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経産省:低CO2火力発電の輸出支援、三菱重や日立に追い風

経済産業省は、二酸化炭素(CO 2)の大幅な排出削減が可能な次世代石炭火力発電技術の輸出を、政策 と資金協力の両面で企業支援する。米国や資源国から受注が見込める大 型プロジェクトを後押しすることで、同分野に強みを持つ三菱重工業や 日立製作所などの国内企業に追い風になるとみられている。

17日開催の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)・ク リーンコール部会に提出した報告書に盛り込まれた。経産省は、1プロ ジェクトで最大3000億円程度の受注が見込めるCO2排出ゼロの石炭 火力発電技術について、官民一体で国内での実証研究を進める方針。同 時に海外普及も促す計画だ。

三菱重工や日立など国内メーカーは、石炭を固体から気体に変えた 状態で燃焼させCO2の排出を減らす「石炭ガス化複合発電(IGC C)」や、IGCCに地下貯留(CCS)を併用して排出をゼロに近づ ける「ゼロエミッション」の発電所の実証試験などを行っている。

海外では米GEや独シーメンスといった企業がIGCCの開発で競 っている。経産省は、地球環境対策として最新の発電技術導入が求めら れている豪州や米国向けに国内企業が手掛ける技術の販売を積極的に支 援する考えだ。

クレディ・スイス証券の薄井太アナリストは「販売面での政府のバ ックアップは、三菱重工などメーカーにとって大きなプラスとなる。 一方で、GEも米国内でIGCCの販売攻勢を強化してくるだろう」と 指摘する。三菱重工の広報を担当するダイヤピーアールの生野英夫海外 広報担当マネージャーは、「日本企業の技術が移転しやすくなるのであ れば歓迎したい」と話した。

世界の電力、4割が石炭に依存

安価な石炭を利用した火力発電は世界全体の発電出力の約4割を占 める。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、米国では 50%、中国では80%が石炭火力に依存している。

経産省によれば、中国では2020年までに955基、米国では110基 の石炭火力発電所を新設する計画。一方で、従来型の石炭火力発電所で は天然ガスと比べCO2排出量が約2倍に上ることから、石炭利用には CO2排出削減が大きな課題となっている。

年間35基の石炭火力にCCS導入必要-IEA

CCSは、石炭火力のCO2排出を大幅に抑制できる手段として注 目が集まっており、IEAは昨年発表した「エネルギー技術展望 2008」の中で、世界の排出量を50年までに半減させるためには、原子 力発電所や風力発電所の建設のほか、年間35基の石炭火力発電所にC CS技術を導入する必要があると指摘している。

経産省は26日、豪州ブリズベンで石炭技術に関するセミナーを開 催し、日本が持つIGCCやCCSの技術について議論する。日本から は、経産省の資源エネルギー庁資源・燃料部の北川慎介部長のほか、三 菱重工など企業関係者も参加する予定。豪州からは、資源・エネルギ ー・観光省資源局のジョン・ハートウェル局長が出席する。

三菱重工は現在、豪州クイーンズランド州政府と、IGCC技術を 採用した石炭火力発電所の建設について協議を行っている。クイーンズ ランド州政府広報担当官は、同州がIGCCにCCSを組み合わせた環 境負荷の低い石炭火力発電を計画しており、三菱重工と協議しているこ とを認めたが、具体的な合意には至ってないとしている。

17日のクリーンコール部会後に会見した経産省資源エネルギー庁 石炭課の國友宏俊課長は、「(豪州から)今のところ資金協力は求めら れていないが、求められれば、何らかの対応を考えないといけない」と 話した。

対話で相手国の需要を探る

経産省はまた、米国エネルギー省と7月に、CCS技術に関するセ ミナーをワシントンDCで開催する。分離や貯留といった分野の技術開 発が課題となっているCCSに関し、技術交流の促進を狙う。

國友氏は、政府間の対話を重ねることで相手国のニーズを探り、国 内企業が確立した技術の販売につなげたいと指摘した。

日立は、電力卸最大手Jパワーと独立行政法人の新エネルギー・産 業技術総合開発機構(NEDO)が共同で行っているIGCCにCO2 の回収を組み合わせたゼロエミッション型発電技術の試験向けに装置を 供給している。Jパワーの若松研究所(福岡県北九州市)で実施されて いるこのプロジェクトでは、08年11月にCO2の分離回収試験が始ま った。

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