【経済コラム】デフレ対インフレの戦いでは商品が買い-ワシック

過度に債務過剰となっている西 側諸国の経済の現状があぶり出された後、キングコング対ゴジラの戦 いが始まった。

怪獣たちに踏みつぶされないためには、借り入れの選択肢やイ ンフレヘッジ手段を駆使する必要がありそうだ。

これらの怪獣の例えは、ハーバード大学のニーアル・ファーガソ ン教授によるものだ。歴史学者である同教授の目から見ると、短期的 なデフレーションの後にはインフレーションが到来する。同教授は “The Ascent of Money” の著者でもある。

ファーガソン教授によると、キングコングは現在のデフレを示 唆する。同教授は、日本や英国の景気は今年、引き続き縮小すると予 想。成長が期待できるのは中国とインド、ブラジルだけと見込まれる。 一方、ゴジラは「各国の中央銀行からホースで噴出されるかのように 注ぎ込まれる」流動性の波を象徴する。

ファーガソン教授は、当分の間「軽度の不況」に陥り、景気が 縮小している国々を目にしながら、国債に投資する大口投資家がより 高いイールドを求め始めるのは時間の問題と指摘する。「景気回復に ブレーキをかけかねないほどの」高いイールドだ。

わたしなら2歩先に進んでこう言うだろう。西側諸国の政府格 付けの相次ぐ大幅な引き下げはインフレを引き起こすだけでなく、過 度に豊かな時代の終わりを示唆する。大画面のテレビが各部屋にあり、 駐車場にスポーツ型多目的車(SUV)が2台並ぶ豪邸に暮らす時代 は過ぎ去った。これは、世界最大のコーヒー店チェーン、米スターバ ックスや米高級百貨店のニーマン・マーカス・グループにとっては悪 いニュースであり、ファストフードで世界最大手の米マクドナルドや 小売業最大手の米ウォルマート・ストアーズにとっては良いニュース だ。

怪獣の特性

ファーガソン教授は、主要7カ国(G7)は景気を刺激し金融 サービス関連企業を救済するため4兆ドルを超える規模の国債を発行 する必要があると予想する。

同教授は「最終的にインフレに逆戻りしないとは考えにくい。 ただ、悲観的な見方をする人々が懸念するほど早期にそうなることは ないだろう」と語る。

特に米国で住宅価格がさらに下落するとの見通しについてはフ ァーガソン教授に同感だ。米議会とオバマ政権が住宅の差し押さえ率 を抑制できないなか、状況は悪化すると予想される。

他の多くの評論家らと同様に、ファーガソン教授は米国の家計部門 が大規模なデレバレッジ(レバレッジの解消)を経験しており、これに より支出は2000年の水準に落ち込む可能性があるとみている。

どう投資するか

ファーガソン教授は「バーナンキ米連邦準備制度理事会(FR B)議長が景気に見いだした『若芽』は、向こう数カ月以内にしおれ てしまう可能性がある」と語る。

この暗い見通しをどう解釈すればいいのだろうか。ポートフォ リオ上でインフレに備える一方、現在のデフレにどう対応すればいい のか。

ファーガソン教授は、アジア株や米社債、商品に関心を抱いて いると言う。これらはアジアの経済成長の恩恵を受けると予想される からだ。つまり、原油や銅、鉄鉱石などだ。

同教授の戦略を広げ、広範囲にわたって商品とインフレ連動債 (TIPS)を組み合わせることを推奨する。TIPSは特に商品価 格の上昇と関連したインフレ環境下で上昇が予想される。

投資手段としてわたしが選好するのはPIMCOコモディティ・リ アルリターン・ストラテジー・ファンドだ。同ファンドの08年の運用 成績は商品相場の下落とデフレによりマイナス44%となり、悲惨な結 果に終わったが、わたしのポートフォリオではインフレ対策となってお り、長期にわたって保有している。

バンガード・エマージング・マーケッツETFやiシェアーズ MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス・ファンドなどの ETF(上場投資信託)を通じ、新興市場の成長を見込んで投資する 方法もある。(ジョン・ワシック)

(ジョン・ワシック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)