大阪ガス:需要減の中、関西電力に挑戦状-泉北発電所、4月稼働

世界的なリセッション(景気後退) で日本の電力需要が冷え込む中、都市ガス国内2位の大阪ガスは4月 1日から総工費1000億円をかけた泉北天然ガス発電所(大阪府堺市・ 高石市)の営業運転を開始する。エネルギー覇権をめぐり、ガスと電 力のつばぜり合いが激しくなっており大阪ガスが関西電力に挑戦状を 突きつけた格好だ。

泉北発電所は最初に2号機(出力27万7000キロワット)をスタ ートさせ、11月までに残り3機の運転を順次開始する。合計4機の出 力は110万9000キロワットに達し、電力の新規参入業者としては、国 内最大規模となる。これまでの最大は、昨年4月に運転を開始した新 日本石油と東京ガスの川崎天然ガス発電所(合計出力84万7400キロ ワット)。

泉北発電所は関西電力管内に位置し、一部の電力は関西電力と中 部電力にも販売する。大阪ガスは既にNTTファシリティーズ・東京 ガスと共同出資しエネットを設立し、電力小売り自由化後、一般競争 入札や相対契約で顧客を獲得しており、全国で電力小売事業を展開し ている。

大阪ガス・電力事業プロジェクトチーム・マネジャーの伊藤宗博 氏によると、当初の予定では泉北発電所の電力全量を小売り販売する 予定だった。しかし、電力需要が減少する中で収益性を第一に考えた うえでやむを得ず一部を電力会社に販売することを決めた。一方で、 伊藤氏は「発電所の運営に習熟してきた時点で、電力会社への卸売り 分を小売りに切り替える可能性もある」と述べ、将来的には電力供給 で全面的に関西電力と競合する可能性を示唆した。

電力も「オール電化」で巻き返し

迎え撃つ関西電力も大阪ガスの攻勢に手をこまぬいているわけで はない。関西電の櫟(いちのき)真夏・企画部長は26日の会見で、「新 規参入者が誰であろうと、正々堂々と顧客へのサービスで勝負したい」 と真正面から受けて立つ構えだ。関西電は既に電力自由化対象の大口 顧客に対し、契約更新で複数年契約を提案し、契約年数に応じた料金 割引メニューを提供するなど、顧客離れを食い止める手段を講じてい る。

さらに関西電が力を入れているのは、住宅の「オール電化」だ。 エネルギー源をガスから電気に置き換えることで、大阪ガスの顧客取 り込みを図っている。2月末現在で67万2000戸、2011年までにさら に38万戸を上乗せする計画を打ち出している。

こういったガスと電力の競合について、みずほ証券シニアアナリ ストの角田樹哉氏は「大阪ガスは一部の電力を関電と中部電に卸供給 し、自らも小売りするので、協力と競合の両面がある」との見方を示 した。さらに「泉北発電所は大阪中心部に近く高効率の発電が可能で、 電力会社としても供給を受けるメリットは大きい。大阪ガスにとって も、安定的な供給先としての電力会社は重要だ」と微妙な緊張関係を 指摘した。

泉北発電所の運転開始ついて、エネルギー経済研究所の小笠原潤 一氏は「電力需要が減少している中で供給先確保が難しく、小売りも 以前に比べ厳しい」とした上で、大型発電所のスタートのタイミング としては「最悪」かもしれないとの認識を示した。

少子高齢化や省エネ推進で今後大きなエネルギー需要増が見込め ない中で、垣根を越えたガスと電力の顧客争奪戦は、関西だけでなく 今後全国的に広がりそうだ。

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