2月の鉱工業生産は前月比で5カ月連続低下、26年ぶり低水準 (3)

2月の鉱工業生産指数は前月比で 5カ月連続して低下し、約26年ぶりの低水準となった。世界的な信用 収縮と景気後退の悪循環で輸出が落ち込む中、自動車や半導体製造装 置などを中心に生産が減少した。経済産業省は「生産は急速に低下し ている」と3カ月連続で基調判断を据え置いた。

経産省が30日発表した2月の鉱工業指数速報(2005年=100)に よると、生産指数は前月比9.4%低下の68.7と1983年3月以来の低 水準となった。下落率は過去最大を記録した1月(同10.2%減)から 縮小したものの、過去3番目の大きさ。前年同月比は38.4%低下と過 去最大の下落率となった。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト 調査では、2月の生産指数の予想中央値は前月比9.1%低下、前年比

38.1%低下だった。

生産動向を左右する輸出の減少に歯止めが掛からない中、景気動 向の要となる生産は昨年10月以降、急降下が続いている。財務省の2 月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比49.4%減と5カ月連続で 減少。2月の国内自動車各社の世界生産はトヨタ自動車が前年同月比 53%減、ホンダは同43%減、日産自動車が同51%減と軒並み激減した。 3月以降は、企業の在庫調整の進展により生産指数の下落率がどの程 度鈍化するかが焦点となる。

3月と4月の生産予測指数は上昇

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表後、「製造業に おける、まれにみる減産が続いている」とし、1-3月期は昨年10- 12月期よりも「減産率は加速する」と指摘。5月中旬に発表される1 -3月期の国内総生産(GDP)は、「少なくとも08年10-12月同様 に2四半期連続で大幅な落ち込みとなる可能性が一段と高まった」と の見方を示した。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前11時35 分現在、1ドル=97円76銭。発表直前は同98円13銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前週末比151円91 銭安の8475円06銭、債券先物市場の中心限月6月物は同1銭高の138 円22銭。

経産省によると、3月の製造工業生産予測指数は前月比2.9%上 昇、4月は3.1%上昇となっている。同省調査統計部の志村勝也経済 解析室長は記者説明で、3月と4月の予測指数がそのまま実現した場 合、1-3月期の生産指数は前期比23.2%低下になるとの試算を示し た。1-3月期は5四半期連続のマイナスとなる公算が大きく、その 場合にはアジア金融危機と国内の大型金融機関の破たんが相次いだ 97年10-12月期から98年10-12月期にかけて記録して以来となる。

在庫指数は過去最大の下落率

志村室長は、企業が生産減に伴い在庫調整を進めている一方、出 荷も減少が続いていることを指摘。在庫指数は前月比4.2%低下と過 去最大の下落率となる一方、出荷指数も同6.8%低下と過去4番目の 下落率となった。マネックス証券の村上氏は「出荷の落ち込みに応じ て、企業が激しい減産を続けた結果、在庫水準も大きく低下している」 と指摘する一方、「これはあくまで『下げ止まり』であって、『生産底 入れ』の兆候とは言えない」との見方を示す。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストも「米過剰 消費崩壊という大きな地殻変動が根底にある今回の景気後退について は、回復パターンV字型は期待すべくもない」とし、「生産底入れのシ グナルはまだ点灯していない」とみる。他方、三井住友アセットマネ ジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「在庫水準はそれほど高く なく、需要さえ出れば生産増に結びつきやすい状況であることを示唆 する数字」とし、予測指数の「実現率が小幅マイナスにとどまれば、 いったん生産は底打ちする可能性があるかもしれない」と指摘する。

トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は26日、都内で開いた新車発表会で、 自動車生産動向について「5月は在庫調整をするつもりはない」とし、 「5月ぐらいから巡航速度に戻していきたい」と語った。また、海外 の経済指標をみると、米国の2月の住宅着工や米製造業耐久財受注額 がプラスに転じている。

石油・石炭除く全業種で生産低下

2月は、石油・石炭製品工業を除く全業種で生産が低下した。た だ、これまで輸送機械工業とともに大きな低下要因となってきた電子 部品・デバイス工業の生産と出荷指数はそれぞれ前月比4.8%低下、 同0.9%低下と1月の同22%低下、同20.7%低下から下落率が縮小し た。

農林中金総研の南武志主任研究員は「実際、生産指数だけ見る限 り、09年度上期は『底固め』の動きになってくる可能性もないわけで はない」とする一方、「国内外を見渡しても、雇用情勢や個人消費は当 面は悪化方向の動きが残るものと思われる」と指摘。その上で「仮に、 景気が底入れしたとしても、その後も当面は底ばい状態が続き、持ち 直しの動きは10年度以降にずれ込むものとの予想は変更する必要は ないだろう」との認識を示した。

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