3月鉱工業生産は前月比1.6%上昇-6カ月ぶりプラス、底入れか(3)

3月の鉱工業生産指数は前月比で 6カ月ぶりに上昇に転じた。昨年後半以降の世界的な景気後退を受け た企業の在庫削減の進展や輸出減少ペースの緩和を背景に、電子部 品・デバイスや一般機械などが生産の上昇に寄与し、事前予想を上回 る伸びとなった。経済産業省は 「生産は停滞している」と、前月まで の「生産は急速に低下している」から表現を変更した。

経産省が30日発表した3月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005年=100)によると、生産指数は前月比1.6%上昇した。前年同月 比では34.2%の低下。1-3月期の生産は前期比22.1%減と4四半期 連続のマイナスとなった。減少率は過去最大。ブルームバーグ・ニュ ースのエコノミスト調査では、3月の生産指数の予想中央値は前月比

0.8%上昇、前年同月比34.7%低下だった。

日本の2大輸出先である米国と中国ではこのところ景気改善の兆 しが見え始めている。29日発表された第1四半期(1-3月)の米実 質GDP(国内総生産)速報値は在庫や設備投資の記録的な減少が響 いて前期比年率6.1%減と、減少率は1957年第4四半期-58年第1四 半期以来で最大となったが、個人消費は年率2.2%増と過去2年で最 高の伸びとなり、この日のダウ工業株30種平均が2.1%上昇する要因 となった。また、1-3月期の中国の全国固定資産投資は前年同期比

28.8%増加した。

ホンダの近藤広一副社長は28日の決算会見で、米国の四輪車市場 の見通しについて「全体として底を打った感じがするが、どうリバウ ンドしていくかは読めない」と述べ、最悪期は脱したとの見方を示し た。

日本経済も夜明け

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表を受け、「製 造業の生産活動は底入れした」と指摘、「日本経済も夜明けが見えた」 との認識を示した。農林中金総研の南武志主任研究員も「景気悪化を けん引してきた輸出・生産は底入れを模索し始めるなど、景気悪化の テンポが緩やかになってきたことは間違いない」とした上で、当面の 焦点は、持ち直しのスピードや雇用・消費などの悪化がどの程度で落 ち着くかに移っていくとみている。

3月の生産を品目別にみると、蒸気タービン部品、普通乗用車に 加え、携帯電話やデジカメなどに使用するモス型半導体集積回路など が上昇に寄与した。また、中国向けに携帯電話、AV機器やパソコン の使われる固定コンデンサの生産なども増加した。

統計発表後の円の対ドル相場は午前11時12分現在、1ドル=97 円64銭。発表直前は同97円53銭近辺で推移していた。日経平均株価 の午前の終値は28日終値比339円87銭高の8833円64銭、債券先物 市場の中心限月6月物は同60銭安の136円70銭。

予測指数

経産省が同時に発表した4月の製造工業生産予測指数は前月比

4.3%上昇、5月は6.1%上昇となった。同省調査統計部の志村勝也経 済解析室長は記者説明で、4月と5月の予測指数がそのまま実現し、 6月を横ばいとすると、4-6月期は前期比5.9%上昇するとの試算 を示した。上昇すれば、5四半期ぶりの上昇となる。

志村氏は「急速に低下した局面からは転換しつつある」と述べる 一方、経済の不確実性があるので「底を打ったとは判断できない」と 慎重な姿勢を示した。さらに、3月は上昇したものの、これまでの下 げ幅に比べ、上げ幅が小さいことや水準自体も低水準であることを挙 げた。

3月の在庫指数は前月比3.3%低下、出荷指数は同1.4%上昇、在 庫率指数は同4.9%低下となった。在庫低下要因となった業種は16業 種中、14業種で、企業は引き続き在庫調整を進めている。一方、出荷 は6カ月ぶりに上昇に転じた。

国内では、現在国会で審議中の「経済危機対策」が成立すれば、 対策の効果が7-9月期から出始め、09年度の実質GDPを1.9%程 度押し上げると内閣府は試算している。同対策には自動車の買い替え や省エネ家電購入の促進策も盛り込まれている。

日本政策投資銀行調査部の鈴木英介調査役は統計発表後、「米国経 済が底入れに向かえば、輸出の底入れ等、日本経済にも先行きも明る い材料となる」とする一方、「GM(ゼネラル・モーターズ)、クライ スラーの経営問題の帰すうや金融安定化の行方等の不透明感に加えて、 足元では豚インフルエンザの経済活動に及ぼす影響も懸念され、依然、 世界的に景気の下振れリスクは多い」と指摘する

その上で鈴木氏は「懸念材料が山積するなか、需要の本格回復の 動きは弱いとみられ、鉱工業生産の持ち直しの動きも、当面は弱い可 能性が見込まれる」と予測している。

--取材協力 小松哲也 Editor: Hitoshi Ozawa、 Masaru Aoki,

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