2月輸出は3カ月連続で過去最大の減少率更新-貿易収支は黒字(4)

2月の日本の輸出額は世界経済の 後退に伴い3カ月連続で過去最大の減少率を更新した。内需低迷や原 油価格の急落を受けて原粗油を中心に輸入額が大幅に減少したため、 貿易収支は5カ月ぶりに黒字に転換した。

財務省が25日発表した2月の貿易統計速報(通関ベース)による と、貿易収支(原数値)は824億円の黒字。1月は過去最大の9569 億円の赤字だった。輸出額は前年同月比49.4%減の3兆5255億円と 5カ月連続で減少。輸入額も同43.0%減の3兆4431億円と4カ月連 続で減少し、2005年2月(3兆7622億円)以来の低水準だった。減 少率は過去最大。

米国発の金融危機に端を発した実体経済の悪化が世界的に拡大し ていることを背景に、輸出は新興国を含む全地域で低迷。中でも自動 車や半導体など02年2月から07年10月まで続いた戦後最長の景気拡 大局面で好調な輸出をけん引してきた主力品目が、前年度に比べて激 減する異例の事態に陥っている。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、2月の貿易 収支の予想中央値は200億円の赤字だった。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミトは「輸出の落ち込み はさらに加速している。輸出の落ち込みだけで1-3月期のGDP(国 内総生産)成長率が年率10%前後押し下げられる可能性が高まった」 と指摘。一方で、輸出に遅れて輸入減が本格化していることから、「足 元の貿易収支の悪化ペースは和らいでいる」としている。

4-6月の輸出は反動増との見方も

一方、大和住銀投信投資顧問の大中道康浩チーフエコノミストは 同日朝、ブルームバーグテレビジョンに出演し、「輸出減のピークを迎 えている」とした上で、「輸出は在庫調整の抑制が徐々にはく落してい く。世界経済も急激な落ち込みから悪化ペースが緩み、輸出は反動で 4-6月は大きめのプラスと緩やかな回復基調になる」との見方を示 した。

与謝野馨財務相は25日午後の衆院財務金融委員会で、2月の貿易 収支統計について触れ、「一番衝撃的な数字は、去年の2月と今年2月 を比べると輸出が49%減っていることだ」と述べ、日本の輸出動向に 強い懸念を表明した。

また、昨年10-12月期の経済成長率が前期比年率12.1%減と大 幅な落ち込みを示したのに続き、「1-3月期も同じくらいひどい数字 になる可能性がある。かなり深刻になる」との見通しを示した。国際 通貨基金(IMF)が19日、日本の今年の成長率見通しについてマイ ナス5.8%と従来予想よりさらに引き下げたことについて答えた。

自動車輸出は前年比7割減

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午後3時50 分現在、1ドル=97円55銭。発表直前は同98円25銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の終値は前日比8円31銭安の 8479円99銭、債券先物市場の中心限月6月物は同42銭安の139 円 03銭。

輸出を品目別にみると、自動車が対前年比70.9%減少したほか、 半導体など電子部品が同51.1%減、自動車の部分品が同60.8%減と大 きく落ち込んだ。

輸入では、原粗油の輸入額が前年同月比64.7%減の4855億円と 大幅に減少し、数量も同13.9%減の1895万キロリットルにとどまっ た。世界的な燃料需要の減退に伴い、原粗油の輸入通貨単価が円建て で1キロリットル=2万5625円と対前年比で59.0%減少したのが要 因。このほか、非鉄金属が同70.8%減、石油製品が同67.8%減と不振 が目立った。

米欧向け輸出は過去最大の減少率

輸出を地域別にみると、米国向けは自動車・同部品の大幅な減少 が続き、前年同月比58.4%減と18カ月連続減。昨年6月から9カ月 連続で2けた台の減少が続いている。欧州連合(EU)向けも同54.7% 減と7カ月連続で減少し、いずれも過去最大の減少率を更新した。

アジア向けは、 半導体などの電子部品や鉄鋼が落ち込み、対前年 同月比46.3%減 と5カ月連続で減少。このうち中国向けは自動車や プラスチックなどの不振で同39.7%減と5カ月連続で減少した。輸入 が衣類などを中心に同41.1%減と大幅に落ち込んだため、対中国の貿 易収支は6カ月ぶりに135億円の黒字に転換した。

その他の地域の貿易黒字額は対米国が対前年同月比79.0%減の 1462億円、対EUが同81.6%減の969億円、対アジアが同58.9%減 の3757億円だった。

財務省と内閣府が23日発表した法人企業景気予測調査によると、 1-3月期の国内企業の景況判断は、大企業・全産業ベースで2四半 期連続して過去最低を更新。製造業はすそ野の広い自動車や半導体な どの減産の余波を受けて、全業種で下落幅が拡大した。

2月の自動車メーカー各社の世界生産は、トヨタ自動車が前年同 月比53%減、ホンダは同43%減、日産自動車が同51%減など、輸出 低迷で軒並み大幅な減産となった。

一方で、三洋電機は同日、今期(2009年3月期)連結業績予想に つて、純損益を900億円の赤字と従来の利益ゼロから下方修正した。 世界経済悪化に伴う電池・電子部品などの収益低迷や、不採算の半導 体事業のリストラ強化が響いたという。

--共同取材:浅井秀樹、駅義則、亀山律子、曽宮一恵Editor:Masaru Aoki, Hitoshi Ozawa

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