人気アナリスト、来年度の債券バブルに否定的-カネ余り変化(2)

石油ショック以来となる景気の落 ち込みや中央銀行による金融緩和策。さらには機関投資家の買い出動の 見込みもあって長期金利には一段の低下圧力がかかってもおかしくない が、新発10年国債利回りが1%を突破した過去2回とは外部環境に変 化がみられるため、人気アナリストは債券バブル再来に否定的だ。

みずほ証券の高田創チーフストラテジストは、内外の経済情勢を 見渡せば長期金利は低下方向にあり、将来さらに世界的な不況となれば 債券買いが殺到することも考えられるとしながらも「景気気回復への未 練を捨てきれないうちは慎重な運用姿勢を取らざるを得ない」という。

日経ヴェリタスが毎春実施するアナリスト人気調査で債券部門の 上位5人に2009年度の10年国債利回りの見通しについてヒアリング したところ、予想レンジの下限は平均で1.02%と、債券バブルと言わ れた1998年につけた0.7%台や2003年の0.4%台などと比べてかな り控えめにみている。

金利が大きく下がらない見通しの背景には絶対的な資金不足とい った要因が挙げられる。BNPパリバ証券の島本幸治チーフストラテジ ストは経常収支が一時的にせよ赤字転落したのは日本の貯蓄が減ってき たことの証左だとし、「カネ余りの状況の変化とともに債券需給の潮目 が変わってきた」と指摘。今年1月の経常収支は1728億円の赤字とな り、96年1月以来、13年ぶりの赤字に転落していた。

とりわけ、過去の金利低下局面で主役を演じた銀行からの需要に 多くは期待できない。企業の財務リストラが本格化した90年代後半に はバランスシート縮小が進み、一方で余剰資金を抱え込んだ銀行の国債 買いが膨らんだが、「財務リストラが再び数年に及ぶかというとそうで はなさそう」(バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフスト ラテジスト)だとされ、金利水準を無視した買いが出る余地は乏しい。

金融政策の後押しも力不足

金融政策面からの後押しも力不足。日銀は昨年10月と12月の利 下げで政策金利を0.1%前後としたほか、その後も長期国債の買い入れ 増額に踏み切るなど矢継ぎ早な政策対応に打って出た。ただ、10年国 債利回りが0.4%台に突入した当時は、コアCPI(消費者物価)のプ ラス転換を量的緩和解除の条件とするなど強力な時間軸効果があっただ けに、追加緩和の機運が盛り上がらないなかでの買いは限定される。

実際、短期金利の下げ渋りは10年国債利回りの低下を阻む。足元 のTIBOR(東京銀行間貸出金利)3カ月物金利は0.6%台で低下基 調にあるとはいえ、00年代前半のゼロ%近辺と比べるとなお高い水準。 三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは、クレジットリス クの問題から短期金利は今後も下がりにくいとみており、「現在の短期 のレベルを勘案すれば10年国債は1%でも御の字」との見方だ。

買わないわけではない

もっとも、現状水準からの金利低下がせいぜい30ベーシスポイン ト(bp)と分かっていても債券を買わない選択肢は見当たらない。

実はヒアリングした5人のうち3人が10年国債利回りの上限を

1.60%とし、ほかの2人は1.70%と予想するなど金利の上振れ懸念は 高まっていない。景気の底入れ観測や国債増発による需給懸念から夏場 に金利が上昇するとの見方は強いが、日銀による長期国債買い入れの増 額期待などが2%に向けた金利の持続的な上昇を抑制するとみられてお り、下限予想が0.90%から1.15%までばらつくのとは様相が違う。

10年国債利回りが1%を割り込んだ過去2回のケースは、いずれ もその後の3カ月以内に100bp以上も急騰したため、こうした苦い経 験を踏まえると金利の安定見通しのもとでは時間を味方につけたキャリ ー(金利収入)確保の運用が有効。「国内投資家はリスク回避の姿勢も 強いため、期末で動きにくかった向きが買い出動するのは時間の問題」 (日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジスト)と読む。

2009年度、新発10年債利回りの予想レンジ BNPパリバ証の島本氏: 1.15%-1.70% 三菱UFJ証の石井氏:  1.00%-1.60% みずほ証の高田氏:    0.90%-1.60% 日興シティG証の佐野氏: 0.95%-1.60% バークレイズ証の森田氏: 1.10%-1.70%

--共同取材 関泰彦、池田祐美 Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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