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超長期債、生保の潜在需要は60兆円か-ヘッジ外債に3つの追い風

日本生命保険などの大手生保は 2009年度の資産運用で、超長期国債や為替差損の回避措置(ヘッジ) を講じた外国債券を積み増す。政府の追加経済対策による増発を消化す る余力があり、ヘッジ外債には円高懸念や内外の短期金利差の縮小など 3つの追い風が吹いている。

政府の追加経済対策に伴う補正予算編成に伴い、財務省は国債発行 計画を修正。財投債も含めた来年3月までの市中発行額を16兆9000 億円増やす。ただ、日本生命の赤林富二財務企画部長は21日の記者会 見で、日本経済は「09年度も大きなマイナス成長」が続き、日本銀行 が利上げに転じる可能性は低いため、国内長期金利の上昇は「抑制的」 と予想した。

RBS証券の市川達夫シニアストラテジストは、生保による保有資 産の平均年限(デュレーション)長期化に伴う潜在需要は、20年債に 換算して業界全体で50兆-60兆円と推計。高収益が見込めるリスク資 産も平均利回り向上に必要なため、実際の購入が潜在需要の半分にとど まると仮定しても、今後2年間は超長期国債の安定消化に懸念が生じな いとの見通しを示した。

住友生命の宮原広文運用企画部次長兼運用戦略室長は、国債増発を 「特に気にしていない。金利上昇はウェルカムだ」と言明。明治安田生 命の高松泰治副社長も、ALM(資産・負債の総合管理)の観点からは 「金利は上がるほうが歓迎だ。20年債利回りで2.25%前後になれば、 積極的に入れ替えたい」と語り、代わりに中期債などを売却する意向を 示した。20年債利回りは27日に2.065%前後だった。

ALM、20年債

生保の資産運用はALMが基本。保険商品の契約者に対して抱える 「長期・固定」の負債に見合うよう、平均年限(デュレーション)が長 く、円建ての安定的な収益を得られる資産を増やす。安全性も高い超長 期国債は優先度の高い投資対象だ。資産価格の変動が経営を直撃するリ スクを抑える効果が期待できる。

日本生命は、新たな保険料収入などから運用に回す資金の「大半」 は円金利資産に配分する。赤林部長は、円金利資産の「中核」は国内債 で、その「半分」は20年債を中心とする超長期債に振り向けると述べ た。第一生命も「金利上昇局面で超長期債を中心に積み増す」(運用企 画部の西尾晃直課長)方針だ。

財務省は今回、毎月発行の20年債を1回当たり2000億円、隔月 の30年債と四半期ごとの40年債は1000億円ずつ増やす。

RBS証の市川氏は、国債増発によって1回当たりの発行額が 2000億-3000億円増えた場合でも、持続的な金利上昇には至らないと 分析していた。6月末までに10年債で1.2%程度まで金利低下が進む 可能性もあると予想する。

インフレ予想も安定

10年債とインフレ連動債(TIPS)の利回り格差が示す市場関 係者の予想インフレ率(BEI)は4月上旬以降、マイナス1.8%前後 で安定している。

生命保険協会の統計によると、生保44社が2月末時点で保有する 総資産210兆円5484億円のうち、国債は52兆6728億円と最も多く、 25%を占めた。04年3月末より17兆円余り、48%増え、構成比も

5.7ポイント上昇した。国債に地方債と社債を合わせた国内債でも、 77兆2002億円で36.7%。約5年間で16兆5000億円近く増え、構成 比は3.8ポイント高まった。

09年度の大手生保による資産運用では、為替差損を回避(ヘッ ジ)した外債も焦点だ。根強い円高懸念とヘッジコストの低下、長期金 利差の3点で、ヘッジ外債への投資が有利になっているからだ。

4月の円相場は1ドル=100円、1ユーロ=130円前後で推移。住 友生命は今年度の円高値を対ドルで80円、日本生命と第一生命、明治 安田生命は90円と予想。10%-20%程度の円高進行を警戒する。ヘッ ジせず為替差益も狙う(オープン)外債には手を出しにくい環境だ。

ヘッジコストで優位

大手生保は、ヘッジ外債を国内債の代わりと位置づけている。最も 安全とされる国債の利回りが、生保が保険商品の契約者に約束した予定 利率より低いことが背景。ヘッジコストを差し引いた後の外債利回りが 国債より高ければ、有力な投資先となる。

内外の短期市場金利差で決まるヘッジコストは、金融危機と景気後 退を受けた米欧の金融緩和によって縮小。例えば、ロンドン銀行間取引 金利(LIBOR)3カ月物の日米金利差は、1年前は2%弱だったが 、足元では約0.5%。米10年物国債利回りは3%程度なので、差し引 き2.5%弱。1.4%台の日本国債より約1%高い利回りを得られる計算 だ。

日本生命は昨年度、ヘッジ外債の残高を7000億円増やした。明治 安田生命は今年度、2000億円以上積み増す。

野村証券の田中泰輔外国為替ストラテジストは、ヘッジ外債は生保 などの機関投資家にとって「今年度の重点項目だろう」と予想する。ヘ ッジ後の利回りが02-04年以来初めて、日本国債を持続的に上回って いると推計。為替リスクを取らずに分散投資効果も見込めると指摘した 。

--取材協力:伊藤小巻、山崎朝子、赤間信行

Editor: Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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