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【日本株週間展望】9000円攻防続く、期待から現実-銘柄格差拡大も

4月第4週(20-24日)の日本 株相場は、日経平均株価が9000円を挟み一進一退の展開が続きそう。 景気、金融対策の各国連携効果で当面の下値不安は後退したが、足元 で明らかになっている経済統計、企業業績には厳しい現実を示すもの が多い。1カ月近く続いた期待先行の戻り相場は踊り場を迎えた。

米国のオバマ大統領は14日の演説で、景気対策や金融機関救済 策、住宅市場支援策を導入したことで、「経済が前進している兆候が 見え始めてきた」と指摘する半面、「この先に落とし穴があるかもし れない」と述べた。米連邦準備制度理事会(FRB)などは、国内大 手19金融機関を対象に実施中の健全性審査(ストレステスト)の結 果について、来月4日にも公表する意向。自動車業界の再建問題も抱 え、政策当局も市場と同様、不安心理を払しょくできずにいる。

4月3週(13-17日)に発表された米経済統計は、4月のニュー ヨーク連銀製造業景況指数のマイナス幅が昨年9月以降で最小となり、 FRBの地区連銀報告はサンフランシスコなど主要5地域で経済活動 の縮小ペースが鈍化してきた、と改善の兆しを記した。これに対し3 月の米小売売上高は前月比1.1%減と、0.3%増としていたエコノミ スト予想を裏切り、1-3月の米住宅差し押さえ手続き開始件数は80 万3489件と、前年同期比で24%増えて過去最悪を記録している。

焦点は4月の米統計、決算も注視

大和総研投資調査部の野間口毅部長が、「株価が上がっている割 に3月の統計はあまり上がっておらず、4月は急回復してくる可能性 がある」と話すように、市場参加者の焦点は政策発動への安心感が強 まった後の状況を示す4月の米経済統計にある。ニューヨーク連銀指 数に続き、4月のフィラデルフィア連銀景況指数もマイナス幅を縮小 したが、景気拡大と縮小の境を示すゼロを下回る状況に変わりはなく、 4月統計の総括と景況感の判断にはなお猶予が必要のようだ。

日本の貿易相手国として米国と並ぶ双璧の中国では、16日に1- 3月期の実質国内総生産(GDP)が公表され、前年同期比6.1%増 と昨年10-12月の6.8%増から減速。輸出の急減が響き、約10年ぶ りの低い伸びにとどまった。

総額58兆円に及ぶ景気刺激策がいち早く浸透、世界景気反転の リード役と見込まれ、日本株市場でも最近、機械や鉄鋼、海運など中 国関連銘柄を買う動きが活発化していた。しかし、GDPの数値は 「ほぼ市場予想通りで、ポジティブサプライズはなかった」(BNP パリバ証券ストラクチャード・ソリューション部の平塚基巳部長)た め、期待感は目先トーンダウンを余儀なくされる可能性がある。

一方、発表が本格化している米国企業の1-3月期決算は、半導 体世界最大手のインテルの純利益が前年同期比55%減と落ち込み、4 -6月の売上高も回復しないとの見通しを示した。注目度の高い大手 金融機関では、ゴールドマン・サックスがウォール街での最も楽観的 な予想をも上回り黒字を確保。株式市場における不安心理の後退にひ と役買ったが、「よく見ると債券トレーディング益の効果が大きい。 目の付けどころは良かったが、これが今後も続くかは分からない」 (平塚氏)と、冷静に受け止める向きも少なくない。

恐怖指数低下で底割れ遠のく

米国市場で投資家の不安心理を示し、別名「恐怖指数」とも呼ば れるシカゴ・オプション取引所のボラティリティ指数(VIX)は、 昨年9月下旬以来の水準にまで低下。株式市場参加者の落ち着きは日 本株の需給動向にも表れ、4月2週(6-10日)に外国人投資家は2 週連続で買い越した。週間での連続買い越しは10カ月ぶりだ。

「VIXの下落が明確になり、相場底割れのリスクは後退した。 今後はボラティリティが下がり、銘柄のバリュエーションが正常化し ていく」と、BNP証の平塚氏は見ている。日本では追加景気対策の 発表が一巡、約3カ月ぶりに日経平均が9000円の節目を回復した。 これにより、どの銘柄が割安か割高か、投資リスクが低いかなどを選 別する意識も強まりやすく、ここから先は月末にかけて日本でも始ま る大手企業の決算内容の見極めが重要になってくる。

ペアトレード、日本でも決算

ゴールドマン・サックス証券では、三井住友フィナンシャルグル ープが今月9日に09年3月期業績予想の下方修正、最大8000億円に 及ぶ資本調達の実施表明後、大手銀行のバランスシートの強さを検証 した。この結果、相対的な資本基盤と損失吸収能力から三井住友Fの 買い、みずほフィナンシャルグループの売りというペアトレードを推 奨。こうした動きが今後各業界で起こる可能性は高そうだ。

4月4週の日本株に影響を与えそうな材料は、国内では20日に 発表される3月の粗鋼生産、22日に貿易収支、海外では20日に米国 で3月の景気先行指数、23日に欧州で4月の製造業PMI・サービス 業景況指数の発表など。

企業決算は、米国で20日にIBMとバンクオブアメリカ、21日 にキャタピラー、22日にモルガンスタンレーやアップル、23日にア メリカンエキスプレス、日本では24日に花王や日本電産、リコー、 野村ホールディングスが予定されている。また、24日にはワシントン で7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開催予定。

【市場関係者による当面の見方】
●三菱UFJ証券の山岸永幸シニアストラテジスト
  「米金融機関の決算は良好だが、発表が済んだのはもともと不安
が少ないゴールドマンなど。今後は懸念されているところが行うため、
リスク意識が強まる可能性がある。最近の上昇は値がさ主力製造業の
買い戻しが主体だったが、それが一巡し日経平均で9000円の上値は
重く、相場は昨年10月からのボックス圏での推移が続こう。売買単
価の低下に表れるように、今後は低位大型株物色が優位とみる。特に
中国というキーワードが入った商社、海運、鉄鋼株が買われやすい」

●立花証券の平野憲一執行役員
  「騰落レシオなどからみると調整もあり得る水準だが、下値が切
り上がっており、日経平均はいったん上抜ける可能性がある。5月波
乱を意識しながら9000円を超す場面もあるのではないか。経済指標
も企業業績も絶対水準は低いが、前期比では改善し、下げ止まり感が
広がっている。マーケットの流れにあえて逆らうこともない」

●東海東京証券の鈴木誠一マーケットアナリスト
  「日経平均9000円付近には純然たる売りがある。個人は昨年10
月からことし2月まで約1兆7000億円買い越したが、買いの平均単
価は8930円。この水準に来るとどうしても売りが多くなる。ここを
抜けるには相当のエネルギーが必要だが、現時点で買う主体はいない。
先物のエネルギーだけで9000円を超える可能性はあるが、恒常的に
上昇するわけではない。投資資金は回転しておらず、相場の先行きに
は強気ではない」

●みずほインベスターズ証券投資情報部の石川照久部長
  「世界20カ国も集まり、景気が良くなるようにしていることを
基本忘れてはならない。一本調子に良くはならないが、日経平均で
6000、7000円ではなく、1万円に向けて動いてきている。ただ、足
元の景気が悪いから1万円より下にあり、そこを超すのがいつか分か
らないのが現状だ。日米の決算も、予想通り悪いが若干良いところも
あるという内容で、サプライズにはならなそう。下がったところは中
期で買いの好機になる」

--共同取材:浅井 真樹子、鷺池 秀樹、常冨 浩太郎 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

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