大企業景況感が2年半ぶり改善も低水準、予想下回る-短観(Update3)

日本銀行が全国約1万社を対象に行 った企業短期経済観測調査(短観、6月調査)で、大企業の景況感が 2006年12月調査以来2年半ぶりに改善した。海外経済の下げ止まり や内外の在庫調整進展を受けた輸出と生産の持ち直しに加え、政府・ 日銀による経済金融政策が改善に寄与したが、事前予想を下回った。 水準自体も低く、景気の先行き不透明感は払しょくされていない。

日銀が1日発表した短観で、景気が「良い」と答えた企業の割合 から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)は、大企業・ 製造業がマイナス48と3月の前回調査から10ポイント改善した。大 企業・非製造業の業況判断DIはマイナス29と同2ポイント改善した。

5月の鉱工業生産指数は前月比5.9%上昇と持ち直しの動きが続 いているが、前年同月に比べなお3割も低い水準にある。短観では設 備投資計画が大きく落ち込んだほか、雇用・設備面の過剰感も高まっ ており、景気の持ち直しが持続するかどうか、懐疑的な見方が強い。

定額給付金や高速道路料金の大幅値下げ、家電へのエコポイント の付与やエコカーへの買い替え促進策など政府の景気対策に加え、株 価の上昇も企業マインドを改善させたとみられる。日経平均株価は前 回調査期間中にバブル崩壊後の安値(3月10日の7054円98銭)を付 けたが、同日午前終値は9967円32銭と大きく持ち直している。

本格回復とはほど遠い

ただ、大企業の業況判断DIは事前予想を下回った。自動車はマ イナス79と前回調査から13ポイント改善したが、なお水準自体は低 い。日本自動車工業会(自工会)が先月29日発表した5月の国内四輪 車生産台数は前年同月比41%減の54万2282台と、2月を底に減少率 が縮小しているが、依然として前年の水準を大きく下回っている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは短観の結果について 「在庫調整の進展や経済対策効果から、急速な景気悪化に歯止めが掛 かり、景況感が持ち直しつつあることを示唆する内容」としながらも、 「業況判断DIの改善幅は市場の予想ほどではなく、水準も極めて低 い」と指摘。「設備・雇用の過剰感も強い。収益・設備投資計画は大幅 に下方修正されており、景気の本格回復とはほど遠い」としている。

2009年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比9.4%減と 前回調査から下方修正され、6月調査としては比較可能な1983年以来、 最大の落ち込みとなった。マネックス証券の村上尚己チーフエコノミ ストは「設備投資を中心に国内需要の調整圧力は極めて強く、景気が 2番底に陥るリスクを懸念せざるを得ない」と指摘する。

高まる設備、雇用の過剰感

生産・営業用設備判断DI(全規模全産業)はプラス21と前回調 査から2ポイント上昇、雇用人員判断DI(同)もプラス23と3ポイ ント上昇し、いずれも過剰感が強まっている。アールビーエス証券の 西岡純子チーフエコノミストは「設備余剰感が強まる下では、生産回 復の中でも設備投資は圧縮され続けるだろう」と指摘。「足元の雇用・ 所得環境の悪化によって消費は減速に転じる可能性が濃厚」という。

日銀は9月末までの時限措置としてコマーシャルペーパー(CP) や社債の買い入れ、企業金融支援特別オペを実施している。時限措置 の延長の可否を占う上で注目された資金繰り判断DI(全規模全産業) は、マイナス12と前回調査から3ポイント改善。CPの発行環境判断 DI(大企業)もマイナス14と10ポイント改善した。

西岡氏は「主要国中央銀行の出口戦略が関心を集めているが、短 観の業況判断はさほど改善していない」と指摘。企業の資金繰りにつ いても「大企業は幾分改善したが、中小企業向けは悪化が続いており、 業況判断も改善していない」として、短観の結果は日銀にとって「出 口戦略に向けた後押し材料にはなり得ない」とみている。

中小企業のDIは改善せず

中小企業・製造業の業況判断DIはマイナス57と前回調査から変 わらず。3カ月先の見通しはマイナス53だった。中小企業・非製造業 はマイナス44と2ポイント悪化、先行きはマイナス45だった。伊藤 忠商事の丸山義正主任研究員は「景気底入れの恩恵が中小企業にはほ とんど及んでいない」と指摘している。

09年度の想定為替レートは通期で1ドル=94.85円、上期が同

94.93円、下期が同94.77円。回答期間は5月26日-6月30日。調 査対象企業は1万319社、回答率は99.0%だった。統計発表後の東京 外国為替市場の円の対ドル相場は午前11時12分現在、1ドル=96円75 銭。発表直前は同96円27銭近辺で推移していた。東京先物市場の午 前の中心限月9月物は同17銭安の137円93銭で終了している。

--取材協力 村岸静 乙馬真由美 Editor:Hitoshi Ozawa,Masaru Aoki

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