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日本の信用力、小泉政権後は悪化続く-S&Pの小川氏

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)の小川隆平ディレクター(シンガポール在勤) は、同社が日本の格付けを現在の「AA」から引き下げるには十分で はないものの、日本の信用力は過去3年間に悪化したと述べた。

小川氏は23日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで 語った。この中で同氏は「はっきり言って、状況はあまり勇気づけら れるものではない」とし、今までのところの見通しを変えるほどでは ないとしながらも、「少しずつ良くない方向に動いているのは確か」 と語った。

同氏は、小泉純一郎内閣が指導力を発揮した歳出削減と債務の削 減は、小泉内閣以後に登場した3つの内閣の指導力不足や世論の低い 支持率のために、痛みを伴う改革推進が困難になり失敗に終わったと 指摘した。これに加えて、昨年秋以降の世界的な景気後退の結果、日 本の経済成長や税収増が困難となり、債務負担の増加により財政の見 通しが悪化したとしている。

小川氏は、こうした状況を勘案すると、「ここ1、2年、または 2、3年になるかもしれないが、財政再建の方向性は出てきても、 そんなに大規模なものにはなりにくい」との見方を示した。

見通しは「安定的」

S&Pによる円建て日本国債の格付け「AA」は最上位から3番 目で、ムーディーズ・インベスターズ・サービスと同じレベルの格付 け。両社とも、日本国債の格付け見通しは「安定的」としている。

小川氏は、「とりあえず、今までの段階では見通しが安定的とい うことで、現在の格付けが少なくとも1年ぐらいは続く可能性が高い」 との見通しを示す一方、「いつでも格付けを変える機会はある。もし 状況が大きく変化するなら、当社の見方も変わる」と述べた。

麻生太郎政権は今週、少子高齢化に伴って増大する社会保障費の 自然増抑制を撤回した。また、2011年度までに基礎的財政収支(プラ イマリーバランス)を黒字化するとの目標を放棄するに至った。

小川氏は、「麻生政権になってから改革疲れだ、という声が出て いる。また麻生総理自身が基本的に小さな政府志向ではないのだろう 」と指摘した。

経済協力開発機構(OECD)によると、来年の日本の債務残高 は国内総生産(GDP)の197%に上昇する見込みだ。

政治面のリスク

小川氏は、「日本の政治は短期的に1、2年のタームでみて、安 定しない可能性が高い」と述べるとともに、「この段階で政府がやって いることは一時的な話と取らざるを得ない」と、日本の政治面でのリ スクを指摘した。

同氏は、近く実施される衆院選挙の結果次第では、財政政策や社 会保障などの政策が全く異なることになる可能性があることを挙げ、 社会保障費の自然増抑制の撤回は「財政再建には後向きの動きだが、 果たして半年後に続いていくのか。全く違う取り組みが出てくる可能 性もある」と語った。

最近の長期金利の上昇については、「この程度であれば、1年に ならせば政府の金利コストに大きな影響を及ぼすところまではまだい っていない」と説明。「10年物金利が2%超えて2.5%などになってく るとだんだん予算内ではやっていけない。現段階では、そこまで行き そうにないとみている」と述べた。

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