東京外為:円急伸、米自動車破たん懸念とECB緩和観測で買い戻し加速

東京外国為替市場では午後の取引 で円が急伸。経営難に陥っている米自動車大手の破たん懸念が強まり、 株価が下落したことから、投資リスク縮小を目的にこれまでユーロなど 相対的に金利の高い通貨に振り向けていた資金を円に戻す動きが加速 した。

円は対ユーロで前週末のニューヨーク時間午後遅くの水準(1ユー ロ=130円4銭)から2円以上円高が進み、今月17日以来、約2週間 ぶりとなる127円台まで上昇。週後半に欧州中央銀行(ECB)の定例 理事会を控え、一段の金融緩和観測が高まっていることも対ユーロでの 円買いを後押しした。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、「米国 ではいろいろな救済策が出ていったん落ち着きが出ていたが、ここにき て自動車大手の破たん懸念が出ているほか、先週末には米銀大手の足元 の業績悪化が明らかとなるなど怪しい匂いが漂っている」と指摘。そう したなか、これまで株高を背景に進んでいた円安の反動が出ており、海 外市場ではクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)を中心にもう一段、 円の上値を試す可能性もあるとみている。

米自動車大手の破たん懸念

米オバマ政権当局者は、米自動車メーカーのゼネラル・モーターズ (GM)とクライスラーが政府からの追加支援を正当化するには、再建 計画を全面的に修正し、一段の譲歩を示さねばならないとの認識を示し た。また最終的には、破産法の適用申請が最善策となる可能性も明らか にした。

オバマ大統領の発表前だとして匿名で語った当局者によれば、クラ イスラーはイタリアの同業フィアットと向こう30日間で提携を完了で きた場合に限って60億ドルの支援を得る。単独では存続不可能のため、 フィアットと提携できない場合、追加支援は得られないという。

また、GMは政府支援を引き続き受けながら、新たな計画を向こう 60日間で策定するが、これまでよりも財務省や外部アドバイザーからの 指導を受けながらの作業になるという。再建計画修正が成功した場合に GMが受け取る追加支援の規模について、政府は明らかにしていない。

株安で円買い戻し加速

米自動車大手の再建問題の先行き不透明感が広がるなか、24時間 取引のGLOBEX(シカゴ先物取引システム)では米S&P500種指 数先物が下げ幅を拡大。東京株式相場も午後に一段安となり、日経平均 株価は前週末比390円値下がりした。

また、外国為替市場では円の買い戻しが活発となり、対ユーロでは 一時、1ユーロ=127円60銭まで円高が進行。対ドルでも一時、1ド ル=96円47銭と1週間ぶりの円高値を付けた。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は「このとこ ろ株価もずっと上がっていてムードが良かっただけに、その反動でリス ク回避的な発想になっている」と指摘。加えて、ECBの量的緩和の思 惑や英国の金融システム不安が浮上していることも欧州通貨を売られや すくしていると説明している。

量的緩和思惑でユーロ軟調

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によると、 ECBは今週、現行1.5%の政策金利を0.5ポイント引き下げる見通 し。また、先週末に発表された3月のドイツの消費者物価指数が1999 年6月以来の低水準となるなど域内景気の悪化が深まっており、市場 ではECBが米英に続いて量的緩和に踏み切るとの思惑が浮上して いる。

こうしたなか、ユーロは対ドルで一時、1ユーロ=1.3182ドルま で下落し、今月18日以来の安値を更新。ソシエテ・ジェネラル銀行 外国為替本部長の斉藤裕司氏は、財政規律が厳しく、景気の下支えを 金融政策に頼らざるを得ないなか、ECBによる長期債買い入れの思 惑も浮上しており、「ユーロはもう一段の下げもあり得る」と語る。

ECB会合以外にも、今週は日本の企業短期経済観測調査(日銀短 観)や米国の雇用統計など日米の主要経済指標の発表が相次ぐ。また、 4月2日には20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が開催さ れるなど注目材料が目白押しで、「どの通貨が一番売られるかを見極め る週」(斉藤氏)になるという。

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