5月7日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国株とNY外為を最新版に差し替えます)

○米国株:米株式相場は反落。買いが先行したものの、金融株や通信 株、ハイテク株に売りが出た。規模140億ドルの30年債入札で落札 利回りが予想を上回ったことも、金利上昇懸念から株式の売り材料と なった。

ウェルズ・ファーゴとキーコープは急落。JPモルガン・チェー スが投資判断を引き下げたAT&Tとベライゾン・コミュニケーショ ンズも大幅安となった。加入者数の伸び鈍化と価格競争が判断引き下 げの理由。コンピューターウイルス対策ソフト最大手シマンテックは 15%安と、S&P500種株価指数の構成銘柄で最も下げがきつい。売 上高見通しがアナリスト予想を下回ったことが売りを誘った。

ホランド(運用資産40億ドル以上)のマイケル・ホランド会長 は「世界の終末が来るとの見方を払しょくしながら長らく上昇してき たため、下げるときもあるだろう。市場は先行きが見通しやすくなる のを期待しているが、ストレステスト(健全性審査)の結果でそれが 実現するかどうかは分からない」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比1.3%安の907.37で終了した。3 月に付けた12年ぶりの安値からは34%戻している。ダウ工業株30 種平均は102.43ドル(1.2%)下げて8409.85ドルで終えた。ニュー ヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対3。

S&P500種の17%を占める情報技術(IT)株指数は3.2%安 と、全10セクター中でマイナス寄与度最大となった。一方、年初か らでは15%余り上げており、上昇率首位となっている。S&P500種 全体の年初からは上昇率は0.5%未満にとどまっている。

ガイトナー米財務長官は6日夜、政府によるストレステスト(健 全性審査)の結果は米金融システムが健全であるとの安心感を投資家 や国民に与えるものになるとの見解を示した。新規失業保険申請件数 が雇用削減の最悪期通過を示唆したこともあり、主な株価指数は高く 始まった。

AT&Tは4.7%安。ベライゾンは2.9%下落。S&P500種の 通信サービス株指数は3.5%下げた。

シマンテックは4―6月(第1四半期)の売上高見通しがアナリ スト予想を下回ったことが売り材料となった。

米半導体メモリー最大手マイクロン・テクノロジーは8.7%安。 ドイツ銀行は同社の投資判断を「買い」から「ホールド」へ引き下げ た。マイクロンの売上高がアナリスト予想を下回る可能性があること を理由に挙げた。

金融株

S&P500種の金融株指数は3.5%下落。一時は4.2%高となっ たが、下げに転じた。フィッチ・レーティングスが「ローン損失の増 加見通し」を理由に、一部銀行の格付けを見直していると発表したこ とがきっかけ。

ウェルズ・ファーゴは7.8%下げ、金融株の中でも特に売りを浴 びた。地銀大手のキーコープは12%安。JPモルガンは5.3%安、ゴ ールドマン・サックス・グループは3.9%下落。

モルガン・アセット・マネジメントで300億ドルの資産運用に携 わるウォルター・ヘルウィグ氏は「大手金融機関に関しては、ストレ ステストから資本の希薄化や収益力に関心が移っている」と指摘。 「経済指標は好転しているものの、金融機関には不透明感が残ってい る」と述べた。

金融株指数はこの日の下げを入れても、3月6日に付けた17年 ぶり安値の約2倍になっている。信用危機の最悪期は終わったとの思 惑が背景。バンク・オブ・アメリカ(BOA)やシティグループが 09年の業績が黒字で始まったことを明らかにしたことも買い材料。

金利上昇を嫌気

国債利回りの上昇も株式の売り材料となった。この日の30年債 入札を受け、借り入れコストを低下させようとする米連邦準備制度理 事会(FRB)の試みに懸念が高まった。

30年債入札の最高落札利回りは4.288%と、入札直前の市場予想 の4.192%を上回った。投資家の需要を測る指標の応札倍率から判断 すると需要は平均を下回った。10年債利回りは12ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の3.31%。3月10日以来で最大の上 げとなった。30年債利回りは一時4.3036%と、昨年11月14日以来 の高水準を付けた。

ミラー・タバクのストラテジスト、ピーター・ブックバー氏は 「米経済は借入資本に依存し過ぎているため、金利上昇は景気を無力 化する効果がある。あらゆる調達コストが上昇すると、個人消費が抑 制され、企業収益が圧迫されるのは明らかだ」と指摘した。

FRBが午後発表した3月の消費者信用残高は減少幅が1943年 の集計開始以来で最大となった。失業率が過去25年の最高水準に上 昇し、銀行がバランスシート強化で貸し渋ったことが背景。

バンク・オブ・アメリカは大幅高

BOAは6.5%高と、ダウ平均の構成銘柄で上昇率首位。モルガ ン・スタンレーは同行の投資判断を「アンダーウエート」から「オー バーウエート」に引き上げた。

クレジットカード大手のキャピタル・ワン・ファイナンシャルは 18%高。ストレステストの結果、増資は必要ないと判断されたことが 買いを誘った。ゴールドマン・サックス・グループは投資判断を「中 立」から「買い」へ引き上げた。

米生命保険2位のプルデンシャル・ファイナンシャルは21%高。 1-3月(第1四半期)決算で特別項目を除く1株当たり利益が

1.05ドルと、アナリスト予想の平均を15%上回った。

決算、経済指標

ブルームバーグがまとめたデータによると、4月7日以降に第1 四半期決算を発表したS&P500種構成企業412社のうち、約3分の 2がアナリスト予想を上回っている。

米労働省が7日に発表した2日に終わった1週間の新規失業保険 申請件数は前週比3万4000件減の60万1000件と、1月下旬以来3 カ月ぶりの低水準。雇用削減の最悪期が終わったとの見方につながっ た。ブルームバーグ・ニュースが集計したエコノミスト予想の中央値 は63万5000件だった。

一方、4月25日に終わった1週間の失業保険継続受給者数は 635万人に増加。14週間連続で過去最高水準を更新した。雇用削減の ペースは鈍化しているものの、新規雇用が改善していないことを示唆 している。

○米国債:米国債市場では30年債が急落。2月以降で最大の下げと なった。この日実施された入札(140億ドル)では、最高落札利回り が市場予想を上回った。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)、UBSの 金利ストラテジー担当責任者クリス・アーレンズ氏は、「厄介なこと になっている。市場参加者は30年債に対して相当のディスカウント を要求している」と語った。

メリルリンチのデータによると、30年債の投資リターンは年初 から20.9%のマイナス。膨大な財政赤字に対応するため、財務省が 前例にないほど大量の国債を発行しているのが背景。

30年債利回りは6カ月ぶり高水準に押し上げられた。米財務省 が実施した30年債入の結果によると、最高落札利回りは4.288%、 入札直前の市場予想は4.192%だった。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後3時58分現在、30年債利回りは前日比18ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上げて4.27%。30年債(表面利率

3.5%、2039年2月償還)価格は2 3/4下げて87 1/8。10年債利回 りは12bp上げて3.31%だった。

30年債利回りは一時、4.3036%と、昨年11月14日以来の高水 準を記録。10年債利回りも昨年11月24日以降で最高の3.3285%へ 上昇する場面があった。

2年債利回りは3月18日以降、初めて1%をつけた。3カ月物 Tビル(財務省短期証券)の利回りは0.18%だった。

30年債入札結果

30年債入札の結果によると、投資家の需要を測る指標の応札倍 率は2.14倍と、過去10回の平均値2.24倍を下回った。前回入札 (3月12日)の最高落札利回りは3.640%だった。

オバマ米大統領は、2010年度(09年10月-10年9月)予算教 書の詳細を議会に提出。過去最大となる3兆5500億ドル規模の予算 に、国内問題に対処する費用として810億ドルの追加を求めた。一方、 連邦プログラムの170億ドル削減も要請した。

ゴールドマンの試算によると、2009年度(9月まで)の財務省 の所要借入額は差し引きで3兆2500億ドル。

長期債へのリスク許容度

政府支出や金融当局による量的緩和がインフレを招くとの懸念も、 長期債利回りを押し上げる材料となった。

3月25日から始まった16回の国債買い切りオペで米連邦準備制 度理事会(FRB)が購入した国債総額は922億1500万ドルに達し た。FRBは今年3月、6カ月間で最大3000億ドルの国債買い取り 計画を表明している。

HSBCセキュリティーズの金利ストラテジスト、ローレンス・ ダイヤー氏は「長期債に対するリスク許容度は失われた。金融当局に よる量的緩和やそれによって米国が受ける影響について世界的に懸念 が広がっている。インフレリスクを抑えられたかどうか、投資家の間 ではまだ不透明感が残っている」と述べた。

10年債と同年限インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は

1.64ポイントに拡大した。昨年末時点ではほぼゼロだった。

○NY外為:ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがドルに対して 1カ月ぶり高値まで上昇。欧州中央銀行(ECB)が政策決定会合で 合意した600億ユーロ規模の債券購入計画は、通貨価値の低下につな がらないと受け取られたことが背景。

一方、ポンドは7日ぶりに下落。イングランド銀行は金融政策委 員会(MPC)で、英国債などの資産を買い取るプログラムの規模を 従来から500億ポンド拡大し、1250億ポンドにすると発表した。ユ ーロは対円で3日にぶりに上昇。

英銀バークレイズのアナリスト、デービッド・ウー氏(ロンドン 在勤)は、「ECBが公約した債券買い取り額は600億ユーロ程度と かなり少額であり、現時点では政策の方向性は不明瞭だ」と語った。

ニューヨーク時間午後4時9分現在、ユーロは対ドルで0.4%高 の1ユーロ=1.3384ドル(前日は同1.3334ドル)。一時は同1.3470 ドルと、4月6日以来の高値を付けた。ユーロは対円では1.1%高の 1ユーロ=132円57銭(前日は131円10銭)。ドルは対円で0.8% 高の1ドル=99円6銭(前日は同98円31銭)。

TDセキュリティーズの主任通貨ストラテジスト、ショーン・オ ズボーン氏(トロント在勤)によると、ユーロの対ドル相場は200日 移動平均1ユーロ=1.3474ドル水準に売り注文が控えていたため頭 を押さえられた。

ECBのトリシェ総裁は金融政策決定後の記者会見で、「金融緩 和策」としてカバードボンドを購入する計画を発表したほか、0.25 ポイントの利下げは適切な措置と語った。債券購入計画の詳細は来月 発表される。

カバードボンド

カバードボンドは不動産向け融資や公的部門への融資債権を担保 とした債券で、借り手が返済を保証している点で住宅ローン担保証券 (MBS)とは異なり、歴史的に最も安全な社債と見なされてきた。

三菱東京UFJ銀行のグローバル為替調査部門欧州責任者、デレ ク・ハルペニー氏と同アナリスト、リー・ハードマン氏は7日付顧客 リポートで、ECBの債券購入計画の規模はユーロ圏のGDP(国内 総生産)の0.8%に相当する一方、英国の計画は同国GDPの10%、 さらにFRBの計画は米国GDPの12.5%に相当すると指摘した。

ユーロ相場の見通し

両ストラテジストは、「金融市場と世界経済は改善しつつあり、 ECBは1カ月前よりも、積極的な金融緩和政策に反対の立場を取る 可能性がある」と指摘。「通貨不安が払拭された現状、当社は引き続 き、ユーロの対ドル相場は安定的に1ユーロ=1.40ドルに向かって 上昇を続けるとみている」と付け加えた。

3月18日には、FRBが最大3000億ドルの国債を買い取る金融 緩和策を発表したことを受け、ドルは対ユーロで3.4%の大幅下落を 記録していた。

トリシェ総裁は、今回の決定は信用市場がより良く機能すること を目指した措置であり、金融緩和策ではないと述べた。

RBSグリニッチの国際通貨戦略北米責任者、アラン・ラスキン 氏は、FRBの国債買い取りとの「最大の相違点は、ECBが今回の 決定を金融システムへの新たな流動性の注入と受け取られないように していることだ。市場はユーロにとってプラスの策ととらえている」 と指摘した。

○英国債:英国債相場は下落。イングランド銀行(英中央銀行)が資 産買い取りプログラムの規模を500億ポンド拡大すると発表した後は 下げ渋った。

イングランド銀はこの日、政策金利を過去最低の0.5%に据え置 いた。1-3月期の英経済は30年で最悪のマイナス成長となった。

10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上げ3.68%。一時は16bp上昇の3.76%と、2月11日以 来の高水準を付けた。同国債(表面利率4.5%、2019年3月償還)価 格は前日比0.63ポイント下げ106.72。2年債利回りは1bp上げ

1.19%となった。

○欧州債:欧州債市場では、ドイツ国債が下落。ガイトナー米財務長 官がストレステスト(健全性審査)の結果、米国の銀行は存続可能と の認識を示したほか、ドイツの製造業受注が3月に予想に反して増加 したことを受け、金融危機の最悪期が過ぎたとの楽観が広がった。

独10年債利回りは3カ月ぶり高水準を付けた。欧州中央銀行 (ECB)のトリシェ総裁が7日、リセッション(景気後退)への取 り組みとして、ECB当局者が600億ユーロ規模のカバードボンド (融資債権を裏付けとする債券)購入計画で合意したことを明らかに したものの、国債相場への支援材料とはならなかった。

ガイトナー財務長官は米PBS放送の6日夜のインタビュー番組 で、ストレステストの結果は「安心感を与えるものとなる」と語った。 7日発表された独製造業受注指数は7カ月ぶりにプラスとなった。

クレディ・スイス・グループのカーステン・リノウスキー氏(チ ューリヒ在勤)は、「この日は大きく弱気に振れた。市場関係者がス トレステストの結果を待っていたからだ」と述べた。また、「ECB 発表は国債にとっては好材料だったが、相場を動かすには十分ではな かった」とも語った。

ロンドン時間午後5時現在、10年債利回りは前日比15ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.39%と、4月2日以降 で最大の上げとなった。同国債(表面利率3.75%、2019年1月償 還)価格は1.21ポイント下げ102.96。2年債利回りは1.36%と、前 日から3bp上げた。

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