ムーディーズ:日本国債格付け「Aa2」に統一-円建て引き上げ(3)

米格付け会社ムーディーズは18 日、 日本国債の格付けについて、円建てを「Aa3」から引き上げる一方、 外貨建ては「Aaa」から引き下げ、両者を「Aa2」に統一したと 発表した。格付けの見通しは「安定的」としている。

ムーディーズは発表資料の中で、「従来の格付けは、日本が自国通 貨建て債務よりも、外貨建て債務の履行を優先するであろうとの見方 に基づいていた」と指摘。しかし、「最近の世界的な金融危機の中で、 さまざまな政府の支払いの優先順位を予測することは極めて困難であ るとの観察結果を得た」とし、全体としての信用力を反映した「Aa 2」に統一することに決定した、と説明している。

統一後の「Aa2」の格付けについては「日本の相当の強みを反 映している。これには日本の多額の国内貯蓄、国内の金融機関および 機関投資家の強い国内投資志向、比較的低水準にある外国人投資家の 国債保有比率、ならびに日本の1兆ドルに上る外貨準備高が含まれる」 と指摘。政府が景気刺激のため今年発行する過去最大規模の国債に関 しては「市場は吸収できるとムーディーズはみている」としている。

リファイナンスリスクは低減

ムーディーズ・ジャパンの北山慶・代表取締役は記者会見で、日 本国債(JGB)の格上げの理由に関連して、2008年度の国債大量償 還について財務省は買い入れ消却や国債発行年限の多様化などでうま く対応してきたことを評価し、「従前はリファイナンスに非常に強く懸 念を感じていたが、そのリスクについては低減しているとみている」 と説明した。

一方、外貨建ての格付けについてムーディーズはこれまで、日本 政府による発行残高がほとんどないことや潤沢な外貨準備を背景に最 上位をつけていたが、昨年来の国際金融危機で各国の政府格付けに圧 力を受ける中、自国通貨建て格付けとの間で「特別な乖離(かいり)を 適用する必要はなくなった」と説明した。

JPモルガン・アセット・マネジメント債券運用部長の国部真二 氏はムーディーズの発表を受けて、「格下げかと思っていたら、格上げ だった」と意外感を示した上で、「自国通貨建ての方が外貨建てよりも 格付けが低かったので、整合性がなかったが、これで正常化へ1歩進 んだ」と述べた。

ムーディーズは一方で、格付けには「日本が高水準の債務を抱え るため、財政がショックや不均衡の影響にさらされやすく、急激な金 利上昇を招くリスクがあることも反映されている」と指摘。また、世 界貿易の深刻な不振や日本の景気後退の影響により、「政府の財政赤字 が一時的に大幅に 増大する可能性も織り込まれている」としている。

過去最大の財政支出15.4兆円の追加経済対策を実施するための 09年度補正予算は一般会計総額が13兆9256億円で、当初予算(88 兆5480億円)と合わせた規模は102兆4736億円と初めて100兆円の 大台を超えた。国債発行額も10兆8190億円に上り、今年度の新規国 債発行額は総額44兆1130億円と過去最大となる。

ムーディーズはまた、格付けが「Aaa」および「Aa1」の26 の政府系発行体および地域・地方政府の格付けを引き下げ方向で見直 す。ただし、「見直しによって、これらの発行体の格付けが政府債務格 付けAa2を下回る水準になるとは考えにくい」としている。

発表後の円の対ドル相場は午後6時1分現在、1ドル=95円83 銭。発表直前は同95円07銭近辺で推移していた。一方、債券相場へ の影響は限定的だった。

ムーディーズは02年に、日本国債の格付けを2段階引き下げ「A 1」と、ボツワナ以下にした。ただ、昨年6月には日本の財政再建へ の取り組みを評価し、日本国債の格付けを「A1」から「Aa3」に 引き上げた。格付けの見通しについては「安定的」としていた。

--取材協力:池田祐美Editor:Masaru Aoki, Norihiko Kosaka

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