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生産持ち直しの持続性を疑問視する声-在庫調整後は最終需要が鍵

景気回復の鍵を握る鉱工業生産指 数の先行きについて、民間エコノミストからは早くも持ち直しの持続 性を疑問視する声が相次いでいる。企業が在庫調整を終わらせた後の 動向は最終需要が決定的な要素となるが、欧米経済の早期回復が期待 できない中、生産が再び停滞する恐れがある。

5月の鉱工業指数速報(季節調整済み、2005年=100)によると、 生産指数は前月比5.9%上昇と、4月と並んで1953年3月(同7.9% 増)以来の上昇率となったが、ブルームバーグ・ニュースのエコノミ スト調査の予想中央値(7.0%上昇)を下回った。また、同時に発表さ れた製造工業生産予測指数は6月が前月比3.1%上昇、7月が同0.9% 上昇と上昇幅が次第に縮小し、先行きの不透明感を強めている。

みずほ総合研究所の杉浦哲郎チーフエコノミストは、ブルームバ ーグ・ニュースに対し、生産予測指数について「回復の持続性に疑問 を持つのに十分なスローダウンだ」と述べ、生産は今後「1、2カ月 で頭打ちになるのではないか」と予想した。

さらに今までは「実際の需要の回復よりも期待に基づいた仮需の 面が大きかった」とし、実際の最終需要を見れば、欧米は景気低迷で 期待薄であり、中国も政策効果により支えられている側面が大きいと 指摘した。

昨年秋のリーマン・ショック後の世界的な経済・金融危機の中で、 日本企業は今年1-3月期まで大幅な在庫調整を進めてきた。その結 果、生産は今年1月には前月比10.1%低下と過去最大の落ち込みとな ったが、3月に同1.6%の上昇に転じてからは5月まで3カ月連続の 上昇となった。ただ、国内の設備投資が弱い上、個人消費も盛り上が りに欠けるなど本格的な回復につながるには障害も多い。

ドイツ証券の安達誠司シニアエコノミストは29日付のリポート で、生産指数との関連性が強い経済指標の改善ペースの鈍化を考え合 わせると、やや悲観的過ぎるかもしれないが、「秋口以降からの生産指 数の反落を考慮すべきかもしれない」との見方を示している。

今は様子見の段階

一方、藤岡文七内閣府審議官は29日午後の定例会見で、生産の先 行き鈍化予想について、「企業による一連の調整局面を経るにしても、 今後は外需がしっかりしてくるか、あるいは内需面もどの程度上がっ てくるか、今は様子見の段階と判断している」との見方を示した。

その上で、「足元を固めながら進めなければいけない」と指摘。下 降したスピードと同じスピードで「上がってくることはイメージして いない」と述べ、急回復は難しいとの見通しを示した。

藤岡氏は、生産や輸出の持ち直しに加え、株価の上昇や消費者心 理の改善などに触れ、景気は「これ以上は悪くはならないと判断して いる」と述べる一方、物価下落による景気下押し圧力や企業の設備投 資意欲の低迷、雇用情勢の悪化などを懸念材料として挙げ、「予断を許 さない厳しい状況にある」との認識を示した。

To contact the reporter on this story: Jason Clenfield in Tokyo at jclenfield@bloomberg.net; 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.net 東京 David Tweed dtweed@bloomberg.net

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