富士通:今期純損益は200億円の黒字へ-半導体で台湾企業と提携(4)

IT(情報技術)サービス国内最 大手の富士通は30日、今期(2010年3月期)の連結純損益が200億円 の黒字に転換する見通しだと発表した。前期(09年3月期)に計上した 半導体生産設備の減損処理に伴う一時的な費用がなくなるほか、半導体 事業の赤字も縮小する。

売上高は前期比2.3%増の4兆8000億円、営業利益は同16%増の 800億円を見込む。収益の柱であるソフトサービスは前期並みの予想だ が、加藤和彦常務によると、半導体の赤字は前期の600億円から150億 円に減り、ハードディスク駆動装置(HDD)の赤字も前期の200億円 から半減する。

半導体の先端製品製造には巨額の費用がかかる。このため、自前の 生産設備は極力持たず、設計や研究開発に集中する「ファブライト」と 呼ばれる事業形態へ移行することも決めた。微細加工技術で回路線幅が 40ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代の技術を用いた製品の生産 は、今後、台湾のTSMCに委託する。次世代の28ナノ以降の技術は TSMCとの共同開発などを協議する。

野副州旦社長は会見で、「事業環境は厳しい」と述べ、今期達成が 困難になった経営目標の営業利益率5%について「いつどのように実現 するか、1-2カ月のうちに新たな中期経営計画をまとめたい」と語っ た。今期の配当は年6円と前期から2円減配する。

今期は、欧州の関連コンピューター会社「富士通テクノロジーソリ ューション」と電池メーカーの「FDK」の2社を連結子会社化するこ とで約6700億円の増収要因になる一方、HDD事業を7月に東芝へ譲 渡するため約1800億円の減収要因がある。

追加リストラも

前期決算は、純損益が1124億円の赤字(前の期は481億円の黒 字)と03年3月期以来の最終赤字に転落した。半導体事業の減損、H DDの撤退関連費用、株式評価損などが響いた。減損は、先端の半導体 製造をTMSCへの委託に切り替えることに伴い、三重工場第2棟の建 屋と製造設備などで499億円を実施した。

売上高は前期比12%減の4兆6930億円、営業利益は同67%減の 688億円だった。ソフトサービスは増益だったが、パソコンや携帯電話 が減益。半導体とHDDの大幅赤字が足を引っ張った。

国内の半導体業界では、ルネサステクノロジとNECエレクトロニ クスが来春の統合を決めるなど再編が進んでいる。野副氏は、富士通は 当面は単独で事業を継続すると説明。他方で、製造の一部を外部に委託 すると国内工場の生産能力に余剰感が生じるため、「ファブライトの構 造を求めるなら、それなりに追加的な構造改革が必要になる。現状を維 持できるとは思っていない」と述べた。

30日の富士通の株価は一時前営業日比21円(5.1%)高の434円ま で買われたが、午後3時の決算発表前に上げ幅を縮小、結局7円 (1.7%)高の420円で取引を終了した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE