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日銀はレポ金利低位安定を重視-国債増発控え長期金利上昇を警戒

国債購入の資金手当てを行うレポ (現金担保付債券貸借)金利が異例の低位安定を続けている。7月か らの増発に備え、日本銀行が潤沢な資金供給を実施しているためだ。 長期金利の上昇が警戒されるなか、利回り曲線の起点であるレポのコ ントロールは、今後の金融調節の重要な課題になっている。

2営業日後に受け渡しされるスポットネクスト物のレポは0.12 -0.13%前後と、極めて狭いレンジ取引だ。日銀の金融調節の誘導目 標は無担保コール翌日物だが、市場参加者の間では、レポの「コリド ー(通り道)」調節とも呼ばれている。

レポは通常、銀行の資金需要が高まる月末にかけて上昇しやすい が、今月はほとんど変化が見られない。30日間の移動平均でみたヒス トリカル・ボラティリティ・グラフは直近の最低水準を付け、金利が いかに安定しているかを示している。

RBS証券の市川達夫シニアストラテジストは、「未曾有の増発で 投資家が慎重になれば、業者は一時的でも在庫を抱えざるを得ない。 その場合、レポは資金手当ての生命線になる」と指摘する。

在庫ファンディングがテーマ

国債決済が集中する22日、日銀は当座預金残高を年度末並みの 17兆円台まで大幅に拡大した。国債が大量に償還されるが、その資金 が一部の金融機関に偏在し、市場でうまく循環しなかった場合、レポ が上昇する事態を警戒したためだ。国内証券のトレーダーは、ここで グリップを緩めたら何が起こるか分からないと指摘する。

財務省は25日、増発の初回となる2年債(7月発行)入札を実施 する。発行額は4000億円増の2兆4000億円で、増額幅は各年限のな かで最大。利回り水準が低いなか、大手銀行など機関投資家が買いを 手控えれば、増発による需給悪化の懸念が市場に広がりかねない。

国債購入に備えた待機資金が短期金融市場に滞留しており、順調 に消化されるとの声も多いが、市場に供給される国債が増えるのは事 実。今年度に入って公的機関による国債購入が減っていると指摘され るなかで、利回りの上昇は避けられないとの見方もある。

国内証券のトレーダーは、国債大量発行の時代を迎え、業者の在 庫ファンディング(資金手当て)が大きなテーマになるという。資金 手当てに安心感が持てなければ、国債を引き受ける業者がリスクを取 りづらくなり、国債の順調な消化に懸念が生じるためだ。

金融調節が第一

日銀の白川方明総裁は16日の会見で、国債の買い入れ残高を日銀 券の発行残高までとする日銀券ルールを守る理由について、第一を金 融調節上の理由、第二を財政ファイナンスの問題と言明。日銀当座預 金増減要因の変動が大きいなか、「なたを振り回すように長期オペを行 うことは、長期国債市場の安定的な価格形成という意味でも望ましく ない」と説明した。

国内大手銀行の資金担当者によると、日銀は増発を意識して、か なりきめ細かくレポをコントロールしているという。日銀券ルールを 越えた国債買い入れ増額の思惑もくすぶるなかで、レポ安定は欠かせ ないと指摘する。

昨年9月のリーマンショック以降、レポ市場では一時、資金の流 れが枯渇したうえ、資金の出し手がメガバンクなどに偏っている構造 的な問題も抱え、十分な流動性が回復していない。このため、日銀は 毎日、3兆-5兆円の国債買い現先オペや共通担保オペを使って流動 性を補完している。

東短リサーチの寺田寿明研究員は、「日々の資金供給オペの金額を 柔軟に増減させ、金利が上昇すれば潤沢に供給してくれるとの期待が 浸透してきたことも安定要因だ」という。

RBS証券の市川氏は、日銀券ルールから残存期間1年未満の国 債を除く条件緩和の可能性は今後あり得るとしながらも、「日銀の仕事 は金融市場の安定。まず引き受け増額を期待するのはお門違い」とい う。

米連邦準備制度理事会(FRB)による長期国債の大量買い入れ が財政ファイナンス問題として懸念されている。日銀は国債の利回り 曲線の起点であるレポ市場を掌握することで、市場参加者と一体にな って「国債大量発行」を乗り越えていく姿勢のようだ。

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