NY原油:需要減で7月までに18%下落か-オプション取引が示唆

原油相場は半年ぶりに1バレル当 たり60ドルを上回っているものの、ニューヨーク商業取引所(NYM EX)で取引が最も増加している7月限のオプションは、18%の下落 を示唆している。

原油7月限を1バレル当たり50ドルで売る権利であるオプショ ンの数が先週、22%増加し2万4948枚となった。米国の原油在庫は 20年ぶりの高水準をわずかに1.8%下回る水準となっており、国際エ ネルギー機関(IEA)によると、需要は1981年以降で最大の落ち込 みを示すと予想される。このため、トレーダーらは相場下落を見込ん でいる。

世界的なリセッション(景気後退)が最悪期を脱したとの楽観的 な見方から、原油相場は今年に入って38%上昇し、20日は1バレル当 たり62.26ドルを付けた。石油輸出国機構(OPEC)が過去最大規 模の減産で合意したことも相場上昇につながっている。ただ、現時点 では世界の景気低迷が継続するとの観測が高まっており、OPEC加 盟国は昨年12月に合意した減産を依然、達成していない。OPECは 28日にウィーンで臨時総会を開く。

ドイツのコメルツ銀行の商品担当シニアアナリスト、オイゲン・ ワインベルク氏は「原油相場は現状やファンダメンタルズ(需給関係) を先取りする形で上昇している」と指摘。「若干相場が下落し、50ド ルかそれを下回る水準に調整される方が妥当だろう」との見方を示す。

プット・オプション

NYMEXのデータによると、原油7月限を1バレル当たり50 ドルで売る権利であるプット・オプションの数は21日、2万4948枚 と7日時点の3倍に増加した。7月限のオプションで2番目に数が多 いのは40ドルで売る権利で2万3254枚となっている。原油相場が40 ドルまで下落した場合に利益を得られるポジションの数は、70ドルに 上昇した場合と比較してほぼ2倍に上る。

原油相場が下落すればベネズエラやサウジアラビアなどの政府の 予算が脅かされ、イランのアハマディネジャド大統領が打ち出してい る原油生産によって得た富を国民に再分配するという選挙公約の達成 が妨げられる可能性がある。米エクソンモービルや英蘭系ロイヤル・ ダッチ・シェル、英BPの利益もリスクにさらされるかもしれない。 これらの企業の1-3月(第1四半期)の利益は平均で61%減少した。

一方、航空会社の英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)やエ ールフランス・KLMは相場下落の恩恵を受ける可能性がある。リセ ッションに伴う旅行の減少でこれらの企業の2009年3月通期決算は 赤字に転落した。一方、消費者や企業にとってはドライブのコスト低 下やエネルギー関連の支出削減につながる見込みだ。

銀行やヘッジファンド、石油会社の原油店頭取引を手掛けるブロ ーカー最大手、PVMオイル・アソシエーツのマネジングディレクタ ー、デービッド・ハフトン氏は「原油のファンダメンタルズは日々、 改善ではなく悪化している」と指摘。「短期的に相場が堅調さを維持す るかどうかは完全に景況感次第だ」との見方を示した。

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