起債ラッシュ:コマツ、日通、丸紅など3月期決算企業が資金確保(2)

コマツ、日本通運、丸紅、三井不動 産、ソフトバンクの5社が26日、社債の発行条件を決めた。主幹事証券 からの情報によると、発行総額は1550億円にのぼった。

国内社債市場では2009年3月期決算を終えた企業からの社債発行が 相次いでいる。例年、5月末から6月上旬は起債が集中する。今年は日 本企業に対する信用リスク懸念の全般的な後退も追い風となり、投資家 が社債購入を進めている。

モルガン・スタンレーのデータによると、50社の投資適格級発行体 で構成するマークイットiTraxx日本指数のプレミアム(投資家が 求める金利上乗せ幅)は、3月に400ベーシスポイント(bp)を超えて いたが、26日午前の段階では、177bpと大幅に減っている。

三菱UFJ証券の三島拓哉チーフ・クレジットアナリストは、「信用 リスクに関わる大きなイベントが起きる可能性は後退している。日本企 業の業績は依然、悪化しているものの、1990年以降に起ったマイカルや エンロン破たんなどの事例を検証すると、事業債を取り巻く長期的な環 境は改善の方向に向かっているといえるだろう」と指摘している。

富国生命保険財務企画部の桜井祐記部長は、起債ラッシュの背景に ついて、「国債増発で金利上昇懸念はあるが、スプレッドは縮小し発行体 にとっては有利な環境だ」と指摘。その上で、先行きが不透明な株よりは 社債の方が魅力的だが、「米ゼネラル・モーターズの経営問題なども背景 に企業の信用力はまだ悪化しそうで今は嵐と嵐の間の『なぎ』の状態。 現在の水準で社債を買いたいとは思わない」と述べた。

コマツの財務部担当者は、市場環境が好転していることを背景に長 期安定資金の確保で起債をしていると語った。金利の上乗せ幅の縮小な どもあり、調達コストには、ほぼ満足しているという。

コマツ、1年ぶりの起債―スプレッドは縮小

コマツは3年債100億円、5年債300億円を起債。表面利率は

0.845%、1.193%で決まった。国債へのスプレッド(金利上乗せ幅)は、 それぞれ+33bp、+35bpだった。

主幹事は野村証券が単独で務め、格付けは、格付投資情報センター (R&I)からAA-を取得する予定。08年5月の起債以来、約1年ぶ りの社債発行となる。調達した資金は、関係会社への投融資や借入金の 返済に充当する。同社は、グループ資金を本体で一元管理するキャッシ ュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、今回の社債発 行もその一環で手元資金を確保する。

日通は5年債と10年債を起債。発行額は各150億円。主幹事は5年 債が野村証券、10年債が野村証券、みずほ証券が務める。格付けは、R &IのAAを取得予定。08年1月の起債(200億円)以来、1年4カ月 ぶりの起債。調達した資金は、借入金の返済に充当する。

コマツ債や日通債の社債スプレッドを直近発行された同水準の格付 けを持つ社債と比較すると、大幅に下回っている。R&IでAA-の格 付けを持つ商船三井が20日に起債した5年債の利率は、国債+45bpで コマツ債では10bp、日通債では17bp下回る水準だ。

コマツ債で単独主幹事を務めた野村証券デット・シンジケート担当 者は、発行回数が少ない希少性や業績の安定感などが評価さされて、ほ ぼ全業態の投資家に販売できたと語った。

ソフトバンク、利率は5.1%

丸紅は、5年債(150億円)を起債。主幹事は、野村証券が務め、 格付けは、R&IのA-、JCRのAを取得予定。三井不動産は、10年 債(100億円)を起債。主幹事は、みずほ証券が務め、格付けは、R& IのA+、JCRのAA-を取得予定。

ソフトバンクも発行額600億円、年限が2年の個人向け債を起債し た。利率は5.1%で決まった。主幹事は、みずほ証券、大和証券SMB Cが共同で務める。同社の起債は07年6月以来、2年ぶりとなる。

--取材協力 宮澤祐介 鞠子 和枝 Editors:Hidekiyo Sakihama

Kazu Hirano

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