がかかった。また、イタリアで開かれる主要首脳国会 議(ラクイラ・サミット)を控えて、ドル以外の新たな基軸通貨をめ ぐる議論が警戒され、ドルの上値が抑えられた面もある。

ソシエテ・ジェネラル銀行の湯本健一外国為替営業部長は、前週 末のニューヨーク市場が休場だったことから、材料待ちといった状況 のなか、日本株の下落を手掛かりにリスク回避の動きが促され、クロ ス・円(ドル以外の通貨と円の取引)で円が上昇していると説明。週 内は準備通貨としてのドルの位置づけが議論される可能性があり、 「ドルの下落余地がありそうだ」とみている。

ユーロ・円相場は一時1ユーロ=132円77銭と、6月23日以 来の水準まで円が値を切り上げている。ドル・円相場も一時1ドル= 95円17銭と、5営業日ぶりの円高値を付けている。

この日の東京市場では日経平均株価が大幅安の展開となっており、 リスク資産を圧縮する動きが後押しされる格好になった。

ドル離れ懸念くすぶる

今週は8日から開かれるラクイラ・サミットを控えて、新たな基 軸通貨の創設や各国の外貨準備高におけるドル比率をめぐる議論が注 目されている。

大和証券SMBC金融市場調査部の長崎能英チーフFXストラテ ジストは、「準備段階で各国の当局者からドルの代替通貨などを指摘 する発言が警戒される」としている。

5日までには、ロシアのメドベージェフ大統領とフランスのラガ ルド財務相が、世界でドルへの依存が時代遅れになりつつあると示唆 し、通貨調整を世界的に進めるよう訴えている。

また、インドのシン首相の経済諮問委員会のスレシュ・テンドゥ ルカール委員長が大量のドル資産保有は資産管理という面で「囚人の ジレンマ」に陥ると指摘したうえで、「従って、政府当局に対しこの 点を提言している」と語り、外貨準備の運用多角化を求めた。

著名投資家で投資会社ロジャーズ・ホールディングスの会長を務 めるジム・ロジャーズ氏は6日、ドルと準備通貨としての地位につい て、「来年か向こう2、3年内に通貨危機があると予想する。対象通 貨はポンドかもしれないしドルかもしれない。ドルの将来については 悲観的だ。ドルは信認を失っているからだ」と述べている。

景気楽観論の修正続く

一方、欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が3日に発表 した5月のユーロ圏小売売上高指数は営業日調整済みで、前月比

0.4%の低下と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の

0.1%低下を上回る落ち込みとなった。

また、マークイット・エコノミクスが発表したユーロ圏サービス 業景気指数改定値は44.7と、先月23日発表の速報値(44.5)から 上方修正されたものの、依然として縮小・拡大の分かれ目となる50 を下回っている。

大和証の長崎氏は、世界的に景況感がよくはなってきていたが、 あくまでも期待であって、実体経済に改善がみられないと指摘。3月 あたりから続いていた楽観的な流れが変わりつつあり、原油相場の下 落など、リスク回避的な動きになっているとして、「円高圧力がかか りやすい時間帯になっている」としている。

市場が弱気材料に反応しやすいなか、この日の米国時間には、供 給管理協会(ISM)が6月の非製造業景気指数を発表する。ブルー ムバーグ・ニュースがまとめた市場予想では46と、前月の44から 改善が見込まれている。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama,

Hidenori Yamanaka

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