時価会計ルール柔軟性拡大で米銀利益2割改善も-FASB採決なら

米議会から厳しい批判を受けた米 財務会計基準審議会(FASB)が今月提示した時価会計ルールの見 直し案により、シティグループなどの銀行の利益は2割強改善する可 能性がある。

FASBが16日示した時価会計ルールの見直し案では、企業は 資産評価でかなりの裁量権が認められるとともに、住宅ローン担保証 券などの不良資産で計上を義務付けられた評価損を縮小することが できる。見直し案は1-3月(第1四半期)の財務諸表から適用され る見通しで、これに関する最終的な採決は4月2日に予定されている。

時価会計をめぐっては、米商業会議所や米銀行協会、金融資産の カストディ(保管管理)業務で世界最大手のバンク・オブ・ニューヨ ーク・メロンなどから見直しを求める声が高まっていたため、FAS Bがこれに対応した格好。ただ、元監督当局者や会計アナリストの間 では、財務諸表の透明性の向上を求める投資家にとって、ルール見直 しは痛手だとの意見も聞かれる。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの元マネジングディレ クターで、現在は税・会計顧問会社ロバート・ウィレンスを経営する ロバート・ウィレンス氏は、「巨大な圧力」にさらされたFASB当 局者が「時価会計ルールを事実上骨抜きにした」と指摘した。ウィレ ンズ氏やアーサー・レビット元米証券取引委員会(SEC)委員長ら は、ルール見直しによって銀行による損失計上の先送りが可能になる ため、変更には反対だと主張している。

裁量権

レビット氏は「FASBの今回の行動で最も気になるのは、企業 の支援者に恩義を受けている議員からの法外な脅しに屈しているよ うに見えることだ」と述べた。

FASBのニール・マクガリティ報道官は、かなりの裁量権を認 める提案は「米議会の審議以前に取りまとめたもの」であり、不良資 産に関する計画は「今回の金融危機から発生した財務報告上の重要な 問題に対応することが狙いだ」と説明した。

ウィレンズ氏によると、FASBの時価会計ルール見直しの下、 銀行に市場価格ではなく内部モデルを利用させ、資産のキャッシュフ ロー(現金収支)を加味することを認めると、銀行業界の利益は20% 押し上げる公算がある。

オハイオ州立大学のリチャード・ディートリック教授(会計学) によると、住宅ローン担保証券が業績の足かせとなっているシティグ ループなどの企業は損失を5-7割圧縮できる。同教授は「これによ り純損失が相当の純利益に転じる可能性もある」と述べた。

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