生産増加に転じ景気底入れ観測強まる、株急騰・債券安-為替もみ合い

金融資本市場では、3月の鉱工業 生産指数が増加に転じたことを受けて景気底入れ期待が強まった。日経 平均株価は急反発し、債券市場は売りが優勢となった。一方、外為市場 で円相場はもみ合いとなっている。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ーは、鉱工業生産が増加に転じ、製造業PMI購買担当者指数も過去最 大の改善となったことを挙げ、「景気底入れ期待で株価が上昇した。一 方、債券は前日に米国債が弱気相場になったことに加え、一昨日に豚イ ンフルエンザを背景に買っていた向きが売りに回った」と述べた。

経済産業省が発表した3月の鉱工業指数速報は前月比1.6%増加と なり、6カ月ぶりに増加し、市場予想中央値(同0.8%増加)を上回っ た。1-3月期の生産は前期比22.1%減少と過去最大の減少率で4四 半期連続の減少だった。

4月の製造工業生産予測指数は前月比4.3%増加、5月は6.1%増 加。「4月と5月の予測指数がそのまま実現し、6月を横ばいとすると 、4-6月期は前期比5.9%増加する」(同省調査統計部の志村勝也経 済解析室長)と試算され、4-6月期は5四半期ぶり増加が見込まれて いる。

この日の株式市場では、日経平均株価は一時350円超の大幅高とな った半面、債券市場で新発10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)高 い1.45%まで上昇。円は対ドルで97円86銭付近まで売られた後、午 後に入ると97円台前半に戻している。

景気回復は鈍い、「慎重に見ておく方がいい」

第一生命経済研究所の主席エコノミストの主席エコノミストの熊野 英生氏は、景気の「変化の方向は、先行指標の経験則から、すでに回復 過程が始まろうとしている可能性が高い」とみている。一方、「景気回 復の力量については慎重に見ておく方が良い」とも指摘した。

先行きに関しては、米自動車会社クライスラーの行方、米金融機関 に対するストレステスト(健全性審査)結果、8日の米雇用統計発表、 新型インフルエンザの影響など、「試金石がいろいろ控えているので、 一気に景気復調とは行けないだろう」(三井住友銀行チーフストラテジ ストの宇野大介氏)と慎重な声が多い。

事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたところによると、オバマ 米大統領は30日、クライスラーによる連邦破産法11条の適用申請と、 同社とイタリア同業フィアットとの提携を発表する計画だ。

さらに豚インフルエンザ感染が拡大して貿易、世界経済に悪影響が 出ないかも見極める必要があるようだ。「感染が拡大すれば、貿易・旅 行などが制限される」(トヨタアセットマネジメントのシニアストラテ ジスト、浜崎優氏)と警戒されている。

クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は、世界的 な生産の底入れや経済対策効果を受けて、「秋までは増産が続くが、そ の後については最終需要動向の不透明さから、現在のところ回復の勢い は低下していく」と見込んでいる。

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