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債券買いが徐々に始動:国債増発の概要織り込み、金利は2カ月安定か

追加経済対策に伴う国債の追加発 行額は過去最大規模に及ぶが、増発の概要が明らかになるに従って市場 の不確定要因が解消してきた。投資家が債券買いに動き始めたこともあ り、6月まで金利は横ばいからやや低下方向との見方が台頭している。

前年度末以降の債券市場では増発懸念から売り優勢の展開が続い たが、ここにきて売りが一段落するなど需給の潮目に変化が見え始め た。東京海上日動火災保険投資部の岳俊太郎債券投資グループリーダー によると、国債の年限別の配分までイメージできるようになったことで 増発ネタはほぼ消化したとみており、「どのタイミングで買いを入れる か思案していた投資家が買いに入っている」と指摘する。

新発10年国債利回りは10日に1.49%をつけ、3月後半からは 20ベーシスポイント(bp)強上昇したが、ここ数日は1.4%台半ばで 安定を取り戻した。市場では、「需給不安解消に加えて、景気対策の効 果が出始める秋口までは持久戦と想定すると、金利を生む債券を持たな いリスクを意識せざるをえない」(DIAMアセットマネジメントの山 崎信人エグゼクティブファンドマネジャー)との声もある。

RBS証券の市川達夫シニアストラテジストも、増発に伴う需給 懸念は今後も折りに触れて蒸し返されると警戒しつつも、「夏場以降の 金利先高観測と足元の運用ニーズとを勘案した場合に、投資家は全く買 わない選択肢は取りにくい」として当面の金利の安定推移を予想する。

追加の国債発行額は総額16.9兆円になる見込み。年限別の割り振 りに関しては、短中期ゾーンの発行を多めにしたうえで満遍なく増発す るとみられている。

夏場の金利上昇なお警戒

もっとも、「足元の市場が17兆円という数字自体は織り込んだと はいえ、7月からの入札であらためて増発のインパクトが試される」 (BNPパリバ証券の島本幸治チーフストラテジスト)とも指摘され、 国債発行額が拡大する夏場以降の金利上振れへの警戒感は強い。

このため、増発絡みの材料に市場の感応度が鈍るなかでも、投資 家は一定額を分散して購入する「平準買い」の姿勢を維持するとみられ 、金利水準が大きく切り下がる展開までは想定しづらい。DIAMアセ ットマネジメントの山崎氏は、金利上昇観測がくすぶるなかでは安全運 転しなければならないとし、「利上げが当面ないとの読みから短中期債 でのキャリー(金利収入)確保の運用が中心になる」と指摘する。

東京海上日動火災の岳氏も、さすがに17兆円もの発行増は厳しい とみており、「7月以降の金利高を意識するなかでは、10年債の

1.2%台や20年債の2%割れは買い進みにくい水準」だと分析する。 国債増発に対する過度の不安が弱まったのは事実だが、実際に増発分を 消化できるかと懸念は先送りしただけにすぎず、「夏場の金利上昇」を 視野に入れながら慎重な運用姿勢が求められそうだ。

--取材協力:Theresa Barraclough Editor:Hidenori Yamanaka,Tetsuzo Ushiroyama

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 赤間信行 Nobuyuki Akama +81-3-3201-8842 akam@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Nicholas Reynolds +81-3-3201-8676 nreynolds2@bloomberg.net

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