白川日銀総裁:09年度成長率は大幅マイナスも実質プラスを想定(4)

日本銀行の白川方明総裁は30日午 後の記者会見で、2009年度の実質成長率をマイナス3.1%としたこと について、前年度に成長率が大幅に落ち込んだ影響によるもので、実 質的には「プラスの成長」を想定していると語った。新型インフルエ ンザについては「今のところ直接的な影響は限定的」としながらも、 潜在的なリスク要因として警戒する姿勢を示した。

日銀は同日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、 09年度の実質GDP(国内総生産)成長率がマイナス3.1%という見通 し(政策委員の中央値)を公表した。白川総裁はこれについて「年度 平均とみると多少、ミスリーディングな面がある」と述べた。

白川総裁は「08年度の第3四半期と第4四半期の成長率が急激に 落ち込んだ結果、仮に09年度がずっとゼロ成長でも、年度平均で見る とマイナスになる」と指摘。いわゆる統計上のゲタは「だいたいマイ ナス5%」とした上で、「それとの比較でみたとき、先ほどの数字は、 09年度の中の動きとしてはプラスの成長を意味している」と語った。

政府の追加経済対策については「既に公表されており、各委員は その効果を考慮に入れた上で見通しを作っている。もっとも、具体的 にどの程度の効果を織り込むかは、各政策委員の判断に委ねられてい る」と語った。政府は27日、歳出規模15.4兆円と過去最大規模の追 加経済対策を盛り込んだ09年度補正予算案を決定した。

時間はかかるが回復に向かっている

白川総裁は「昨年秋以降の世界経済を襲ったショックが非常に大 きかったため、望ましい経済、金融の姿に復帰するにはやはり時間が かかる」としながらも、「今回の展望リポートでは、そうした方向に時 間はかかるが、向かっているということだ」と指摘。経済と物価が連 鎖的に下降するデフレスパイラルに陥るリスクについては「現時点で 高いとは考えていない」と語った。

長期国債の買い入れについては「もし、金融政策上の目的から離 れて、例えば財政のファイナンスをもっぱら目的として国債オペを行 うというふうにしたり、あるいは、そういうふうに市場に受け止めら れると、金融政策の運営に対する信認が失われていくので、結局その 場合には、長期金利それ自体にも実は悪影響が出てくる」と述べた。

日銀は3月18日の会合で長期国債買入額を月1.4兆円から1.8 兆円に増額した。日銀は長期国債の買い入れについて、銀行券発行残 高を上限とする自主ルールを設けている。20日現在、日銀の長期国債 保有額は44兆円、銀行券発行残高は76兆円。

長期国債は今の買入額が最適

残存期間1年以内の長期国債を短期国債として扱い、長期国債の 買入額を増やす可能性については否定的な見方を示した。白川総裁は あらかじめ特定の政策を排除するべきではないとしながらも、「国債の 買い入れは金融政策の一環として行っているので、金融政策の目的遂 行に照らして考えていく」と言明。「現状では今の買い入れが最適だ」 と語った。

いわゆる5月危機の可能性については「決算発表と前後して金融 市場や企業金融がどのようになっていくのかは注意深くみていく」と 指摘。企業金融の現状については「企業の資金調達環境の緩やかな改 善が続いている」としながらも、「なお厳しい状況にある」との認識を 示した。国内の金融システムについては「全体として健全性は損なわ れていない」と語った。

新型インフルエンザの影響については「現時点で、そのマクロ経 済への影響を評価できるわけではない」としながらも、グローバルな 金融市場については「警戒感を持って事態の推移を追っているが、今 のところ直接的な影響は限定的なものにとどまっているように見受け られる」と述べた。

白川総裁はその上で「新型インフルエンザがもっと大きな広がり を持つと、当然、人の移動、それから生産活動、経済活動に影響を与 え得るので、われわれとしては潜在的なリスク要因として注意深くみ ている」と語った。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.1%前後に 据え置くことを全員一致で決定。長期国債の買入額も月1.8兆円に据 え置いた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE