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FRB議長も驚きの「グリーンシュート」浸透-バフェット氏は冗談も

現在のリセッション(景気後退 下)でも成長している分野が少なくとも1つある。「グリーンシュー ト(新芽)」という表現の使用だ。

信用市場の凍結状態が緩む兆候を表現するのにバーナンキ米連 邦準備制度理事会(FRB)議長が約4カ月前にこの言葉を初めて使 ってから、植物の育つ様子に例えたこの表現がマスコミに登場する回 数は7倍に増えた。グーグルでの検索は486万回に達している。

米ミレニアム・ウェーブ・アドバイザーズのジョン・モールデ ィン社長は「投資家としての私の人生で最も乱用され、困惑させられ る言葉だ。景気回復を示唆するあらゆる兆しにこの言葉が使われる」 と指摘する。

バーナンキ議長は3月15日、米CBSの番組「60ミニッツ」 の収録で、住宅ローンや商業ローンの金利低下を受けて、金融市場の 一部に「グリーンシュート」が見受けられると発言。野村ホールディ ングスの調査によれば、この言い回しは5月の新聞記事で3123回登 場し、2月の436回を大幅に上回った。

楽観論者も悲観論者もこの言葉を使っている。ゴールドマン・ サックス・グループのチーフエコノミスト、ジム・オニール氏は4月 27日、2010年の世界の成長率見通しを2.8%から3.2%に上方修 正し、世界経済のグリーンシュートが「スイセンに育ってきている」 と発言。これに対し、ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取 引責任者、デービッド・コード氏は5月26日に「住宅問題が景気の 足を依然として引っ張っている」と語り、「グリーンシュートかもし れないが、育ち方は緩慢で、むしろコケだ」と話している。

冗談飛ばすバフェット氏

著名投資家ウォーレン・バフェット氏に至っては今月24日、自 身の視力に問題があるかもしれないと冗談を飛ばした。同氏は経済専 門局CNBCに対し、「約1カ月前に左目の白内障の手術を受けたか ら、グリーンシュートが少しは見えるようになるかもしれないと思っ ていたが、やっぱり見えない」と述べた。

今回の金融危機を言い当てたことで知られる米ニューヨーク大 学のヌリエル・ルービニ教授(経済学)は今月22日、主要国経済の リセッションが向こう半年から9カ月続くと予想し、経済指標を見渡 せば「グリーンシュートよりも黄色い雑草が多い」と表現した。

グリーンシュートの表現使用は経済分野以外にも広がっている が、この言葉を初めて使ったのはバーナンキFRB議長ではない。 1990年代初頭のリセッションで、ラモント英蔵相(当時)は「経済 の春にグリーンシュートが再び見え始めた」と語ったが、景気がその 後数カ月間拡大せず、同氏は苦境に陥った経緯がある。

バーナンキ議長が復活させた「グリーンシュート」の表現。現 実を言い当てているかどうかは分からないが、ブルームバーグが集計 したデータによれば、この言葉が浸透するにつれ、個人や企業の景況 感指数は改善した。

証券ブローカー、カットトーンのシニア・バイスプレジデント、 バーニー・マクシェリー氏は「ビジネスに関連したキャッチフレーズ で、ここまで大衆の心をつかんだ言葉はほかには思い当たらない」と 述べた上で、「グリーンシュートが新芽であり続けることはできない から、そろそろこの言葉を使うのはやめ、経済の現状を示唆する言葉 に置き換えてはどうだろうか」と提案した。

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