【日本株週間展望】強含み、政策と経済指標底入れ期待-9000円意識

4月第1週(3月30日-4月3 日)の日本株相場は強含み、日経平均株価で9000円の節目を意識した 展開が予想される。米国で金融安定化策が具体化、各国の景気刺激策に 対する期待も根強い。足元では国内外の経済指標に底入れの兆候も見ら れ始め、過度の悲観論の後退が投資資金の流入を促しやすい状況だ。

明治ドレスナー・アセットマネジメントの若林仁トレーディング部 長は、日米の金融緩和策や経済対策によって「金融システム問題や実体 経済の最悪期は過ぎ去ったとの見方が強まっており、昨秋から縮小を続 けてきた投資家のリスク許容度がようやく持ち直しつつある」と話す。

3月第4週の日経平均は前の週末に比べて681円(8.6%)高い 8626円97銭で終えた。世界的な金融危機や景気後退の震源地である 米国で、不良資産買い取り策の詳細が固まったほか、経済指標の減速ピ ッチが緩んだことも好感された。

米不良資産処理に前進、金融サミット期待も

米財務省は23日、政府と民間投資家が共同のファンドで金融機関 の不良資産を買い取る最大1兆ドル(約96兆円)規模の枠組みを発表。 ガイトナー財務長官が2月に同計画の基本方針を示した際には具体性を 欠き、金融市場で失望を招いた。しかし、今回は買い取り規模などが明 らかになったことが好感され、世界的な株高につながった。

詳細が固まった米不良資産処理策については、ノーベル経済学賞受 賞者で米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授が実効性につい て否定的な見解を示すなど、必ずしも高評価ばかりではない。ただ、大 手資産運用会社のピムコやブラックロックが既に計画に参加する意向を 表明しており、ファンドの利用が進まず、不良債権の分離に時間がかか るとの懸念は薄れつつある。

4月2日には20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が ロンドンで開かれる。開催前に、懸案となっていた米不良資産買い取り 策が具体化したことにより、サミットで突っ込んだ議論が見込まれる金 融監督体制や金融商品の規制強化などについても、「利害対立を乗り越 えた国際的な協調体制が打ち出される期待が浮上してきた」(東海東京 証券の倉持宏朗エクイティ部部長)。

米注目指標相次ぐ

米経済指標に下げ止まりの兆しが出ていることもプラス材料だ。第 4週は住宅関連統計が相次ぎ、2月の中古住宅販売件数と新築一戸建て 住宅販売件数がともに市場予想を上回ったほか、1月の住宅価格指数は 11カ月ぶりに前月比でプラスに転換した。2月の製造業耐久財受注額 も前月比マイナスの予想を覆し、7カ月ぶり増加となった。

4月第1週も、米景気の行方を占う上で注目される指標の発表が目 白押しだ。31日に1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、4月1 日に3月の供給管理協会(ISM)製造業景況指数や2月の中古住宅販 売成約指数、3日に3月の雇用統計の発表などが予定されている。全米 20都市を対象にしたケース・シラー住宅価格指数の市場予想中央値は 前年同月比で18.5%低下と、昨年12月(18.6%低下)とほぼ同水準。

短観は先行き改善を期待

一方、国内では日本銀行が4月1日に3月の企業短期経済観測調査 (短観)を発表する。ブルームバーグ・ニュースが民間調査機関22社 を対象に調査をしたところ、大企業・製造業の業況判断指数(DI)の 予想中央値はマイナス55と、昨年12月の前回調査(マイナス24)か ら31ポイントの大幅悪化が見込まれている。3月の短観では09年度 の企業収益や設備投資の計画も示されることから、市場の注目度は高い。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは短観のポイントに ついて、「大企業・製造業の景況感が第1次石油ショック後の過去最低 (1975年5月調査のマイナス57)を下回るかどうかだ」と指摘。大幅 な悪化は相当織り込んでいるため、「過去最悪の更新を回避できれば、 先行き指数の方向性に市場参加者の目が向く可能性もある」(同氏)。

日銀短観を占う指標と位置付けられている法人企業景気予測調査 (23日発表)では、1-3月期の大企業全産業の景況判断指数は2004 年の調査開始以来の最低水準を更新したが、同指数の先行き見通しをみ ると、4-6月期、7―9月期とマイナス幅は徐々に縮小している。短 観のDIも先行きの改善が期待できそうだ。

信託銀の売買動向に注目、過熱感も

需給面では、名実ともに新年度相場に入り、年初から相場を買い支 えてきた信託銀行が一転売り姿勢を強めることを警戒する向きもある。 実際、東京証券取引所による3月第3週の投資主体別売買動向(3市 場)では、信託銀行が11週ぶりに売り越しに転じた。ただ、「信託銀 経由で売買する年金基金は、新年度入りしたからといって早々に投資行 動を一変させることはしない」(東海東京証の倉持氏)との見方が多い。

日経平均は取引時間中のことしの安値(7021円)を付けた3月10 日から27日まで12営業日で23%上昇しており、急ピッチな上げに対 する警戒感は否めない。25日移動平均線(7650円)からのかい離率は 13%と、過熱とされる5%を大きく上回る。しかし「株価水準自体は 依然として低く、ショートカバー(買い戻し)や見直し買いはまだ続 く」(東洋証券の児玉克彦シニア・ストラテジスト)との声が多い。

【市場関係者による当面の日本株相場の見方】 ●三菱UFJ投信株式運用部の高田穣チーフファンドマネジャー

「在庫調整も一巡、実体以上に売られ過ぎていた相場は適正水準を 探る動きになっている。戻りのスピードが速く、大きなラリーが急にや ってきたため、投資家はポジションを変更し、ラリーに乗ってきた。ラ リーがいつまで続くのか疑心暗鬼だが、投資家の多くが弱気に大きく傾 き過ぎのため、ポジティブな材料が出ると相場は上に行きやすい」

●コスモ証券エクイティ部の堀内敏一課長

「過度の悲観論の修正や国内外の政策期待から日経平均は9000円 台にトライする場面もありそうだ。鉱工業生産では3月や4月の予測指 数が在庫調整の進展を示すかが焦点。もし期待はずれの結果になるなら、 相場の冷や水になる可能性がある。短観では来年度の事業計画がどの程 度の減益幅になるか注目される」

●岩井証券イワイリサーチセンターの有沢正一氏

「今週はイベントが盛り沢山、特に日銀短観と米雇用統計に注目し たい。予想より悪ければ、せっかく温まってきた投資家心理に冷や水を 浴びせるような形も考えられる。米雇用統計が悪化すれば、良い意味で 裏切ってくれた新築住宅販売や耐久財受注の改善もすべて吹っ飛ぶため、 要警戒だ」

●新光証券エクイティ情報部の高橋幸男マーケットアナリスト

「日経平均は短期間で上昇、25日移動平均線とのかい離率は13% に達しており、調整が見込まれ、上値は重そうだ。また、日銀短観とい った重要な経済指標があり、動きを取りにくい。足元の景気悪化は認識 されているが、今後の景気予測を見極める動きになるだろう」

--共同取材:常冨 浩太郎、長谷川 敏郎、鷺池 秀樹、浅野 文重 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京  河野 敏 Satoshi Kawano +81-3-3201-2483 skawano1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 香港 Darren Boey +852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

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