ドル2週間ぶり97円台、米長期金利上昇と外貨建て投信の円売り観測も

東京外国為替市場ではドルが対円 で約2週間ぶりに1ドル=97円台へ上昇した。米長期金利の上昇や米 国の格下げ懸念の後退を背景に対ユーロなどでドルが買い戻された海外 市場の流れがドル・円にも波及。外貨建て投信に絡んだ円売り需要の思 惑もドルの上昇を後押しした。

ドル・円は一時、1ドル=97円5銭と今月12日以来の水準まで ドル高が進行。国内実需筋のドル売り意欲が指摘されるなか、96円ち ょうど手前でいったん伸び悩む場面も見られたが、96円を超えた後は 損失を限定するためのドル買い注文を巻き込みながらドルは一段高とな った。

ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、先週は米国が トリプル安の展開となったが、「米国債の入札データを見る限り、外国 人が格下げ懸念から米国債を買わなくなるというストーリにはなってお らず、行過ぎていたドル不安が巻き戻っている」と説明。加えて、「一 方では投信設定などフロー面での円売りがあり、ドル・円を押し上げて いる」と指摘する。

また、ドルは対ユーロで続伸し、一時は今月21日以来の高値とな る1ユーロ=1.3793ドルまで上昇。一方、ユーロ・円は1ユーロ= 134円26銭と同月11日以来の水準までユーロ買い・円売りが進んだ。

米長期金利

米国では26日の2年債に続き、27日の5年債入札が堅調な結果 となったことから、海外投資家が米国債を敬遠するとの懸念が後退して いる。この日は7年債の入札が行われる。

一方、27日の米国債相場は続落(利回りは上昇)。先週は「悪い 金利上昇」がドル売りの材料となったが、深谷氏は「海外勢が米国債を 買っているということならば、金利上昇はドル売りにはならない」と指 摘する。

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは27日、 米国の債務の状況は「著しく悪化した」ものの、最上級「Aaa」格付 けの見通しは安定的だとの見解を示している。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替本部長の斉藤裕司氏は、米長期 金利の上昇や米国の格下げ懸念がやや後退したことなどドル買い材料が 揃ったと指摘。「GM(ゼネラル・モーターズ)の経営危機問題も秒読 みの段階にきており、影響が不透明ななか、いったんドル・ショート (売り持ち)を閉じようという動きもあるだろう」と解説する。

GM問題

GMは27日、破たん回避に向けて提案した債務交換について、社 債保有者から必要な支持を得られなかったとし、「交換は実施しない」 と発表した。債務再編などの実現に向けて政府が設定した期限は6月1 日。政府の条件を満たすためには債務の株式への交換について90%の 合意が必要だった。債務交換断念により、GMによる破産法の適用申請 はほぼ確実な情勢になってきたと、弁護士やアナリストらは指摘してい る。

深谷氏は、GMが破産法の適用申請をした場合の影響について、市 場ではすでに織り込みが進んでいるため、クライスラーの破産法適用申 請の時と同様、「大きな波乱要因とはならない可能性が高い」とみてい る。

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