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鉱工業生産、5月は過去2番目の5.9%上昇-持ち直し維持

5月の鉱工業生産指数は、企業の 在庫削減が急速に進んだことやアジア向けを中心に輸出が回復過程に あることを受け、前月比上昇率は過去2番目だった4月に並んだ。自 動車や携帯電話などの生産が増加に寄与した。生産水準は依然低いも のの、先行きも6月、7月と上昇が見込まれ、生産の持ち直しが続い ている。

経済産業省が29日発表した5月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005年=100)によると、生産指数は前月比5.9%上昇の79.2となっ た。3カ月連続のプラス。4月と並んで1953年3月(同7.9%増)以 来の上昇率となる。前年同月比では29.5%の低下だが、経済産業省は 「生産は持ち直しの動きが見られる」とする前月の判断を維持した。

1-3月期の実質GDP(国内総生産)2次速報値は、前期比年 率14.2%減と1次速報値から上方修正されたが、戦後最悪であること は変わらなかった。4-6月期は生産と輸出の持ち直しにより、5四 半期ぶりのプラスになるとの予測が有力だ。 政府は6月の月例経済報 告で、景気は「厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きが見 られる」として、底打ち宣言をしている。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表後、「4-6 月の生産は『V字』経路で回復している」とする一方、「7月の生産計 画はほぼ横ばいまで減速している。『V字』の生産回復は6月までで、 7月以降は輸出回復に対応した緩やかな増産ペースに落ち着くだろ う」との見通しを示した。

4-6月は8.7%上昇か

ドル円相場は総じて小動きで、午後零時44分現在、1ドル=95 円48銭。発表直前は95円19銭だった。日経平均株価は前週末比29 円79銭高の9907円18銭。債券先物市場では、事前予想ほどは強くな かったことを受けて買い優勢となった。現物債市場では5年債利回り が前週末より1ベーシスポイント(bp)低い0.71%で取引された。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値は前 月比7.0%上昇、前年同月比28.8%低下だった。5月の出荷指数は前 月比4.5%上昇と3カ月連続で上昇し、在庫指数は同0.6%低下と5カ 月連続で低下した。在庫率指数は同0.1%上昇と3カ月ぶりの上昇と なった。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は生産について「事前の 予想ほどには改善しなかったが、ようやく下げ止まり、改善の兆しも 出てきたのは間違いない」とする一方、「生産指数の水準自体は79.2 とピーク(08 年2月の110.1)の7割強にまで戻してきたが、低水準 であることには変わりはない」と指摘した。

同時に発表された6月の製造工業生産予測指数は前月比3.1%上 昇、7月は0.9%上昇となったが、先行き予想の上昇幅は縮小してお り、生産が持続的に持ち直すかどうか不透明な部分もある。鉱工業生 産は昨年秋のリーマン・ショックを契機に急降下した後、今年2月を 底に反転した。同省調査統計部の志村勝也経済解析室長は記者説明で、 6月の予測指数がそのまま実現した場合、4-6月期は前期比8.7% 上昇となるとの試算を示した。

先行きは「慎重に見る必要」

志村氏は、企業による急速な生産・在庫調整を経て「需要に見合 った生産に移ってきている」とし、設備投資や個人消費が厳しい状況 にあるため先行きは「慎重に見ていく必要がある」とも語った。

5月の生産で上昇した業種は16業種中、14業種。普通自動車の 生産は国内向けと欧米向けなどで増加し、携帯電話やゲーム機用の電 子部品についてはアジア向けが伸びた一方、国内向けは政府によるエ コポイント制度の導入で家電製品の需要が伸びていることが背景にあ るという。

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは、今年初めま で続いた輸出の失速は、「『需要が蒸発した』 わけではなく、『本来あ る需要が先送りされた』面も大きかった」と指摘。「製造業が実体景気 を過小評価していた可能性もあり、結果として、 海外現地法人などで 在庫調整を必要以上に急ぎ過ぎた面もあったかもしれない」とし、「見 方を変えれば、日本の製造業がたぐいまれな生産調整能力を示した」 と分析している。

内閣府の齋藤潤政策統括官は先週行ったブル-ムバーグ・ニュー スのインタビューで、日本経済の早期底打ちの背景について、「企業が 在庫調整をかなり急速に進展させていたので、輸出が持ち直してきた 時に在庫調整はほぼ終了していた」とし、「輸出と出荷が伸びてきた時 に、それに 合わせて生産も伸ばせる状況にあった」ことが大きいと説 明した。

5月の生産増加に寄与した国内自動車メーカーの世界生産台数は、 依然として前年同月比では大幅に下落しているが、年初の低水準から は持ち直す動きがあり、一部では減産規模を緩和し始めている。この うち、トヨタ自動車は前年同月比39%減で87年以来の下落率ながら、 下落率は今年2月の同53%減から徐々に縮小。日産自動車も同27%減 で、1月の同54%減から縮小傾向にある。

--取材協力 小松哲也 萩原ゆきEditor:Hitoshi Ozawa,Masaru Aoki

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