ECB総裁:政策金利、向こう数カ月は据え置きと示唆

欧州中央銀行(ECB)のトリ シェ総裁は2日、同中銀が今後数カ月、政策金利を現行の過去最低 水準に据え置くことを示唆した。ECBは戦後最悪のリセッション (景気後退)への対策として導入する新たな政策手段の効果を見極 める姿勢とみられる。

トリシェ総裁は政策決定後の記者会見で、「現在の政策金利水 準は適正だ」と述べた。ECBはこの日の政策委員会で、短期金利 の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ= レポ)の最低応札金利を1%に据え置いた。同総裁は一方で、追加 利下げの可能性を排除することはせず、「いかなる状況においても 現行水準が政策金利の下限だと今日決定したわけではない」と語っ た。

ECBは昨年10月以来、主政策金利を計3.25ポイント引き下 げている。先週は初の1年物資金入札を実施し数千億ユーロを銀行 システムに注入した。600億ユーロ規模のカバードボンド購入も6 日から開始する。

IHSグローバル・インサイトの欧州担当チーフエコノミスト、 ハワード・アーチャー氏は「ECBは今のところ、しっかりと『様 子見』を決め込むようだ」として、「ECBは明らかに、少なくと も短期的には手を止めてさまざまな政策措置の効果を検証する余地 があると考えている」とコメントした。

トリシェ総裁の「適正」という言葉は通常、当面の金利据え置 きを示唆する。同総裁は会見で、この日の決定は全会一致だったと 述べた。

来年半ばの景気回復を予想

同総裁は景気について、「経済活動は引き続き弱いと見込まれ るものの、今年1-3月(第1四半期)に比べれば縮小のペースは 鈍化するだろう」とし、「来年について見ると、安定化の時期を経 て2010年半ばごろに回復の時期が訪れるだろう」との見通しを示し た。

ECBは今年のユーロ圏経済成長率をマイナス4.6%前後、来 年をマイナス0.3%と予想している。ロイヤル・バンク・オブ・ス コットランド・グループ(RBS)のエコノミスト、シリビオ・ペ ルーゾ氏は「景気が再度悪化したりデフレの兆候が表れたりした場 合は、ECBは最終的に追加利下げをするかもしれない」と話した。

トリシェ総裁はまた、ECBは期間1年の流動性供給オペの初 回結果に「満足している」と述べた。このオペで市中銀行に「相当 大きな額」の資金を供給したとし、「固定金利でのこのオペによっ て銀行の流動性はさらに強化され、短期金融市場は支えられるだろ う」と述べた。

同総裁は、成長が回復した際には金融・財政両面の景気刺激を 迅速に引き揚げることの必要性を認識しているとして、「政策委は 確実に、導入済みの措置を逆転させ、供給した流動性を吸収するだ ろう。ECBの政策は出口戦略が容易であるように設計されている。 中長期的な物価安定に対するいかなる脅威にも、迅速かつ効果的に 対処することが可能だ」と言明した。

当面については、インフレ圧力が弱い状態が続くとの見通しを 示した。6月のユーロ圏消費者物価指数は前年同月比0.1%低下だ った。トリシェ総裁は「年間インフレ率の低下は主に、一時的な現 象を反映したものだ」とし、「インフレ率はプラス圏に戻った後に、 予想可能な将来において抑制された状態が続くと考えている」と述 べた。

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