日銀展望:成長率見通し09年度マイナス3.1%、10年度プラス1.2%(2)

(発表内容を追加します)

【記者:日高正裕】

4月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日、経済・物価情勢 の展望(展望リポート)を公表した。実質GDP(国内総生産)成長 率の「中央値」は2008年度がマイナス3.2%、2009年度がマイナス

3.1%、2010年度がプラス1.2%。日銀は「世界的に景気の下げ止まり に向けた動きがみられ始めている」としながらも、こうした動きが世 界経済の順調な回復につながっていくか「なお不確実」としている。

日銀が新たに示した成長率見通しは、1月の中間評価の中央値(08 年度マイナス1.8%、09年度マイナス2.0%、10年度プラス1.5%) から大きく下方修正された。消費者物価指数(除く生鮮食品)上昇率 の見通しも08年度がプラス1.2%、09年度がマイナス1.5%、10年度 がマイナス1.0%と、08年度を除いて中間評価(08年度プラス1.2%、 09年度マイナス1.1%、10年度マイナス0.4%)から下方修正された。

政府も09年度成長率をマイナス3.3%と1月に示した見通し(ゼ ロ%)から下方修正。未曾有の景気悪化を食い止めるため、歳出規模

15.4兆円の追加経済対策を盛り込んだ09年度補正予算案を決定した。

日銀は4月末と10月末の年2回、経済・物価情勢の見通しを示し、 3カ月後に中間評価を行う。中央値は政策委員(1人欠員で現在8人) の見通しを高低順に並べた真ん中の数値。ブルームバーグ・ニュース がまとめたエコノミスト16人の実質国内総生産(GDP)成長率見通 しの中央値は、08年度がマイナス3.0%、09年度がマイナス4.4%、 10年度がプラス0.9%だった。

政策効果に期待

日銀は「最近に至り、在庫調整の進ちょくなどを背景に、世界的 な景気の下げ止まりに向けた動きがみられ始めているほか、各国当局 は大規模な政策対応を検討中あるいは実施途上にあり、今後、これら の政策が効果を発揮していくことが期待される」と指摘した。

その上で「もっとも、こうした動きが、世界経済の順調な回復に つながっていくことかどうかについては、なお確実とは言えない状況 にある」と指摘。先行きの世界経済を展望する上で「米欧の金融シス テムの立て直しがどのように進むのか、また、新興国も含め世界需要 がどの程度のテンポで回復していくのか、といったことが重要な着目 点になる」としている。

日銀は「わが国経済は当面、悪化が続くが、次第に下げ止まりに 向かい、09年度後半以降、成長率が緩やかに持ち直す姿が想定される。 コアCPIの前年比は09年度半ばまでにやや大きく下落した後、09 年度後半以降は下落幅が徐々に縮小していく」と予想。こうした動き が持続すれば「やや長い目でみれば、物価安定の下での持続的成長経 路へ復していく展望が拓けると考えられる」としている。

景気、物価ともに下振れリスク

より長期的な展望については「国際的な金融経済情勢、中長期的 な成長期待の動向、わが国の金融環境など、景気の下振れリスクが高 い状況が続いていることに注意する必要がある」と指摘。物価面では 「景気の下振れリスクの顕現化、中長期的なインフレ予想の下振れな ど、物価上昇率が想定以上に低下する可能性がある」としている。

一方で、「中長期的には、世界経済が回復する過程において、現在 の極めて景気刺激的な政策が維持された場合、一次産品価格が予想以 上に上振れることなどにより、わが国の物価上昇率が想定以上に上昇 する可能性もある」と指摘した。

日銀はその上で「日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定の 下での持続的な成長経路に復していく展望が開けるとみられる。ただ し、当面は、景気・物価の下振れリスクを意識する必要がある」とし ている。また、新型インフルエンザの拡がりと経済活動等への影響に ついては「今後、注意深くみていく必要がある」と指摘した。

金融政策運営

金融政策運営については「当面、景気・物価の下振れリスクを意 識しつつ、わが国経済が物価安定の下での持続的成長経路へ復帰して いくため、中央銀行として最大限の貢献を行っていく方針である」と 表明した。

なお、潜在成長率について、「大幅な景気悪化により、資本ストッ クの伸び率が低下していることなどを反映し、わが国の潜在成長率は、 従来推定されていた水準よりも低下していると判断される」と指摘。 見通し期間中の潜在成長率は「08年10月の展望レポート時点の『1% 台半ばないし後半』から低下し、『1%前後』と推定される」としてい る。

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見通しは次の通り(対前年度比、%。は政策委員見通しの中央値)

                       【政策委員の大勢見通し】
                実質GDP   国内企業物価指数   コアCPI
【2008年度】     -3.2~-3.1       +3.3           +1.2
                   
1月時点の見通し -2.0~-1.7     +3.0~+3.2     +1.1~+1.2
                                     

【2009年度】     -3.7~-3.0     -7.6~-6.9     -1.6~-1.4
                                     
1月時点の見通し -2.5~-1.9     -7.0~-6.0     -1.2~-0.9
                                     

【2010年度】     +0.8~+1.5    -2.4~-1.4     -1.1~-0.8
                                     
1月時点の見通し +1.3~+1.8     -1.5~-0.8     -0.6~ 0.0
                                     


                      【政策委員の全員の見通し】
                実質GDP   国内企業物価指数   コアCPI
【2008年度】     -3.2~-3.0        -          -
1月時点の見通し -2.0~-1.6     +2.8~+3.2      +1.0~+1.2

【2009年度】     -3.8~-2.5     -7.8~-6.8      -1.8~-1.2
1月時点の見通し -2.8~-1.8     -7.0~-5.0      -1.3~-0.8

【2010年度】     +0.7~+1.5     -2.6~-1.3     -1.2~-0.4
1月時点の見通し +1.2~+2.0     -1.8~-0.5      -0.7~ 0.0
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