大陽日酸株が反発、米工業ガス販社を買収-グローバル戦略が具体化

工業用ガス世界5位の大陽日酸株 は買い気配で始まり、売買成立後は一時前日比5.3%高の673円まで 反発。海外事業の拡充を目指し、米工業ガス販社「バレー・ナショナ ル・ガス(VNG)」を買収することが明らかになり、同社の世界戦略 が具現化したと評価された。

大陽日酸が30日の取引終了後に公表した報道資料によると、VN Gは米北東部を中心に95カ所の拠点を有し、化学メーカーや電機メー カーなどに酸素や窒素などを販売している。年間売上高は約3億ドル (約300億円)。特殊ガス事業の強化やヘリウム充填所建設なども進 める考えで、今回の買収を機に新たに創出される増益効果は年1800万 ドル(約18億円)になるという。

大陽日酸は米子会社を通じ、米投資ファンド「CLキャピタル・パ ートナーズ」からVNG株のすべてを取得する計画で、買収は5月中旬 をめどに完了するという。買収増額は非公開としているが、31日付の 日本経済新聞朝刊は「500億円規模」と伝えた。

野村証券金融経済研究所・企業調査部の岡崎優アナリストは、「欧 米メジャーに比べ、グローバル化で遅れをとっていた同社が、北米事業 の強化に動いたことは評価できる」との見方を示した。ただ短期的には、 「国内やアジアの事業環境悪化に伴い大幅な減益が見込まれるため、今 回の買収ですべてをカバーはできない」(同氏)と指摘する。

短期業績は低迷

UBS証券は30日付で、新たに大陽日酸のカバーを開始、目標株 価を650円と設定した。担当アナリストの村松高明シニアアナリスト によると、同社株は競合他社より景気敏感で、「限界利益率の高い液化 セパレートガスの販売数量、ひいては鉱工業生産が利益を左右する」と いう。

同証の試算によれば、「鉱工業生産1%変動につき、2010年3月 期全社営業利益が約4%変動」(村松氏)する。10年3月期の国内鉱 工業生産が前年比15%減と予測、国内液化セパレートガス販売量が前 年比12%減になる、と同証ではみている。

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