【コラム】「大き過ぎてつぶせない」銀行を分割せよ-D・ポーリー

どこの町にもありそうな「中央 信託貯蓄銀行」が、将来の金融混乱を防ぐためのモデルになるはずだ。

シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)などの巨大 銀行が有無を言わせずに事業を拡大した結果、その無謀な取引をきっ かけに世界経済はリセッション(景気後退)に陥った。

こうした大型銀行をいくつかに分割できれば、そのうちの1つが 破たんしたとしても他に影響が及ぶことはないだろうし、数兆ドル規 模の金融システム救済措置が必要にもならないだろう。

米連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁は27日、政府は 「大き過ぎてつぶせない(ツー・ビッグ・トゥ・フェイル)」規模の 金融機関を許容する政策を転換し、破たんした金融機関を接収し規模 を段階的に縮小するため新たな機関を設けるべきだと語り、銀行規模 制限への支持を表明した。

数十年間にわたった銀行買収の解体作業は、現在の信用危機が終 息するまで待たねばならないだろう。最優先事項は、銀行の資本を増 強し、融資を再開させることだ。それが達成できれば、政府は解体を 追求できるだろう。政府の銀行の持ち分は向こう数週間で確実に増え るとみられている。

商業銀行業務と投資銀行業務を分離した「グラス・スティーガル 法」を復活できれば良いスタートを切れるだろう。中央信託貯蓄銀行 は、クレジット・デフォルトスワップ(CDS)ではなく、納得でき る頭金を伴う住宅ローンに投資する。

国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、サイモン・ジ ョンソン氏はアトランティック誌5月号に寄稿し、オバマ政権は金融 機関を分割して売却するか、ないしは買い手が解体するという条件で 分割せずに売ることが可能だと指摘した。

地銀との競争

しかし、巨大銀行を実際に、最高経営責任者(CEO)が顧客全 員を認識するような数千の地銀に分割できるとは期待できないだろう。 地銀との競争が鍵となる。

現在はマサチューセッツ工科大学スローン校の教授を務めるジョ ンソン氏は、米国は銀行の適切な規模を指示するのに反トラスト法 (米独禁法)を利用できるだろうと述べた。

法廷などを通じて規模の基準を設けるのは簡単にいかない可能性 がある。預金総額のうち、特定の事業地域で保有できる割合を引き下 げるかや、負債総額を制限するかなどの問題があるからだ。

解体は、小さくなった商業銀行でのコスト増につながる可能性も ある。過剰経費の削減は買収の理由として挙げられてきた。実際、金 融機関は近年、増益を続けるため買収とコスト削減を続ける必要があ った。大手銀行のコスト効率は良かったかもしれないが、サブプライ ムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題によって常識の欠如 をさらすこととなった。

投資銀行固有の問題

1社で株式の小売り販売や引き受け、企業の合併・買収(M& A)のすべてに携わる投資銀行は、解体しやすいかもしれない。新た なグラス・スティーガル法が成立すれば、BOAはメリリリンチを手 放さざるを得なくなる公算もある。

BOAのルイスCEOも反対しないかもしれない。同CEOは投 資銀行事業を批判した経緯があるからだ。業績が悪化するメリルの買 収を撤回したかったのに、政府から圧力をかけられて買収完了を余儀 なくされたと、最近になって明らかにしている。

金融機関の規模が縮小されれば、幹部報酬に関する批判も鎮まる 可能性がある。ただ金融機関の規模縮小では、1社の破たんが他社に 連鎖しない規模にすることが重要だ。

FDICのベアー総裁は27日の講演で、規模が問題なのではな いかもしれないと述べた。同総裁は、政府が企業資産を管理下に置き、 「優良」資産と「不良」資産に分けた上で、株主と無担保債権者に不 良資産のコストを担わせるべきだと述べた。

事はそんなに簡単ではないかもしれない。しかし早く始めれば始 めるほど良い結果につながるだろう。

(デービッド・ポーリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコ ラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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