「スーザン・ボイル」戦略で好成績、埋もれた銘柄探せ-SG鎌田氏

日本株相場が2000年以降、およそ 4割下落する中、基準価格が2倍以上に膨らんだ投資信託がある。ソシ エテジェネラルアセットマネジメントの鎌田博光・日本株ターゲット運 用部長(48)が運用するファンドだ。異例の好成績を支えた銘柄発掘の 手法は、「スーザン・ボイル」の誕生秘話に似ている。

英国の人気オーディション番組で抜群の歌唱力を披露し、世界的に 有名になった女性スーザン・ボイルさん。その歌声は、動画投稿サイト 「ユーチューブ」で2億回以上も世界に配信され、一大ブームを引き起 こした。スコットランドの田舎町出身で、休職中の独身女性。48歳に なるその年まで、彼女の才能は世間に埋もれていた。

「聞きながら、なんでこれだけ魅力のある人が、今まで知らずに埋 もれていたのだろうと考えさせられた。私たちの投資している企業の多 くも、人前に出てくる彼女のような状況にある」――。鎌田氏らが運用 する「SGターゲット・ジャパン・ファンド」の5月の顧客向け月報の 冒頭には、メッセージとしてこう記されていた。

「SGターゲット」は、トムソン・ロイター・リッパー社の2008 年国内籍追加型・日本株投信運用成績ランキングで1位に輝いた。2000 年8月の設定以来、TOPIXの騰落率が約4割落ち込む中、同ファン ドの運用成績は2.3倍(7月1日時点)に達する。金融危機が襲った 08年は、TOPIXが4割の大幅下落となったのに対し、期中の騰落 率は2割の下落にとどまった。

設定以来一貫した運用手法は、「日本の市場で注目されていない銘 柄に的を絞って投資をする」(鎌田氏)ことだ。組み入れ銘柄のほとん どを、アナリストがカバーしていない中小型株が占める。運用チームは、 常に人知れず埋もれる「スーザン・ボイル」を探している。

流行横目に基本で勝負、忍耐力が大事

銘柄発掘方法の特徴は、基本に忠実だ。「低PBR(株価純資産倍 率)」「財務健全でキャッシュリッチ」「株主還元余力が高い」の3つ の視点から定量分析的なスクリーニングを実施。その上で会社訪問を通 じ、キャッシュは無駄な投資に使われないか、経営者が株主の方を向い ているか、などをチェックする。

鎌田氏は「忍耐力がいる運用方法。安い時に買ってじっくり待つ。 こうした運用を実践する人が少ないのは、我慢ができないからではない か」と笑う。環境ファンド、ゲノムファンドなど、流行の投資テーマを 売りにした投信が投資家の間で人気化する中、純粋にボトムアップで個 別銘柄を積み上げている。

5月29日現在の組み入れ上位銘柄には日本電設工業(2.5%)、日 本新薬(2.5%)、天馬(2.5%)、長府製作所(2.4%)、七十七銀行 (8341)、きんでん(1944)など、キャッシュリッチで割安な銘柄が並 ぶ。SGアセットでは同コンセプトの商品を3月末現在で計400億円程 度運用、その多くは国内外の年金基金など機関投資家向けという。

「皆が買っている銘柄を後から買うと失敗する。誰も見ていない銘 柄を安いところで買いたい」と、鎌田氏。より厳格に割安株を発掘する ため、リース債務や年金債務等を負債として認識し、純資産より控除し た独自の修正PBRを活用している。こうした戦略が評価され、同じ手 法を用いた「日興SGターゲット・ジャパン・ファンド」の運用が5月 29日から始まった。同ファンドの運用資産額は約240億円。

オーディション会場で、夢はプロの歌手になること語ったスーザ ン・ボイルさん。審査員が「まだ実現していないのは何故かな」と意地 悪な質問を投げると、彼女は「機会がなかったんですもの」と答えた。 鎌田氏が投資する銘柄は、人前に出てきた彼女のようなものだ。

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