NY外為:円とドルが上昇、米小売売上高減少で逃避先需要増(2)

ニューヨーク外国為替市場で は円が全面高となったうえ、ドルも対ユーロで7週間ぶり安値から 反発した。米商務省が発表した4月の小売売上高が前月比0.4%減 少と、予想外の結果となったことで、逃避先としての両通貨への需 要が増した。

ユーロは対円で3日続落。欧州中央銀行(ECB)の政策委員 会メンバー、スロベニア中銀のクラニェツ総裁は、ECBが資産購 入の規模を拡大、買い取り資産もカバードボンド(ローンを裏付け にした債券)以外に広げる可能性があると言明、ユーロ売りのきっ かけとなった。ポンドはユーロとドルに対して下落。イングランド 銀行(英中央銀行)のキング総裁が英景気回復は緩やかなペースに とどまるとの見通しを示したことを手掛かりにポンドが売られた。

UBSの通貨ストラテジスト、ベネディクト・ジャーマニエ氏 (コネティカット州スタンフォード在勤)は、「先行きが見えにく くなってきたため、ドルを売るのは得策ではない。私は円強気、ユ ーロ弱気のスタンスを取っている」と語った。

ニューヨーク時間午後4時現在、円は対ユーロで1.7%高の1 ユーロ=129円43銭(前日は同131円63銭)。ドルは対ユーロ で0.5%上げて1ユーロ=1.3582ドル(前日は同1.3648ドル)。 前日には一時、同1.3722ドルと、3月23日以来の安値を付けた。 円は対ドルで1.2%上げて1ドル=95円29銭(前日は同96円 45銭)。

ニュージーランド・ドルとノルウェー・クローネは対ドルで特 に軟調に推移した。米小売売上高の減少を受けて投資家が高利回り 資産の持ち高を減らしたことが背景。ニュージーランド・ドルは対 ドルで2.5%下げ、ノルウェー・クローネは同1.3%下げた。過去 2カ月では両通貨は14%、5.1%と、それぞれ対ドルで上昇してい た。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャー ド・フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は、「(米小売売上高 の発表は)現実を把握する良い機会となった。あらゆるニュースが ドル強気の見方を支えている」と指摘した。

円は主要16通貨すべてに対して上昇。為替相場の値動きが荒く なっていることで、キャリー取引が敬遠された。円は対オーストラ リア・ドルで2.9%上昇し、1オーストラリア・ドル=71円68銭。 対ニュージーランド・ドルでは3.8%上昇し、1ニュージーラン ド・ドル=56円32銭。

シティグループは経済指標の改善に陰りがみられるとして、オ ーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルを対円で売るよう顧 客に推奨した。

シティの通貨ストラテジスト、トッド・エルマー氏(ニューヨ ーク在勤)はリポートで、「リスク志向が定着したのは基本的な経 済見通しの好転によるところが大きく、今後、高利回り通貨に対す る持ち高調整の売りが出る公算が大きい。すなわちオーストラリ ア・ドルとニュージーランド・ドルの対円相場に下押し圧力が掛か るということだ」と指摘した。

キャリー取引

金利の低い通貨で資金を調達して、高利回り通貨に投資するキ ャリー取引では、相場の変動により利益が打ち消されてしまう可能 性がある。日本の政策金利が0.1%であるのに対し、オーストラリ アは3%、ニュージーランドは2.5%に設定されている。

JPモルガンチェース・インデックスによると、主要7カ国通 貨を対象としたインプライド・ボラティリティ(予想変動率)の指 標は14.41%と、前週末の13.38%から上昇した。

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