東京外為:円軟調、株高でリスク許容度改善期待-自動車問題織り込む

東京外国為替市場では円が軟調。米 自動車大手クライスラーの破たん懸念から逃避的な円買いが強まる場面 も見られたが、株価が堅調に推移するなか、リスク許容度改善期待を背 景に円からユーロなど外貨に資金を振り向ける動きが優勢だった。

円は対ユーロで1ユーロ=130円60銭と今月17日以来の安値ま で下落。一時はクライスラーが米連邦破産法適用を回避するための米 財務省との協議が決裂したと米紙ウォールストリート・ジャーナルが 報じたことを受け、128円93銭まで円が買われる場面も見られていた。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、クライ スラーの話でリスク回避の連想からいったんは円買いが強まったが、株 売りという反応にはなっておらず、このまま円買いの方向で走る感じは ないと指摘。「自動車大手の再建問題もだいぶ織り込んだし、豚インフ ルエンザの話もある程度市場に免疫が出来てきた」といい、このまま株 価の堅調推移が続けば、じりじりと円が売られる可能性があると語った。

日本銀行は30日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表 し、成長率と物価の見通しを1月の中間評価の中央値から下方修正し た。日銀は「世界的に景気の下げ止まりに向けた動きがみられ始めて いる」としながらも、こうした動きが世界経済の順調な回復につなが っていくか「なお不確実」とした。

株価堅調で円売り・ドル売り

30日の東京株式相場は大幅反発。前日発表された米国の1-3月 期の国内総生産(GDP)で個人消費がプラスに転じたことやこの日 発表された日本の鉱工業生産指数が予想を上回る上昇となったことか ら景気の底入れ期待が強まった。

前日の海外市場では欧米株の上昇を背景に「終日ドル売り・円売 りとなり、そのなかでも円の弱さが目立った」(住友信託銀行マーケ ティングユニット・松本三郎チーム松本氏)。

この日の東京市場も株高を手掛かりに円売りが先行。「月末とい うことで投信設定に絡んだ円売り期待」(ソシエテ・ジェネラル銀行 外国為替本部長の斉藤裕司氏)もあったという。

円は対ドルで一時、1ドル=97円86銭まで下落。午後にはクラ イスラーの破たん懸念から一時、97円15銭まで値を戻す場面が見ら れたが、上値は重く、欧州市場に向けては97円台後半まで弱含んでい る。

住友信託銀の松本氏は、今後について、クライスラー問題の行方 や来週公表される米金融機関のストレステスト(健全性審査)の結果、 その後に控えるECB(欧州中央銀行)理事会での非伝統的金融政策 の発表など、材料が混在しており、「非常に方向感を読みづらい展開」 になると予想。ただ、「ドル・円は下値のポイントとみられる95円台 半ばがサポートされているため、ゴールデンウィーク中も全般的には しっかりで、再度100円を目指すような展開になるのではないか」と みている。

また、株高を背景にドルも上値の重い展開が続き、対ユーロでは 1ユーロ=1.3381ドルと今月14日以来、約半月ぶり安値まで値を下 げた。

豚インフルの警戒水準引き上げ

豚インフルの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)は29日、 新型インフルエンザ警戒水準を「フェーズ4」から「フェーズ5」に 引き上げたと発表した。

資産管理サービス信託銀替部の野村氏は、「豚インフルエンザは だいぶ広がりが出ているが、今後、極端に被害が深刻化するようなこ とがなければ、それほど株が売られることもない」とみている。

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