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デリバティブがバフェット氏の重しに-損失計算するバークシャー株主

資産家ウォーレン・バフェット 氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの株主は今年、 「オマハの賢人」と称されるバフェット氏の信奉者の間では珍しく、 「損失を計算する」機会を得た。

弱気相場に強いとの評判にもかかわらず、バークシャーの株価は 急落。クラスA株の27日終値は9万ドルと、昨年9月以降31%下 落した。同期間にS&P500種株価指数は26%下げている。

株価下落の原因の1つは、バフェット氏がデリバティブ(金融派 生商品)の利用を増やしたことだ。バークシャーは昨年末時点で想定 元本673億ドル(約6兆4800億円)のデリバティブ取引を抱えてい た。この数字は主として報告用であり、潜在的な損失額を示すもので はないが、これと比べると手元資金255億ドルは小さく見える。

バフェット氏自身も、1種類のデリバティブで損失を被る可能性 が増していると警告を発している。格付け会社フィッチ・レーティン グスとムーディーズ・インベスターズ・サービスは、デリバティブな どを理由にバークシャーを格下げした。

アリエル・インベストメンツのマネジャー、チャールズ・ボブリ ンスコイ氏は「人々は、理解不可能な金融投資、特にデリバティブ関 連投資に対して不安になっている」と指摘した。

株価指数に賭ける

バークシャーのデリバティブは4つのカテゴリーに分けられる。 そのうち、想定元本371億ドルと最も多いのが、バークシャーが投 資家に販売した米国、英国、ユーロ圏、日本の株価指数に賭けるプッ ト・オプション(行使期限2019年9月-28年1月)だ。行使期限 時の4つの株価指数のいずれかが契約時の水準を下回っていた場合、 バークシャーには支払い義務が生じる。

このデリバティブ取引を分析したところ、バークシャーが多額の 損失を被る公算は小さいとみられた。バフェット氏はこの取引に関す る十分な情報を開示しておらず、一部の投資家は売りを急いでいない。 ボブリンスコイ氏もバークシャー投資から逃避していないと述べた。 3月31日時点で、アリエルで共同運用する2億5000万ドルのうち

5.6%がバークシャーに投資されている。

すべての株価指数がゼロにならなければ、プット・オプション 371億ドルのすべてを失うことはない。またバークシャーは保険料 49億ドルを受け取っており、将来支払いが発生した場合の足しにな る。

いくつかのシナリオ

米シティグループのアナリスト、ジョシュア・シャンカー氏は3 月16日のリポートで、バフェット氏がこのプット・オプションをめ ぐり損失を被る可能性を推定するためいくつかのシナリオを検討した。

その結果、S&P500種を4つの株価指数の代表とし、年5%の 保証料を得たとした場合、バークシャーがこのプット・オプションで 損失を被るには15-20年間で株価が少なくとも32%下落する必要 があるとされた。1800年以降の米株式市場では、1929年の大恐慌 直前に取引を開始した場合のみこれに該当する。

ただ、バフェット氏が開示した情報によると、一部のプット・オ プションは過去最高値を付けた07年後半に契約された可能性がある。 そこからS&P500種が今年3月に57%下落したのを踏まえて、シ ャンカー氏はシナリオで同指数の50%下落を前提とした。その後、 同株価指数が年6%のペースで14年間上昇した場合、バークシャー の支払い義務は生じない見通しだ。

年2.8%ペースの上昇では、バークシャーは54億ドルを支払う ことになるという。

ウィンターグリーン・ファンドで運用に携わるデービッド・ウィ ンターズ氏は、これらのデリバティブで損失が生じる可能性は小さい と指摘。「われわれは非常に後ろ向きな世界に生きている。投資家は、 非常に可能性の低い事柄を起こり得る事に当てはめている」と述べた。 同ファンドは昨年末時点で、運用資産の6.6%をバークシャーに投資 していた。

シャンカー氏によると、バークシャーはその他のデリバティブの 分析に必要な情報を十分に公開していない。同氏によれば、残りのデ リバティブは、地方債保証と、クレジット・デフォルトスワップ(C DS)、ハイイールド(高リスク・高利回り)債指数の構成企業で貸 倒損失が発生した場合の保証として販売したデリバティブだという。

バフェット氏にコメントを求めて電子メールを送付したが、返 答はなかった。バークシャーは5月1日に四半期決算発表後、翌2日 に年次株主総会を開催する予定。

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