日本経済、企業の生産増でプラス成長に復帰の可能性も-第2四半期に

日本経済は、在庫削減が進んでい ることや、 一部市場で消費需要の増加の兆しが見えることを背景に、 企業が生産を増やす動きを見せていることから、早ければ第2四半 期にもプラス成長に復帰する可能性がある。

30日に発表された3月の鉱工業生産の上昇率は市場予想の2 倍となったほか、4月と5月の製造工業生産予測指数がともに上昇 した。ブルームバーグ・ニュースはこれを受けてエコノミスト調査 を実施したところ、10人のエコノミストうち5人は日本経済が第2 四半期に年率0.7%のプラス成長となる可能性があると答えた。残 りの5人は、成長率こそ示さなかったものの、経済は拡大すると予 測した。

仮に日本経済が景気回復して成長すれば、この9月までに衆院 総選挙を控える麻生太郎首相にとっては支援材料となる。首相は、 4月に過去最大規模の景気刺激策をまとめたばかり。また日銀は30 日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2009 年度の日本経済が3.1%のマイナス成長となるものの、10年度には 成長軌道に復帰するとの見通しを示した。

ロンドンにあるキャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジ ュリアン・ジェソップ氏は「前期比でみた成長率が早期にプラスに 転じるということは、2010年度がより良い年になることを指してい る」と指摘。さらに「景気回復は多くの前向きの勢いを持っている ようだ」と述べた。

30日の日経平均株価は前日比3.94%上昇したが、3月10日に つけた26年来の安値水準からは25%反発したことになる。同日の 株価は、日本の最大の海外市場である米国の第1四半期の国内総生 産(GDP)速報で、消費支出が2年ぶりの大幅増加となったこと も要因だった。

ホンダ株が急騰

国内第2の自動車メーカー、ホンダの株価は昨日、9.4%上昇し た。同社の近藤広一副社長は先月28日の決算会見で、米国の四輪車 市場が全体として底を打った可能性があると楽観的な見方を示して いた。

また、ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は29 日、米景気が「低い水準で安定化しつつある」とした上で、追加景 気刺激策は必要ないとの認識を明らかにした。ボルカー氏はオバマ 米政権の経済回復諮問会議の議長を務めている。3月31日に発表さ れた3月の英消費者信頼感指数はマイナス30と前月から5ポイン ト改善、昨年5月以来最高となった。

日銀の経済成長見通しは一部のエコノミストほど楽天的ではな い。日銀は展望リポートで「わが国経済は当面、悪化が続くが、次 第に下げ止まりに向かい、09年度後半以降、成長率が緩やかに持ち 直す姿が想定される」との見解を示している。展望リポートによる と、09年度の実質GDPの成長率はマイナス3.1%(中央値)とな っている。

縮小する経済

日本経済は昨年10-12月期に前期比年率で12.1%のマイナス 成長に陥った。ブルームバーグのエコノミスト調査の中央値では、 今年第1四半期の成長率はマイナス10.9%と引き続き2けたの大 幅な落ち込みが予想される。

同エコノミスト調査によると、3月の失業率は4.6%と4年来 の高水準に上昇する見込み。また、家計支出は3月に2.5%減少し たとみられる。これらの統計はきょう(1日)発表される。

モルガン・スタンレー証券のロバート・フェルドマン経済調査 部長は「パ ニックは終わったが、それはわれわれが深い景気後退の ど真ん中にはいないということではない」と表現、「賃金の減少は始 まったばかりだし、企業収益はひどいものだ」と語った。

生産が増加に転じたとはいっても、国全体でみれば設備稼働率 は約半分にすぎず、コストと賃金のカット圧力となっている企業収 益を損ねている。フェルドマン氏は「設備稼働率の低さは設備投資 が長期間にわたって極めて低水準にとどまることを、現在の生産水 準は示唆している」と指摘した。

三菱電機

三菱電機は30日、45%を出資する持ち分法適用会社ルネサステ クノロジの赤字転落で、今期(10年3月期)の純損益が7年ぶりに 赤字を計上するとの見通しを明らかにした。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミスト は、企業のコスト削減の背景について、「これは企業向けサービスに 対する需要の削減や人件費のカットという形で具体化している。そ の結果、非製造業や家計が置かれた環境はむしろ厳しさをましてい る」と指摘した。バークレイズは第2四半期の経済成長率を年率

3.7%と予測している。

ただし、賃金の減少は、総額15兆4000億円に上る追加経済対 策を盛り込んだ今年度補正予算案が組まれたことで、今年後半には 一部相殺されるかもしれない。今回の追加経済対策では、雇用市場 対策やエコカーやグリーン家電といった省エネ商品、企業金融支援 などに資金を充てている。

第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「麻生首相 はここまで経済対策を打ち出しており、景気回復は当然、自分の手 柄ということにするだろう」とした上で、「いったんは、誰もが次回 の選挙での与党の敗北を予想したが、ここに来て分からなくなって きた」と述べ、総選挙控えて景気対策が麻生首相に追い風になって いるとの見解を示した。

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