日銀月報:景気判断を2年10カ月ぶり上方修正-次第に下げ止まり(2)

(内容を追加します)

【記者:日高正裕】

5月25日(ブルームバーグ):日本銀行は25日午後、5月の金融 経済月報を公表し、日本の景気について「悪化を続けているが、輸出 や生産は下げ止まりつつある」として、前月の「大幅に悪化している」 から判断を引き上げた。上方修正は、ゼロ金利を解除した2006年7月 以来2年10カ月ぶり。先行きについても「当面、悪化のテンポが徐々 に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」として判断を上方 修正した。

金融経済月報は、輸出と生産について「大幅に落ち込んだ後、下 げ止まりつつある」とし、いずれも前月の「大幅に減少している」か ら判断を引き上げた。公共投資に関しても「増加に転じつつある」と、 前月の「低調に推移している」から上方修正した。

一方、企業収益が大幅に悪化する下で、設備投資は「大幅に減少 している」との前月の判断を維持。個人消費も雇用・所得環境が厳し さを増す中で「弱まっている」、住宅投資も「減少している」といずれ も判断を据え置いた。

日銀は22日開いた金融政策決定会合で、米国債、英国債、ドイツ 国債、フランス国債を金融機関へ資金供給する際の担保に加えること を決めた。政策金利は0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定。 長期国債の買入額も月1.8兆円に据え置いた。

国内民需は引き続き弱まる可能性

月報は先行きの国内民間需要について「厳しい収益・資金調達環 境が続き、雇用・所得環境も厳しさを増す下で、引き続き弱まってい く可能性が高い」と指摘。一方、輸出と生産については「内外の在庫 調整の進ちょくを主因に、下げ止まりから持ち直しに転じていく」、公 共投資も「増加していく」とし、それぞれ見通しを上方修正した。

物価については、国内企業物価は「3カ月前比を見ると、既往の 国際商品市況安や製品需給緩和の影響から下落を続けているが、下落 幅は縮小してきている」と、前月の「国際商品市況の下落を主因に、 3カ月前で見て下落を続けている」との判断を修正。消費者物価指数 (除く生鮮食品)の前年比は「石油製品価格の下落や食料品価格の落 ち着きなどを反映して、ゼロ%程度まで低下している」と指摘した。

先行きは、国内企業物価は「製品需給が緩和した状態が続く下で、 当面、緩やかな下落を続ける」と、前月の「国際商品市況下落の影響 が残り、製品需給の緩和が続く下で、当面、下落を続ける」との見通 しを若干修正。消費者物価の前年比は「石油製品価格の下落や食料品 価格の落ち着きに加え、経済全体の需給バランスの悪化などを背景に、 マイナスになっていくと予想される」との見通しを据え置いた。

金融環境はなお厳しい状態

金融面については「ひところに比べて緊張感が後退しているもの の、なお厳しい状態が続いている」とし、「厳しい状態が続いている」 との前月の表現をやや修正。無担保コール翌日物金利が「極めて低い 水準で推移する」中、企業の資金調達コストも「本年初に低下した後、 低水準で横ばい圏内の動きとなっているものとみられる」とする一方、 「悪化を続けている実体経済活動や企業収益との対比で見れば、低金 利の緩和効果は減殺されていると考えられる」と指摘した。

企業の資金調達動向に関しては、銀行貸し出しは「大企業向けを 中心に高い伸びを続けている」との判断を維持。コマーシャルペーパ ー(CP)発行については「減少したが、これは手元資金積み増しの 動きが一服したことによる影響が大きい」と指摘した。

CP・社債の発行環境は「ひところに比べ回復してきている」と しながらも、そうした下でも「下位格付先の社債発行は依然低い水準 にとどまっているほか、資金繰りや金融機関の貸し出し態度が厳しい とする先は引き続き多い」としている。

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