トヨタ:米インディアナで工場改修、コスト削減進める中で巨額投資

自動車販売で世界1位のトヨタ自動 車は、2期連続の赤字見込みを受けコスト削減を一段と進める中、米イ ンディアナ州にある工場の改修で、年産能力20万台の工場新設に匹敵 する投資額を今期(2010年3月期)に計上している。

トヨタの前期(09年3月期)有価証券報告書によると、今期にイ ンディアナ工場の生産設備などの新設で484億円の投資を計画してい る。トヨタは業績悪化に伴う固定費削減の一環で、今期の設備投資を 15年ぶりに減価償却費以下に抑える方針。設備投資総額は前期比36% 減の8300億円で、このうちインディアナ工場に約6%を振り向ける計 算になる。

トヨタの広報担当、横井孝典氏によると、インディアナ工場への投 資はスポーツ型多目的車(SUV)「ハイランダー」を新たに生産する ためという。同工場の年産能力は30万台で、SUV「セコイア」とミ ニバン「シエナ」を生産している。北米で販売しているハイランダーは 現在、全量日本から輸入している。

トヨタの北米生産事業統括会社、TEMAの広報担当、マイク・ゴ ス氏はインディアナ工場への投資について、ハイランダーをセコイアと 同じラインで生産できるようにするほか、別の生産ラインも手直しする など工場全体の効率を高めるために充てるとしている。

東海東京調査センターの加藤守アナリストは、インディアナ工場の 設備投資額について、トヨタが固定費削減を進めていることや外部環境 など「今の状況からすると規模が大きいという印象を受ける」と指摘す る。

工場新設に迫る投資規模

ホンダが08年10月にインディアナ州で稼働開始した年産20万台 規模の乗用車工場の投資額は5億5000万ドル(約528億円)だった。 生産能力の違いや為替変動はあるものの、トヨタのインディアナ工場の 改修費用はホンダの新工場に迫る水準となる。

トヨタが資本参加している富士重工業のインディアナ工場に普通乗 用車「カムリ」の生産委託(年間10万台)する際の同工場の改修費用 は2億3000万ドル(約220億円)だった。またトヨタが来年の稼働を 予定しているインド第2工場(年産7万台)への今期の投資額は265 億円となっている。

自動車工場の効率性について研究するハーバーフェラックス・グル ープ(ミシガン州)のローリー・ハーバーフェラックス社長は、今回の インディアナ工場への投資について、トヨタのこれまでの投資からみて も「過大」としたうえで、大幅な改良を同工場で行うのではないかと指 摘している。

トヨタは北米で需要が急速に冷え込んだピックアップトラックやS UVを対象に現地の工場間で生産車種の集約・移管を進めている。イン ディアナ工場もその一つで、すでに大型ピックアップトラック「タンド ラ」の生産を昨年中に終了し、テキサス工場へ集約した。その一方、当 初ミシシッピ工場で生産する計画だったハイランダーを同工場の稼働凍 結に伴い、インディアナ工場で今秋から生産することにしている。

NUMMIの動向次第で見直しも

米国にあるトヨタ工場をめぐっては、カリフォルニア州にある米ゼ ネラル・モーターズ(GM)との合弁工場、ニュー・ユナイテッド・モ ーター・マニュファクチャリング(NUMMI)で先月、GMが事業か らの撤退を表明したばかり。NUMMIは両社が1984年以降共同で運 営してきたもので、トヨタにとっては初の米国工場であるとともに、そ れまで輸出だけを頼りに米国で事業拡大しているとの批判をかわす狙い もあった。

GMの撤退でトヨタはNUMMIの今後の事業運営について早期の 決断を迫られることになったが、東海東京調査センターの加藤氏はNU MMIの動向次第では、インディアナ工場の改修計画そのものが見直さ れる可能性もあると指摘している。

トヨタの株価3日終値は前日比30円(0.8%)高の3640円。

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