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ドル底堅い、中国の外貨準備政策に変更なしとの発言が下支え

東京外国為替市場ではドルが値 を戻す展開となった。新興国によるドル資産離れが懸念されるなか、 中国が早急な外貨準備政策の変更を否定したことから、ドルの買い戻 しに圧力がかかった。

ソシエテ・ジェネラル銀行の斉藤裕司外国為替本部長は、先週末 にドルに代わる基軸通貨をめぐる議論が蒸し返され、ドルが下落する 局面がみられたが、中国当局者から否定的なコメントが出たことから、 ドルが買い戻されていると説明。今後は引き続き米金利動向が注目さ れるとしたうえで、米国の債券発行がこれからも相次ぐ見通しのなか、 「需給悪化懸念が再燃しないかどうかが焦点になる」としている。

ユーロ・ドル相場は前週末の海外市場で一時1ユーロ=1.4118 ドルまでドルが売られたものの、この日は買い戻しが継続。午後の取 引で一時1.3983ドルまで水準を切り上げる場面もみられている。

ドル・円相場は前週末に一時1ドル=95円5銭までドル安が進 んだが、東京市場では95円59銭まで反発。しかし、午後の取引に かけては、ドルの上値で国内輸出企業の売りも散見されたとの指摘が あり、95円台前半まで押し戻されて推移した。

ドル資産離れ懸念が緩和

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は28日に、スイスのバ ーゼルで記者団に対して、同国が外貨準備政策を突然変更することは ないと述べた。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、「米国債を保有 している中国にとっても、ドルの急落はデメリットになる」と説明し ている。

また、アラブ首長国連邦(UAE)中央銀行のスルタン・ビン・ ナセル・スワイディ総裁も、準備通貨としてのドルについて、「ドル はナンバーワン通貨であるから、ドルと今後もやっていく以外、現時 点で代替通貨はないと思う」と言明。各国中銀の外準におけるドル離 れ懸念が緩和する格好となっている。

大和証券SMBC金融市場調査部の長崎能英チーフFXストラテ ジストは、中国が指摘している新たな準備通貨をめぐる議論は長期的 な問題で、「すぐに何かが変わるということではない」としている。

前週末の26日には、人民銀が新たな準備通貨が必要との見解を あらためて示すとともに、国際通貨基金(IMF)が加盟国の外貨準 備の一部を管理するべきだとの考えを表明。海外市場ではドル売りが 進んでいた。

さらに、ブラジル中央銀行のスポークスマンが28日に、同国と 中国が両国貿易でドルに代わる自国通貨の使用で研究を開始すること で合意したことを明らかにしており、新興国間でドルへの依存度を軽 減する動きは根強く、長期的なドル安材料としてくすぶっている。

内外の重要材料を見極め

一方、朝方に発表された日本の5月の鉱工業生産指数速報による と、生産指数は前月比5.9%の上昇と、3カ月連続でプラスを維持。 上昇率は4月と並び1953年3月以来となった。前年同月比では

29.5%低下だった。

今週は日本で30日に5月の失業率が発表されるほか、7月1日 には日本銀行が6月調査の企業短期経済観測調査(短観)を公表する。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想によると、日銀短 観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス43と、 今年3月の前回調査(マイナス58)から改善が見込まれている。

また、米国では、雇用関連指標の発表が目立つ。大和証の長崎氏 は、「米国の実体経済が底堅いとの見方につながれば、商品市況の上 昇が見込まれ、資源国・高金利通貨が買われる展開もあり得る」とみ ている。

ユーロ圏では、2日に欧州中央銀行(ECB)が金融政策決定会 合を開く予定で、利下げ打ち止め観測が意識されやすく、ユーロの下 値が限定される可能性もある。

SG銀の斉藤氏は、引き続き欧州を中心に格下げならびにデフォ ルト(債務不履行)リスクがあるとしながらも、「金利差でいうとユ ーロが選好されやすい」とみている。

--取材協力:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama,

Joji Mochida

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