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【日本株週間展望】為替左右し一進一退、上昇一服感漂う-需給良好

6月第4週(22-26日)の日 本株相場は一進一退が予想される。世界的な景気回復期待を追い風と した株高が一服する中、外国為替相場など外部環境に左右されやすい 展開となりそう。合計すると相場全体の売買シェアで8割超を占める 外国人投資家と個人投資家の買い意欲は健在で、株式需給面は良好だ。

フォルティス・アセットマネジメントの清川鉉徳シニア・ファン ド・マネジャーは、大型財政支出を支援材料に世界各国で景気は底打 ち感を強めているが、「民需の立ち上がりによる自律的な回復につな がることを今秋以降に確認できるまでは、現状の株価水準から積極的 には買い進めない」と話している。

19日の日経平均株価は前の週末に比べ350円(3.6%)安い 9786円と、節目の1万円を割り込んで終えた。6月のニューヨーク 連銀製造業景気指数が市場予想を下回るなど、米国景気の早期回復期 待が後退したほか、欧州で金融不安が再燃し、電機や自動車などの輸 出関連株が売られた。証券など金融株も軟調な展開を強いられた。

日本の相対的優位が逆風も、円高警戒

日本政府は17日発表した6月の月例経済報告で、景気の基調判 断を2カ月連続で上方修正した。与謝野馨経済財政担当相は、生産や 輸出の動向などから「明らかに1-3月期が底であったのではない か」と述べた上で、現状については「傾向としては輸出や生産が上を 向き始めたので、底を打ったと強く推定している」と言及。主要先進 国の中で最も早く景気底打ち宣言をした格好だ。

一方、欧州中央銀行(ECB)が15日に発表した報告書による と、ユーロ圏内の商業銀行は来年末までに2830億ドル(約27兆 6000億円)の追加損失を計上する可能性がある。また、ドイツ商工 会議所(DIHK)が国内企業を対象に行った調査では、「与信環境 が悪化した」と回答した企業の数が初夏の時点で23%と、年初の 20%から増加。不良債権問題への懸念から、ユーロ圏経済の先行き 不透明感がにわかに広がっている。

米国ではNY連銀景気指数など直近の経済指標が総じて振るわな い。17日発表された5月の消費者物価指数(CPI)は前月比

0.1%上昇と、エコノミスト予想の中央値(0.3%上昇)を下回った。

日米欧の実体経済を比較すると日本の優位さが目立ち、日本株へ の資金流入を促す要因になり得るが、東洋証券の児玉克彦シニア・ス トラテジストは「主要国の経済金融環境を総合的に分析すると、外為 相場で円が買われやすく、一段の円高進行が懸念材料」と指摘。大半 の輸出企業の今期想定レートである1ドル=95円の節目を割り込む 円高・ドル安となれば、「採算悪化懸念で輸出株への売りが止まらな くなる可能性もある」と警戒する。

外国人に買い余地、個人は下支え役

米証券のバンク・オブ・アメリカ-メリルリンチが17日発表し た6月のファンドマネジャー調査では、日本株のネット・アンダーウ エイト(オーバーウエートからアンダーウエートを引く)は6月にマ イナス23と、5月のマイナス31から8ポイントマイナス幅が縮小。 世界の投資家の日本株に対する弱気の程度が低下した。

メリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、 東京証券取引所の投資主体別売買統計で、外国人投資家が日本株を 08年9月から09年3月にかけて約6兆円売却した後、09年4月と 5月の2カ月間で昨年9月以降の売却分の10分の1程度しか買い戻 していない点に着目。「今回の調査結果と合わせて考えると、海外勢 が日本株を買い戻す余地は依然大きい」と見る。

東証が18日発表した6月2週の投資主体別売買動向によると、 外国人は3週連続で買い越し、買越額は2563億円と、前の週(880 億円)を大きく上回った。米欧株の堅調推移を前提条件に、「アジア 株の中で出遅れていることに着目したグローバル運用の資金流入が見 込める状況は続く」(フォルティスの清川氏)との声が聞かれる。

一方、相場の下落局面では、逆張りの傾向がある個人投資家の買 いが下支え役となりそうだ。18日には日経平均が値を切り下げ、25 日移動平均線に急接近したが、その後買い戻されたのは、個人が下値 を拾う動きを活発化したためとの見方が多い。水戸証券の吉井豊投資 情報部長は「信用評価損益率の改善傾向が続き、短期売買を選好する 信用取引を中心に個人の買い意欲はおう盛」と話す。

吉井氏によると、6月中旬から下旬にかけては、決算発表を終え た会社への取材を経て、各社のアナリストがリポートの発行や投資判 断の変更を行う。「短期値幅取りを狙う個人や証券ディーラーは、投 資判断の変更などを材料にこぞって売買する」(同氏)といい、アナ リストによるレーティング変更などへの注目度が高まっている。第3 週も一部のアナリストによる投資判断の引き上げを受けて、住宅関連 株や不動産株が買いを集める場面があった。

米国でFOMCや住宅指標、国内は法企景気調査

第4週は、23-24日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開 催されるなど、米国で注目材料が多い。23日に5月の中古住宅販売、 米連邦住宅金融局(FHFA)による5月の住宅価格指数、24日に は5月の新築住宅販売と、住宅関連指標の発表も相次ぐ。このほか 24日に5月の耐久財受注、25日に1-3月期の国内総生産(GD P)確定値などもある。欧州では、22日に独Ifo経済研究所によ る5月の企業景況感指数の発表が予定されている。

国内統計で注目度が高いのは、22日発表の4-6月の法人企業 景気予測調査。日本銀行が7月1日に発表する6月の企業短期経済観 測調査(短観)を占う指標と位置付けられている。3月発表の1-3 月期の同調査では、大企業全産業の景況判断指数が04年の調査開始 以来の最低水準を更新したものの、同指数の先行き見通しは4-6月 期、7-9月期とマイナス幅が徐々に縮小していた。国内景況感の改 善傾向が確認できれば、日本株にプラスに働く可能性もある。

*T【市場関係者の見方】 ●三菱UFJ投信株式運用部の高田穣ファンドマネジャー

「国内企業は業績の下期急回復を見込んでいるが、まだ不透明で、 バリエーションはすでに切り上がっている。もう一段上げるには景気 が思った以上に良いなど、マクロ統計の改善が必要だろう。このため、 当面の相場はもみ合い、TOPIXで850から950ポイントのボッ クス相場を予想する。もっとも、中小型株はまだ出遅れている。不動 産を中心に経営破たんまで織り込んだ株価の銘柄が多い。政府の景気 対策を考えると、中小型株には水準訂正の余地がある」

●十字屋証券投資情報室長の岡本征良氏

「日経平均が1万円を突破した後の達成感に満ちた相場展開とし てはセオリー通りの動き。外国人投資家や国内大手機関投資家は理屈 に合わない銘柄は買わない。個人投資家の参加が多い銘柄が日替わり で乱舞するような状況で、玉石混交となっている。4-5月にかけて は、一定期間銘柄を保有することでパフォーマンスを上げられたが、 直近ではむしろ保有するリスクが高まっており、次から次へとポジシ ョンを移していくことが肝要だ」 *T

--取材協力:常冨 浩太郎、鷺池 秀樹 Editor: Makiko Asai、Shintaro Inkyo

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