ポンド急落でココア高騰、日本のチョコメーカーにも影響じわり

ポンド急落による国際ココア相場高 騰が、チョコレートメーカーの経営にボディブローのようにじわり、じ わりと効きつつある。現時点で商品値上げを表明する製菓会社はないが、 今後の相場次第ではコスト削減などのさらなる対応策を強いられるメー カーも出てきそうだ。

製菓最大手の明治製菓では、カカオ豆や乳製品の価格上昇を主因に 3年間(06年度-08年度)で100億円超のコスト増を見込む。昨年2月 から「ミルクチョコレート」などの主力商品の値上げや容量変更を実施 したが、補えたのはコスト増加分の3分の1程度にとどまる。

同社IR・広報室の中村匡伸氏は「弊社はカカオ関連商品が多く、 ココア相場高騰による影響は大きい。再値上げの予定はないが今後の情 勢を見ながら適宜判断していく」と話す。生産や物流効率化、在庫適正 化などで今後もコスト削減を図る方針という。

ココアの先物相場はロンドンとニューヨーク市場で取引されている。 ロンドンでは主として西アフリカ産のカカオ豆、ニューヨークは中南米 産の価格指標となっている。日本はカカオ豆の約7割をガーナから輸入 している。ロンドン市場はポンド建て取引。ドルやユーロに対する下落 で購入コストが下がり、ポンド急落がココア相場の高騰に拍車をかけ、 メーカーには原料高として跳ね返る。

ロンドンのユーロネクスト・ライフ取引所のココア相場(中心限 月)は1月23日、1トン当たり2025ポンド(終値ベース)の高値を付 けた。ブルームバーグ・データ上では1989年以降で最高値となる。27 日の終値は1941ポンド。直近の安値である昨年11月時点と比べて約5 割高い水準で推移している。

ココア相場が2025ポンドの高値を付けた同日、ポンド相場は英の景 気後退を懸念して対ドルで85年来の安値まで下げていた。下落が鮮明と なった昨年10月下旬以降、ロンドンとニューヨークのココア相場の上昇 率の差は大きく拡大しており「ロンドン市場のカカオ高はポンド安が影 響している可能性が高い」(新光証券の馬目俊一郎シニアアナリスト)。 さらに「新興国でのカカオ需要が伸びており、実需面でもココアの相場 を押し上げている」(同氏)という。

国際ココア機関(ICCO)は今月初め、08年度(08年10月-09 年9月)のカカオ豆供給量が需要を19万3000トン下回る見通しと発表 した。前年度8万8000トンだった供給不足の量は拡大する。世界生産も 前年度比5%減の350万トンの見込み。主産地コートジボワールでは害 虫被害により生産が落ち込む見通しだ。

他のメーカーでは、森永製菓が「他原料との絡みもあり現段階では 商品の値上げは考えていない。今後は状況を見ながら必要に応じて検討 する」(広報・IR部の森崎高志IR担当マネージャー)。江崎グリコ では「乳製品や小麦粉、油脂など他の原料安や為替の影響も含めると今 のところ製品価格の改定を行うなどの具体的な予定はない」(広報IR 部の南賀哲也氏)としている。

グループで一括して原料を調達しているネスレ日本では足元のココ ア相場の高騰に対して「現状は製品値上げの予定はない」(広報室の嘉 納未来室長)と説明。ただ、スイス大手チョコレートメーカーのリン ツ・アンド・シュプルングリーは、ココア高騰の影響や消費減退などを 理由に2009年が164年の同社歴史上最も試練の年だと指摘している。

小麦粉や乳製品などの原材料価格が一服した中でのカカオ高騰。 「他の原料安のメリットがカカオ高で相殺され、業績面で逆風が吹いて いる。09年度もカカオ高の影響は利益を圧迫する」(新光証の馬目氏) との見方が根強い。

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