ドル・円が小動き、米景気底入れ期待修正-米連休控え動意薄い

東京外国為替市場ではドル・円相 場が小動きとなった。米国の雇用情勢が予想以上に悪化したことから、 景気底入れ期待が修正され、高金利通貨などに向いていた国内投資家 の資金が円に回帰する動きがみられた。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネジャーは、 米国の雇用統計が弱い内容になったことを受けて、リスク選好の巻き 戻しにつながりドルと円が買い戻される展開が続いていると説明。た だ、ドル・円相場は1ドル=95円台で輸入企業のドル買いなども出 ているといい、「円高の流れはいったん止まるかたちになっている」 としている。

さらに、この日は米国が独立記念日の振替休日となるため、海外 市場にかけて流動性が低下するとの観測から、積極的な取引が手控え られた面もあるようだ。

主要通貨に対して円が全面高の展開となった海外市場の流れを引 き継ぎ、ユーロ・円相場は朝方の取引で一時1ユーロ=133円59銭 と、4営業日ぶりの円高値を付けている。その後は円が伸び悩む展開 となり、午後の取引では、134円台後半まで押し戻された。

一方、ドル・円相場は一時1ドル=95円71銭と、海外市場の 円高値に並んだあと、午後は96円台前半まで円が水準を切り下げる 場面があった。午後4時22分現在、95円94銭前後で推移している。

来週はG8控えドル基軸通貨体制焦点

来週は9日から2日間の日程で、主要国首脳会議(G8サミッ ト)がイタリアで開かれる。

中国外務省高官の何亜非氏は2日に北京で記者団に対し、「主要 な準備通貨として米ドルの為替レートが安定することを望む」と述べ、 「今回の国際的な金融危機は国際通貨システムの弱点と盲点を完全に 露呈した」と指摘。ドルの安定と国際通貨システムの多様化をあらた めて呼びかけており、G8での議論が注目される。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、「外貨準備運用の多様化やドル基 軸体制をめぐる思惑がドルの変動要因になる可能性がある」とみてい る。

米雇用は予想以上の減少幅拡大

2日に発表された6月の米雇用統計によると、非農業部門の雇用 者数が前月比46万7000人の減少と、ブルームバーグ・ニュースが まとめた市場予想の36万7000人減を大きく上回る減少幅となった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、雇用減少ペース の加速が一時的ではなく、年末にかけて2番底を探る可能性も懸念さ れると指摘。追加的な景気対策として、国債発行の増額をめぐる議論 が出始める公算もあるとみている。

さらに、家計調査に基づく6月の失業率は9.5%と、1983年8 月以来の高水準に上昇。雇用情勢の悪化を受けて、個人消費縮小など を通じた景気減速が再び懸念され、投資家のマインドが冷え込むとの 見方につながりやすい。

前日の米国市場では、株価が下落し、安全な投資先として債券買 いが進行。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所 (CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は6月24日以来 の水準に跳ね上がった。

リスク回避の動きは限定的

投資家がリスク資産を敬遠する動きから、外為市場ではドルと円 への資金回帰に圧力がかかりやすい傾向があり、この日の東京市場も その流れが継続。ユーロ・ドル相場は早朝に一時1ユーロ=1.3929 ドルと、6月25日以来、約1週間ぶりの水準までドル高が進んだ。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは、米 景気の本格的な回復にはまだしばらく時間がかかるとの認識が戻り、 市場全般で楽観論に基づいて構築された持ち高の修正が促されたと説 明している。

ただ、小笠原氏は、「投資家のリスク許容度が長期的な市場のテ ーマとは考えにくく、円の買い戻しも持ち高調整の範囲内に過ぎな い」といい、危機的な状況下での円買い一辺倒といった相場展開にも なっていないと分析する。

このため、この日の東京市場ではドルへの資金回帰の動きも一服 し、ドルは対ユーロでじり安に展開。午後の取引では1.40ドル台前 半まで水準を切り下げている。

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