日銀:政策金利は全員一致で据え置き-長期国債買入額も維持

【記者:日高正裕】

4月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日午後、同日開いた 金融政策決定会合で、政策金利を0.1%前後に据え置くことを全員一 致で決定した、と発表した。上限金利の補完貸付金利は0.3%に、下 限金利の補完当座預金金利は0.1%に維持した。長期国債の買入額も 月1.8兆円に据え置いた。

日銀は同日午後3時に経済・物価情勢の展望(展望リポート)を 公表し、2010年度までの経済・物価見通しを示す。09年度後半以降の 景気持ち直しという見通しは辛うじて維持される見込みだが、景気持 ち直しが一時的なものとなるリスクをはじめ、不確実性の高さを強調 する内容になるとみられている。

内外の在庫調整の進ちょくを背景に輸出と生産の減少テンポが緩 やかになる兆しがある上、金融市場も落ち着きを取り戻している。日 銀は当面、これまで取ってきた政策の効果を見極める構えだが、世界 経済の動向など景気の下振れリスクは消えていない。金融市場では「債 券需給悪化に対応した長期国債の買い入れ増額が次の一手となる」(第 一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との声が根強い。

日銀は3月18日の会合で長期国債買入額を月1.4兆円から1.8 兆円に増額した。白川方明総裁は同日の会見で「さすがにここまで増 額させると、追加的な買い入れ余地はおのずとかなり限定される」と 言明。長期国債の買入額は銀行券発行残高を上限までとする銀行券ル ールについても「見直すことは全く考えてない」と語った。

銀行券ルールが焦点に

日銀は長期国債の買い入れについて、銀行券発行残高を上限とす る自主ルールを設けている。20日現在、日銀の長期国債保有額は44 兆円、銀行券発行残高は76兆円。日銀の中曽宏理事は9日の参院財政 金融委員会で、現在の月1.8兆円のペースで長期国債買い入れを続け た場合、4、5年のうちに銀行券ルールに近接するとの見方を示した。

三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「銀行券ルール はマクロ経済全体の均衡について考えたものではなく、単に日銀の国 債保有残高が日銀券の発行残高を超えてはならないという原則論であ り、それ以上のものとは思われない」と語る。日興シティグループ証 券の佐野一彦チーフストラテジストは「そもそも、短期債ばかりが落 札される状況に変化はなく、再増額の余地はある」と指摘する。

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「増額余地 広げると同時に、政府債務のマネタイズ(貨幣化)につながらないよ う規律を維持するため、銀行券ルールを適切に見直す必要がある」と いう。1つのやり方は、長期国債保有残高から残存期間1年以内の分 を除く こと。「国庫短期証券の買い入れに銀行券ルールが適用されて いないことを考えれば、合理的かつ現実的な修正方法だ」という。

銀行券ルールは修正も

もう1つは、銀行券+所要準備ルールとすること。石井氏は「日 銀にとって、当座預金の所要準備は銀行券に類似した実質的な長期負 債とみなせる」という。同氏によると、残存1年以内分の保有残高は 現在、約9.7兆円。所要準備は7兆円程度。「いずれの修正法でも、買 い入れ増額余地を広げられ、日銀はデフレスパイラル阻止に向けて、 量的政策をより機動的に強化できるようになる」と指摘する。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「15.4兆円 もの財政支出が行われる追加経済対策や、景気悪化による税収減で、 国債の発行額が大幅に増えるのは確実で、日銀に対して長期国債の購 入に対する圧力が高まるのは必至とみられる。日銀は最終的には、拡 張財政に対応し、長期国債の買い入れ増額を行うだろう」とみている。

白川方明総裁が午後3時半に記者会見する。議事要旨は5月27 日に公表される。次回以降の金融政策決定会合、総裁会見などの日程 は以下の通り。

会合開催       総裁会見  金融経済月報  議事要旨
5月21、22日  5月22日     5月25日     6月19日
6月15、16日  6月16日     6月17日     7月21日
7月14、15日   7月15日     7月16日     8月14日
8月10、11日   8月11日     8月12日     9月25日
9月16、17日   9月17日     9月18日     10月19日
10月13、14日   10月14日     10月15日     11月5日
10月30日       10月30日        -        11月26日
11月19、20日   11月20日     11月24日     12月24日
12月17、18日   12月18日     12月21日       未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、議事要旨は午 前8時50分。経済・物価情勢の展望(展望リポート)は10月30日の 午後3時に公表される。

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